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積算の基礎知識

2025.11.28

施工体制台帳とは?書き方を詳しく解説!

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

多くの企業が協力して行う大規模な工事は、計画的に遂行し、安全に努めなくてはなりません。

そこで建設業法では、工事を請け負った業者に対し、それぞれの企業が対応する工事内容や責任者、企業間の関係などをまとめた「施工体制台帳」の作成を義務付けています。

 

では、この施工体制台帳とはどのようなもので、どう書けば良いのでしょうか。

 

今回は、工事の施工体制台帳について、書き方や必要な添付書類、保管方法などをわかりやすく解説していきます。

施工体制

施工体制台帳とその作成義務とは?

施工体制台帳とは、工事を請け負うすべての業者名、各業者の施工範囲、工期、各工事の技術者氏名などを記載した台帳で、工事に必要なグリーンファイルの一つです。

 

施工体制台帳を作成しなければならない工事は、以下のように法律で定義されています。

  1. 民間工事において、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者※が、当該工事に関して締結した下請け金額の総額が5,000万円(建設一式工事:8,000万円)以上となる場合
  2. 公共工事において、発注者から2015(平成27)年4月1日以降に直接建設工事を請け負った建設業者が、当該工事に関して下請け契約を締結した場合

※特定建設業者:総額5,000万円以上(建築一式工事の場合は、8,000万円以上)の工事を下請けに出そうとする建設業者(元請業者)に取得が義務付けられている許可資格。「特定建設業と一般建設業の違いとは?要件や義務を解説!」もご覧ください。

 

民間工事、または公共工事において上記の要件を満たす場合には、施工体制台帳の作成が求められます

 

また、この施工体制台帳の作成義務が課せられるのは、元請業者だけではありません。

要件を満たす工事において下請け契約を結んだ各下請業者についても、建設業許可の有無に関係なく、施工体制台帳の作成義務が課せられます。

 

グリーンファイルには、施工体制台帳以外にもさまざまな種類があります。

詳しくは「グリーンファイル(安全書類)とは?種類や知っておくべきこと」でご説明しています。

 

施工体制台帳の目的は?

法律で施工体制台帳の作成が義務付けられたのには、以下のようなトラブルや違反などを防止する目的があります。

  • 品質・工程・安全などの施工上のトラブル
  • 一括下請負など不良不適格業者の参入や建設業法違反
  • 生産効率低下につながる安易な重層下請け

 

施工体制を明確化することでこのようなトラブルを防ぐこと、また実際にトラブルや違反が発生した場合に状況をすぐに把握できるようにすることが、施工体制台帳作成の主な目的です。

 

施工管理台帳との違い

施工体制台帳と混同されやすい資料に、施工管理台帳というものがあります。

 

施工管理台帳とは、施工の進捗や品質を記録したもので、法的な作成義務はなく、工事の現場・施工管理のために業者が自主的に作成するものです。

 

一方の施工体制台帳は、施工体制(どの業者がどの工事を施工するか)を示したもの。

これらの2つの資料は、内容や目的が大きく異なる点に注意が必要です。

 

施工体制台帳の書き方・記入例を解説!

契約書

施工体制台帳は、工事を請け負う全ての業者、下請け、孫請けなどについても、施工期間や工事内容などが明確に把握できるものでなければなりません。

ここでは、施工体制台帳に必要な項目や記載内容について確認していきましょう。

 

書式は「全建統一様式第3号」を使用します。

また、施工体制台帳は、左右に分かれており、左側部分は元請業者の情報右側部分は下請負業者の情報を記入します。

 

左側部分:元請業者の情報

書類の左側部分には、元請業者の情報などを記入します。

 

【会社名・事業者名】

会社が建設キャリアアップシステムに登録されている場合は、事業者IDも記入します。

(記入例:〇〇株式会社・0000000000)

 

建設キャリアアップシステムについては、こちらもご覧ください。

建設キャリアアップシステムとは?制度の目的や利用の流れを解説!

 

【建設業の許可】

元請業者が保有している建設業許可のすべてを記入します。

 

建設業許可の業種については、略語の記入でかまいません。

(記入例:土、建工事業)

 

【工事名称・発注者名・住所・工期・契約日】

元請業者が請け負った工事の名称・具体的な内容を記入します。

(記入例:〇〇ビル新築工事)

 

また、その工事を発注した会社や人の名称・住所も記載します。

 

工期については、始まりと終わりの日付を記入し、契約日は発注者と元請事業者の間で締結された契約書の日付を記載しましょう。

 

【契約営業所】

契約を行なったのが本社でも、実際の工事を担当するのは支店や営業所などの場合があります。

この場合は、元請契約の欄には発注者との間で契約を締結した会社、下請契約の欄には本社から請け負った支店や営業所を記載します。

(記入例:〇〇株式会社〇〇営業所)

 

【健康保険等の加入状況】

元請業者の健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入状況について記載します。

  • 加入:営業所において加入に関する届け出をしている状態
  • 未加入:その営業所において社会保険に関する届け出を行なっていない状態
  • 適用除外:会社の規模などで加入義務のない状態の場合

 

【発注者の監督員名など】

発注者の監督員とは、発注した側の代理人で工事の施工状況を監督する人です。

自社の監督員名は、一次請負業者を監督するために設置した監督員の氏名を記載します。

 

また、意見の申出方法も記載する必要があります。

(記入例:口頭および文書による)

 

さらに、以下の内容についても記載します。

  • 自社の現場代理人の名前と権限・意見申出方法
  • 監理技術者(補佐)や主任技術者の名前と資格内容(記入例:2級土木施工管理技士(土木))
  • 専門技術者名と資格内容、担当工事の内容を記載します。

 

【外国人建設就労者の従事の状況】

一号特定技能外国人、外国人技能実習生の従事の有無を記載します。

  • 一号特定技外国人:特定産業分野において相当の知識や経験を持ち、在留資格をもつ外国人
  • 外国人技能実習生:母国のために日本に技術を学びに来た外国人

 

右側部分:下請負業者の情報

右側部分の下請負業者の情報記載欄については、左半分の元請業者の記載事項と内容と同様です。

ご紹介した元請負業者の記載事項を確認しながら記載しましょう。

 

なお、施工体制台帳の作成方法は国土交通省の「施工体制台帳、施工体系図等 – 建設産業・不動産業」もご覧ください。

 

施工体制台帳に添付する書類も確認!

施工体制台帳には、添付しなければならない書類が複数あります。

 

必要な添付書類は、以下の通りです。

  • 工事担当技術者台帳
  • 元請業者が請け負った建設工事の契約書の写し
  • 下請業者が請け負った建設工事の契約書の写し
  • 主任技術者または監理技術者の資格を証する書面
    (技術者の専任を要する工事については監理技術者証の写し)
  • 主任技術者または監理技術者の雇用を証する書面
  • 監理技術者補佐(置いた場合に限る)の資格および雇用を証する書面
  • 専門技術者(置いた場合に限る)の資格および雇用を証する書面

 

スムーズに工事を進めるためにも、添付書類には漏れのないよう、チェック表などを作成し、確実に提出しましょう。

 

また、建設工事着手前には、施工体制台帳のほかに、施工計画書も必要となります。

施工計画書の概要や作成手順については、こちらのコラムで詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

施工計画書とは?作成手順やポイント・注意点を押さえておこう

 

施工体制台帳の提出期限と罰則、保管方法

最後に、施工体制台帳の提出期限と罰則、保管方法について確認していきましょう。

 

施工体制台帳の提出期限

施工体制台帳には、以下の提出期限が定められています。

 

【民間工事の場合】

下請契約締結時、施工体制変更時に作成し、発注者から閲覧の希望があったときにはそれに応じなければならない。

 

【公共工事の場合】

下請工事の着手日までに作成し、発注者・監督員に提出しなければならない。

 

民間工事が公共工事かによって対応は異なるので、事前によく確認しておくようにしましょう。

 

施工体制台帳を用意する前の、公共工事の一連の流れについては、「公共工事の入札の流れ 初心者でもわかる準備から契約まで」をぜひお読みください。

 

施工体制台帳に対応しなかった場合の罰則

施工体制台帳の作成・保管は、建設業法に定められたルールです。

もし作成を怠ったり虚偽の内容を記載したりした場合には、7日以上の営業停止処分という罰則を受ける可能性があります。

 

会社の信用を落とすことにもなりかねないので、施工体制台帳の作成・保管にはきちんと対応するようにしましょう。

 

施工体制台帳の保管方法

施工体制台帳は、原則5年間(新築住宅の工事の場合は10年間)保管しておかなければなりません。

必要なときにすぐ台帳を出せるよう、保管方法を工夫しておきましょう。

 

紙の書類で保管するとなるとコストがかかるので、エクセルやクラウドアプリなどのデジタルツールを活用し、効率的に保管すると良いでしょう。

デジタルでの保管は、コスト削減だけでなく、従業員間の効率的な情報共有やBCP対策にも有効です。

 

施工体制台帳は工事のトラブル回避に必須の書類!書き方にも注意を

施工体制台帳は、民間工事や公共工事どちらにも必要な台帳です。

 

民間工事では、下請け金額が5,000万円(建築一式工事の場合8,000万円)となる場合に必要です。

また、公共事業では、2015(平成27)年4月1日以降に請け負い、下請け契約を締結したすべての工事に必要となります。

 

施工体制台帳は、工事内容や工期、責任者の名前など、工事が安全に行われるのに必要な情報をすべて記入しなくてはなりません。

記入漏れ、添付書類漏れがないように書き方にも注意が必要です。

 

また、提出期限もしっかり把握し、罰則を避けるためにも正確な内容で作成するとともに、適切な方法での書類保管を心がけるようにしましょう。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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