こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建物の建築工事には、たくさんの種類の図面が用いられます。
その一つが「構造図」と呼ばれるもの。
建設業者は、この構造図から建物の構造を把握し、建物を建てていきます。
では、建物の構造図には具体的に何が記載されているのでしょうか。
また、それをどのように読み取れば良いのでしょうか。
今回は、建築工事における構造図の内容と見方について詳しく解説します。
目次
建築図面の「構造図」とは?
建物を建てるにあたって必要な建築図面は、大きく次の3種類に分類されます。
- 構造図
- 意匠図
- 設備図
この中の「構造図」は、建築する建物の構造について記載した図面のことです。
建築業者は、この図面をもとに、建物の構造を建築していきます。
構造図に記されるのは、柱や梁、床、壁などといった建物の構造を作る部材やその接合方法、配置、施工手順など。
長さは「mm(ミリメートル)」単位で、荷重は「N(ニュートン)」で示されます。
構造は、建物を支える骨組みとなるものです。
十分な強度を持つ安全性の高い建物を建てるには構造が重要であり、それには緻密(ちみつ)に設計された構造図が欠かせません。
構造図をはじめとした建築図面(設計図書)については「設計図書とは?種類や基準、保存期間を確認!積算時にも必要?」で解説しています。
他の図面との違いと関係
建築図面には、「構造図」の他にも「意匠図」「設備図」と呼ばれるものがあります。
意匠図とは、建物のデザイン(意匠)を表すための図面です。
この図面には、建物の外観や内観、間取りなど、見た目に関する情報が記されます。
また設備図は、建物の設備についてまとめられた図面のこと。
電気やガス、換気排煙、給排水、消化、エレベーターといった設備について、位置や配線、仕様などが記されます。
建物の建築でまず作成されるのは、意匠図です。
構造図と設備図は、建物のデザイン・イメージが固まってから、意匠図をもとに作成されることになります。
ご紹介した通り、構造図は建物の構造を、意匠図は建物のデザインを、設備図は建物の設備を示すものであり、これらの図面に記載される内容はそれぞれ異なります。
しかし、建物の建築においては、これらの図面同士の整合性が必要になります。
意匠図については、下記のコラムもご覧ください。
構造図の見方を確認!知っておきたい記号や単位
構造図には、記号や単位がよく用いられます。
構造図の情報を正しく読み解くには、図面上でよく用いられる記号や単位についてきちんと理解しておくことが大切です。
構造図でよく使われる記号(符号)
まずは、構造図でよく使われる記号を表で確認していきましょう。
記号 | 意味 |
C | 柱(2C1→2階のC1柱)※ |
G | 大梁(2G1→2階床のG1梁 |
B(b) | 大梁(B)・小梁(b) |
S | 床 |
CG・CB | 片持ち梁 |
CS | 片持ち床 |
W | 壁 |
EW | 耐震壁 |
F | 基礎 |
FG | 基礎梁 |
FS | 基礎スラブ |
P | 杭 |
※通り符号と呼ばれ、C1の数字の部分「1」は、「左から右」「下から上」の順で数字を振っていく
上記は基本の記号です。
構造図を見るときには、これらの記号の意味を把握しておく必要があります。
構造図でよく使われる単位
構造図では、長さを表す基本の単位として、mm(ミリメートル)が用いられます。
他の単位を使う場合には、数字だけでなく、cm(センチメートル)・m(メートル)など単位まで表示するのがルールです。
また、荷重については、N(ニュートン)単位で表します。
以前はkgfという単位が使用されていましたが、近年ではSI単位系が導入され、Nが基本となりました。
単位を間違うと図面の内容は大きく変わるので、図面を読み取る際には数字だけでなく、単位も正しく把握するようにしましょう。
構造図の種類をチェック!
構造図は、主に次のような種類があります。
- 標準仕様書・特記仕様書
- 構造標準図
- 伏図
- 軸組図
- 部材リスト図
- 詳細図
ここからは、それぞれの図面の内容を確認していきましょう。
標準仕様書・特記仕様書
「標準仕様書」とは、工事の標準となる情報が記載された書類のことです。
また「特記仕様書」とは、その工事で特記しておくべきことを記載した書類のこと。
具体的には、建物に用いる部材やその数量、強度、工法、検査方法など、建築にあたって遵守すべきことが明確に示されます。
構造に関することだけでなく、意匠や設備、残土等の処分について記載されることもあります。
構造図の中でも、特記仕様書は特に重要性の高い書類です。
そのため、見落としや間違いのないよう作業を進め、管理する必要があります。
特記仕様書や標準仕様書については「特記仕様書とは?標準仕様書との違いや書き方のポイントを解説!」でも詳しくご紹介しています。
構造標準図
各部材の標準的な「納まり」について記載した書類が、「構造標準図」です。
具体的には、鉄筋の加工方法や配筋などに関することが、文章と図で示されます。
また、ここでいう「納まり」とは、部材同士の接合・取り付けの状態を指します。
構造標準図に「納まり」に関する標準事項が定められているのは、工事品質の確保や設計の合理化のためです。
建築業者は特別な指示がない限り、その内容をもとに工事を行います。
あくまで標準について定めているという点では、構造標準図は前述の標準仕様書と同様の位置付けの書類であるといえるでしょう。
伏図
「伏図」とは、基礎や柱、梁などといった構造部材を、上から平面的に表した図面です。
建物の上から構造部材を透かして見た図だと考えると分かりやすいでしょう。
伏図では、構造部材に符号が振られ、これは後に紹介する部材リスト図に対応します。
この図では、縮尺に応じた大きさで構造部材を表します。
そのため、部材の具体的な寸法を把握することはできませんが、縮尺さえ分かれば、各部材の大体の大きさを読み取ることは可能です。
また、このときの縮尺は、1/100または1/200で作成されるのが一般的となっています。
伏図も、構造図の中で重要性の高い図面の一つ。
慣れている設計者や職人であれば、これを見るだけで構造の意図や危険箇所まで把握することができます。
軸組図
建物を各軸で切断し、それを横から見た状態を表した図を、「軸組図」と呼びます。
この図では、構造部材の符号とともに、その配置や開口高さ、構造スリットなどが表示され、各軸ごとの骨組みが把握できるようになっています。
これを読み解くことで、建築業者は、建物の構造はもちろん、施工手順までも考えることが可能です。
軸組図は、1/100の縮尺で作成されるのが一般的で、木造軸組工法の構造でよく用いられます。
ただし、近年ではプレカットの施工図を用いる現場が多くなり、軸組図自体の利用は減少傾向にあります。
部材リスト図
「部材リスト図」とは、基礎や柱、梁、壁、床などといった構造部材の大きさや材質、納まり、配筋などを表す図です。
この図で示される部材は、伏図や軸組図で表示した符号と対応します。
部材リスト図の縮尺は、1/100または1/200で作成されるのが一般的です。
詳細図
「詳細図」は、前述の軸組図に鉄筋の配置を書き足した図面です。
この図面では、部材同士の細かな納まりを確認することができます。
伏図や軸組図では、1/100、1/200などといった大きな縮尺を用いるため、細かな納まりを把握することができません。
しかし詳細図では、1/30、1/5などといった小さな縮尺で図面を表示することで、鉄筋を見やすくし、収まりを詳しく把握できるようにしています。
図面からの拾い出しは拾い出しソフトの活用で効率化!
このように、建築工事では構造図をはじめとしたたくさんの建築図面を用います。
構造図だけでも多数の図面があり、それを読み解くには、各図面の見方を把握していなければなりません。
それは、積算見積のために図面から部材を拾い出す「拾い出し」作業も同じ。
積算見積では、各図面を読み取る必要があり、作業には工数がかかります。
また、図面を読み取るスキルを持つ人しか拾い出しを行えないため、属人化してしまいやすい作業でもあります。
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建築図面「構造図」の各図面の見方を把握しよう
建築図面には、大きく分けて「構造図」「意匠図」「設備図」の3種類があります。
このうち構造図は、建物の構造について記した図面のこと。
構造を形成する柱や梁、床、壁などの部材について、その接合方法や配置、施工手順などが示されます。
構造図は、「標準仕様書」「特記仕様書」「構造標準図」「伏図」「軸組図」「部材リスト図」「詳細図」と、大きく7種類に分けられ、それぞれの図が示すものは異なります。
建物の構造を正しく読み解くには、各図面の見方を把握しなければなりません。
また、図面には記号も多く用いられるので、これを理解しておくことも必要でしょう。
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