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2025.12.10

施工体系図の書き方を解説!作成義務や記載項目も確認!

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

施工体系図は、工事に関わる全ての会社や担当者の関係を図で表した書類です。

公共工事では必須の書類となっており、民間工事においても規模によっては作成が必要になります。

 

今回は、施工体系図の役割から実際の記入方法、作成時に注意すべきポイントまでわかりやすく解説しますので、これから作成される方はぜひ参考にしてください。

施工体系図の内容について指摘をするスタッフ

施工体系図とはどのようなもの?

施工体系図は、工事における組織構造を図式化した書類です。

発注者を起点として、元請会社から各下請会社までのつながりが一目でわかるように整理されています。

 

施工体系図の作成目的

施工体系図が必要とされる理由は、主に3つあります。

 

①工事体制の可視化

第一の目的は、工事全体の体制を可視化することです。

これにより、現場に携わる全員がプロジェクトの構造を共有できるようになります。

 

②工事の担当範囲の明確化

第二の目的は、工事に関わるそれぞれの会社の担当範囲を明確にすることです。

どの会社がどの部分を請け負っているのかが明確にすることで、責任の所在もわかりやすくなります。

 

③適切な配置の確認

第三の目的は、必要な技術者が適切に配置されているかをチェックすることです。

工事の実施にあたっては、要件に応じた技術者の配置が求められます。

 

施工体系図からは、監理技術者や主任技術者といった重要な役割を担う人材の配置状況も確認できます。

 

施工体系図の作成義務

施工体系図の作成が必要となるケースは、工事の種類で変わります。

 

公共工事においては、発注を受けた元請会社が作成を行います。

下請会社への発注額に関係なく、下請契約時に必ず作成しなければなりません。

民間工事においても、元請会社に作成義務があります。

 

民間工事では、法令上「施工体系図単体」の作成義務は明確に定められていません。

ただし、「施工体制台帳」を作成する義務が発生する場合(下請総額が5,000万円以上、または建築一式工事で8,000万円超)は、これに添付する形で施工体系図の作成が必要です。

 

この作成を怠ったり、虚偽の内容を記載した場合は、建設業法第28条に基づき指示処分や営業停止処分を受けるおそれがあります。

また、施工体系図は10年間の保管義務があります。

 

施工体制台帳との違い

施工体系図と似た名前の書類に「施工体制台帳」があります。

 

施工体制台帳は、工事の内容を記したグリーンファイル(安全書類)の一つ。

工事に関する詳細な情報を文章や表形式でまとめた書類であり、建設業法で作成が定められています。

 

これに対して施工体系図は、その台帳の情報を図として分かりやすく整理したものです。

施工体系図の特徴は、関係者が見てすぐに全体像を理解できるよう、樹形図または表のようなビジュアル形式で構成されている点にあります。

 

施工体制台帳やグリーンファイルについては、以下で詳しく解説しているのでチェックしてみてください。

施工体制台帳とは?書き方を詳しく解説!

グリーンファイル(安全書類)とは?種類や知っておくべきこと

 

施工体系図の書き方を確認!

施工体系図を書くスタッフ

ここからは、樹形図形式の施工体系図について、国土交通省の「施工体系図(作成例(樹状図形式))」をもとに、書き方を確認していきましょう。

※参考:国土交通省 施工体制台帳、施工体系図等「施工体系図(作成例(樹状図形式))」

 

樹形図形式の施工体系図は、左側エリア右側エリアで記入内容が異なります。

左側エリアには工事の基本情報を、右側エリアには下請会社に関する情報を記載します。

 

左側に記載する項目

左側エリアには、対象の工事に関する次の項目を記入します。

  • 発注者名
  • 工事名称
  • 元請名・事業者ID
  • 監督員名
  • 監理技術者名・主任技術者名
  • 監理技術者補佐名
  • 専門技術者名・担当工事内容
  • 統括安全衛生責任者(会長)
  • 副会長
  • 元方安全衛生責任者

 

各項目について詳しくご説明します。

 

発注者名

工事を発注した組織の正式名称を記入する欄です。

民間企業からの受注であれば企業名を、公共事業であれば自治体名などを記載します。

 

工事名称

発注された工事の名前を記入する欄です。

「〇〇(建物名)建設工事」といった形で、対象物の名称と工事の種類を組み合わせて表記します。

 

詳細すぎる説明は避け、端的に表現しましょう。

 

元請名・事業者ID

発注を直接受けた会社の正式名称を記入します。

 

建設キャリアアップシステムへの登録がある場合は、その事業者番号も併せて記載します。

未登録の場合、番号欄は空欄で問題ありません。

 

建設キャリアアップシステムについては、こちらのコラムもご覧ください。

建設キャリアアップシステムとは?制度の目的や利用の流れを解説!

 

監督員名

元請会社が任命した監督員の氏名を記入しましょう。

監督員は、一次下請の管理を行うとともに、設計内容通りに工事が実施されているかをチェックする立場にあります。

 

監理技術者名・主任技術者名

現場に配置されている技術者の氏名を記入します。

 

監理技術者は、下請会社への発注額が5,000万円以上、建築一式工事では8,000万円以上の場合に必要となります。

該当する条件では、主任技術者ではなく監理技術者の氏名を記載します。

 

また主任技術者は、ごく一部の例外を除き、あらゆる工事現場への配置が法律で義務付けられています。

 

監理技術者補佐名

元請会社が監理技術者の補佐役を置いている場合、その氏名を記入します。

この補佐役は、監理技術者が同時に複数現場を担当するケースで配置されます。

 

専門技術者名・担当工事内容

専門工事を担当する専門技術者の氏名を記入します。

この技術者には、主任技術者の資格や実務経験が求められ、500万円以上の専門工事を自社で実施する際に配置が必要です。

あわせて、担当する専門工事の内容についても記入が必要です。

 

統括安全衛生責任者

該当者がいる場合に氏名を記入します。

この責任者は、現場の作業員数が50人を超える場合(下請を含む)に配置が義務付けられています。

 

ただし、トンネル工事や圧気工法などの特定工事では30人を超えた時点で配置が必要になります。

 

副会長

元請会社が下請会社の中から指名した代表者の氏名を記入します。

 

元方安全衛生責任者

統括安全衛生責任者の管理下で安全業務を担う人物の氏名を記入します。

この責任者は、現場パトロールや安全指導といった実務面でのサポートのほか、組織運営にも関わります。

 

右側に記載する項目

右側エリアには、工事の下請会社(下請会社)に関する次の項目を記入します。

  • 工期
  • 会社名
  • 事業者ID
  • 代表者名
  • 許可番号
  • 特定専門工事該当の有無
  • 安全衛生責任者
  • 主任技術者
  • 専門技術者・担当工事内容
  • 工期

 

各項目について詳しくご説明します。

 

工期

契約書類に明記されている工事の期間を記入します。

「自」の欄には着工日を、「至」の欄には完工日を記載します。

 

西暦ではなく、和暦(令和など)での表記が基本です。

 

会社名

元請会社と契約した下請会社の名称を記入します。

元請と直接契約している一次下請会社は縦方向に、その下請会社からさらに発注を受けた二次以降の会社は横方向に記載します。

 

事業者ID

建設キャリアアップシステムに登録済みの場合、事業者番号の記入も忘れずに行います。

 

代表者名

その工事における責任者の氏名をフルネームで記入します。

 

許可番号

下請会社が建設業許可を保有している場合に記入します。

 

「国土交通大臣許可」または「都道府県知事許可」のいずれかを記載し、その下の「一般」または「特定」のうち該当する方を選びます。

 

特定専門工事該当の有無

該当条件を満たす場合は「有」、満たさない場合は「無」を選択します。

型枠工事や鉄筋工事で、かつ発注額が4,500万円未満という条件に合致する場合は「有」となります。

 

安全衛生責任者

下請会社が任命した安全衛生担当者の氏名を記入します。

この担当者は、統括安全衛生責任者との連絡調整や、労働災害リスクの確認などを担います。

 

主任技術者

下請会社が配置した主任技術者の氏名を記入します。

主任技術者は、原則すべての建設工事で配置が必要です。

 

専門技術者・担当工事内容

下請会社の専門技術担当者の氏名を記入します。

500万円以上の専門工事がある際には配置が必須となりますが、該当しない場合は配置不要のため記入も不要です。

 

下段には、その技術者が担当する具体的な工事内容を記載します。

 

工期

下請会社が担当する工事にかかる期間を記入します。

プロジェクト全体の期間ではなく、当該会社の担当分の期間を記載する点に注意が必要です。

上部の工期欄と同じく、和暦での表記を用います。

 

施工体系図の記載例は、国土交通省「施工体制台帳、施工体系図等」でも公開されています。

初めて作成する場合は、テンプレートをダウンロードして利用するのも効率的な方法です。

 

施工体系図を作成する際に知っておきたいこと

正確な施工体系図を作成する際に知っておきたい5つの重要なポイントをご紹介します。

 

階層構造を正確に記載する

元請会社を頂点として、各下請会社までの階層を正しく表現することが必要です。

一次下請会社は元請の直下に、二次下請会社はその下に配置するなど、契約の流れを明瞭に図示しましょう。

 

全ての関係者を漏れなく記載する

プロジェクトに携わる全ての会社を記載することが求められます。

規模の小さな工事であっても、関わる全ての会社を正確に把握して記載する必要があります。

 

最新の情報に更新する

工事が進むにつれて、新たな下請会社が加わったり、変更が生じたりすることがあります。

体制に変化があった際は、迅速に施工体系図を更新しなければなりません。

 

関連書類との整合性を確認する

施工体系図の内容は、施工体制台帳や契約書類などと矛盾がないよう整合させる必要があります。

各書類の記載内容を照合し、食い違う点があれば速やかに修正しましょう。

 

効率的に作成を進めるには専用ツールを活用する

施工体系図は、記載項目が多く、作成には正確性が求められます。

また、体制に変更があった際は迅速な更新が必要なため、一から手作業で行い、管理していくのは大変です。

 

正確性を保ちながら効率的に作成するには、専門のソフトウェアやツールの活用も選択肢の一つ。

ツールを使うことで、作成や更新にかかる労力を軽減でき、正確性も確保できます。

 

施工体系図の書き方を理解して正確な作成を

施工体系図は、工事における組織体制を明らかにする重要な書類です。

公共工事では作成が必須となっており、民間工事でも規模によって作成義務が発生します。

 

施工体系図の作成にあたっては、左側エリアには工事の基本情報を、右側エリアには下請会社の情報を記載します。

作成の際は、記載漏れがないか情報が最新であるか他の書類と矛盾がないかをしっかりチェックしましょう。

 

業務効率化のために、必要に応じて専用ツールを活用することもおすすめします。

適切に作成・管理された施工体系図は、現場の透明性を高め、工事を円滑に進める助けとなります。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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