こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
階段図面は、建築物における階段の構造や寸法を正確に伝えるための重要な図面です。
階段の設置状況は利用者の安全性や利便性に直結するため、図面には正しい寸法や記号の記載が求められます。
今回は、階段図面の基本的な書き方から、記載すべき寸法や記号、間違いやすいポイントまでわかりやすく解説します。
これから階段図面を作成される方はぜひ参考にしてください。

目次
階段図面とは?階段の種類を確認
階段図面は、建築物に設置する階段の形状や寸法、構造を明確に示すための図面です。
平面図や断面図を用いて、階段の位置や段数、寸法などを詳細に表現します。
階段図面の役割と重要性
階段図面が必要とされる理由は、主に次の3つです。
- 建築基準法などの法規制に適合しているかを確認するため
- 施工時に必要な詳細情報を提供し、正確な施工を実現するため
- 階段の構造や寸法を可視化し、設計者と施工者の間で共通認識を持つため
階段の設置には建築基準法が関わっています。
階段図面が法令に適合した安全な施工を支える重要な図面の一つであることを、しっかり認識しましょう。
階段図面は、意匠図の一つです。
意匠図については、「建築図面「意匠図」の見方を確認!種類や他の図面との違いも」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
階段の主な種類
階段にはさまざまな種類とそれに応じた特徴があり、建物の用途や空間に応じて適切な種類を選択することが重要です。
ここでは代表的な階段の種類をご紹介します。
直階段
直階段は一直線に上がっていく形状で、階段の中では最も一般的な形です。
間取りを検討するときに配置しやすく、狭いスペースにも設置できる特徴があります。
部材も最小限で済むため、コストを抑えられる点もメリットです。
かね折れ階段
階段の途中で90度に折れ曲がる形状の階段です。
部屋の角に配置しやすく、踊り場があるため落下時のリスクを軽減できます。
折り返し階段
階段の途中で180度折り返す、コの字型の階段です。
踊り場があることで安全性が高まり、階段の勾配も比較的緩やかになるため、昇降が楽に行えます。
らせん階段
1本の柱を中心に、踏板をらせん状に配置した階段です。
デザイン性に優れており、省スペースで設置できる特徴があります。
柱周りの足を乗せる面(踏面:ふみづら)が狭いことが多いため、足を踏み外すリスクには注意が必要です。
階段図面の基本の書き方

階段図面を作成する際は、平面図と断面図の両方を用いて階段の詳細情報を正確に表現します。
ここでは、それぞれの図面における基本的な書き方を確認していきましょう。
平面図での階段の書き方
平面図では、階段を真上から見た形状を表現します。
まず、階段を設置する位置を決定し、階段の始点と終点を明確にします。
階段は、建物の端や中心部に配置されるのが一般的です。
次に、建築基準法などで定められた寸法を考慮して、階段の幅と段数を決定します。
上の階までの床面の高さ(階高:かいだか)と階段一段の高さ(蹴上:けあげ)から必要な段数を計算し、適切に配置します。
位置と寸法をもとに階段の形状が決まったら、段数に合わせて踏板の線を記入します。
このとき、どちらから上がっていくのかを明確にするため、上がる方向に向けて矢印を記載します。
また、階段の段数も数字で表記しましょう。
一目で段数が把握できるだけでなく、照明器具の設置高さの検討もしやすくなります。
さらに階段は、実際には下の階と上の階で分かれているため、平面図も途中で切断して記載する必要があります。
この途中で切れる部分を切断線として記載します。
断面図での階段の書き方
断面図は、階段を垂直に切断した様子を表現する図面です。
特に、階段の高さに関する情報を詳細に記載します。
蹴上と踏面の寸法を明確に表記し、階高と段数の関係性を示します。
また、手すりの位置と高さも断面図に記載します。
断面図があることによって階段の構造全体が理解しやすくなります。
必ず記載すべき寸法と記号
階段図面には、施工に必要な情報を漏れなく記載する必要があります。
寸法に関する項目
図面には以下の寸法を記載します。
- 階段の幅:基本的に手すり部分を除いた有効寸法を記載
- 蹴上げ:一段あたりの高さを記載
- 踏面:足を乗せる部分の奥行きを記載
その他、段数の記載も忘れないようにしましょう。
段数の表記は、踏板部分に数字を記入し、階段が何段で構成されているかを示します。
記号に関する項目
矢印は階段の上がり方向を示すために使用します。
矢印の先端が、階段の上の方向を指し示します。
切断線は、階段の途中で切断される部分を明確にするための線です。
二重線などで表現されます。
階段図面の書き方で間違いやすいポイント

階段図面を作成する際には、法規制への適合や記載漏れに注意が必要です。
ここでは、特に間違いやすいポイントについて解説します。
建築基準法で定められた寸法基準
階段の寸法は、建築基準法によって最低限の基準が定められています。
この基準を満たさない階段は、法令違反となるため注意が必要です。
住宅の階段の場合
共同住宅の共用階段を除く、戸建住宅や長屋の階段には、以下の通りの基準が定められています。
- 蹴上げ:23cm以下
- 踏面:15cm以上
- 階段幅:75cm以上
公共施設の場合
公共施設の場合の基準は以下の通りです。
【劇場や映画館、公会堂などの客用階段】
- 蹴上げ:18cm以下
- 踏面:26cm以上
- 階段幅:140cm以上
【直上階の居室の床面積が200㎡を超える場合】
- 蹴上げ:20cm以下
- 踏面:24cm以上
- 階段幅:120cm以上
バリアフリー法の基準
建築物移動等円滑化誘導基準では、より利用しやすい階段として、蹴上げは16cm以下、踏面は30cm以上が推奨されています。
不特定多数の利用者が使う階段では、この基準を採用するのが望ましいとされます。
とはいえ、これらの基準は、安全性や利便性を確保するために設けられた最低限の寸法です。
実際の設計では、利用者の特性を考慮し余裕を持った寸法で計画するのが良いでしょう。
よくある記載ミスと注意点
階段図面を作成する際に、よくある記載ミスをご紹介します。
矢印の表記漏れ
階段の上がり方向を示す矢印がないと、どちらから昇降するのかが不明確になります。
平面図には必ず矢印を記載しましょう。
段数の記載漏れ
段数の表記がないと、階段が何段で構成されているかが把握しづらくなります。
段数は数字で明記することが大切です。
蹴上げと踏面の寸法が不統一
途中で寸法が変わる階段は、つまずきや転倒の危険性が高まります。
全段で統一した寸法にすることが原則です。
切断線の省略
切断線がないと、図面のどの部分を表現しているのかがわかりにくくなります。
特に断面図では切断線の表記が重要です。
手すりや壁との関係性が不明確
手すりの位置や高さ、壁とのクリアランス(ゆとり幅)が明記されていないと、施工時に混乱が生じます。
階段幅の有効寸法の測り方
階段の幅を測る際、手すりの出が10cm以下であれば、手すりが存在しないものとして算定できます。
10cmを超える場合は、手すりの出を含めた寸法から階段幅を測る必要があります。
図面上での省略ができないもの
階段図面では、建築基準法などの法規に関わる寸法は、必ず記載しなければなりません。
特に蹴上げ、踏面、階段の幅などは、法令適合性を確認するために不可欠な情報です。
また、安全性に関わる記号や注記も省略できません。
矢印や手すりの位置など、利用者の安全に直結する情報は必ず明記しましょう。
さらに、施工に必要な詳細情報も重要です。
材料の仕様や取り付け方法など、施工者が正確に作業するための情報は、できる限り図面に盛り込むと良いでしょう。
必要な情報を適切に記載することで、法令に適合し、安全で施工しやすい階段図面が完成します。
階段図面の書き方を理解して正確な図面作成を
階段図面は、建築物における階段の詳細を正確に伝える重要な図面です。
平面図では階段の配置や段数、上がり方向を示し、断面図では蹴上げや踏面の寸法を明確に表現します。
階段図面の作成にあたっては、建築基準法で定められた寸法基準を満たすことが必須です。
住宅や公共施設など、用途に応じて異なる基準があるため、該当する規定をしっかり確認しましょう。
また、矢印や段数、切断線などの記号も漏れなく記載することが大切です。
必要な情報が適切に表現された階段図面は、施工の精度を高め、安全で使いやすい階段の実現につながります。
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