こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
2025年1月、埼玉県八潮市で幅約40メートル、深さ最大約15メートルにもおよぶ大規模な道路陥没事故が発生し、全国に衝撃を与えました。
原因は42年前に整備された下水道管の破損とされ、約120万人の生活に影響が及んでいます。
このような事故は決して他人事ではなく、日本全国で老朽化したインフラが同様のリスクを抱えています。
今回は、インフラ老朽化の現状と課題を整理し、今後必要となる対策のポイントをご紹介します。

目次
日本のインフラ老朽化の現状は?
老朽化が進み、さまざまなリスクが想定される現在の日本のインフラ。
ここでは、日本のインフラの現状と、それによって生じている課題について解説します。
高度経済成長期に集中整備されたインフラ
日本の多くのインフラは、1950年代から1960年代の高度経済成長期に集中的に建設されました。
道路や橋、トンネルなどの交通インフラだけでなく、上下水道といった生活に欠かせない設備も同様です。
こうした社会資本は現在、私たちの暮らしや経済活動を支える基盤となっており、その老朽化は社会全体に影響を及ぼす問題といえるでしょう。
建設後50年以上経過する社会資本の割合
国土交通省が公表しているデータによると、建設後50年以上経過するインフラの割合は、今後急速に増加する見込みです。
2023年3月時点では道路橋の約37%、トンネルの約25%がすでに築50年を超えています。
2040年になると、道路橋は約75%、トンネルは約52%に達すると予測されています。
上下水道管路についても、2023年時点では10%前後ですが、2040年には30~40%台まで拡大する見通しです。
※参考:国土交通省「建設後50年以上経過する社会資本の割合」
施設の使用される環境や設備、維持管理の状況などによって違いはあるものの、おおむね建設後50年ほど経過すると老朽化が進んでくると考えられます。
現在の日本では、同じ時期に建設されたインフラ施設が一斉に老朽化する状況が迫っており、戦略的な維持管理が急務といえるでしょう。
老朽化が進むことで生じる課題
インフラの老朽化が進むと、設備の劣化や破損によって事故が発生しやすくなります。
例えば、2025年1月に埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故は、老朽化した下水道管の破損が原因と考えられています。
この事故ではトラック運転手が被害に遭っただけでなく、道路の交通規制や近隣住民の避難、工業用水の供給停止など、地域全体に大きな影響が広がりました。
こうした事故を未然に防ぐためにも、インフラの老朽化対策は全国で早急に対応しなければならない課題となっています。
インフラの老朽化対策における課題

老朽化したインフラを適切に維持管理していくためには、さまざまな課題を乗り越える必要があります。
ここでは、インフラ老朽化対策を進める上での主な課題について解説します。
莫大な予算が必要
インフラの維持管理には、莫大な費用がかかります。
国土交通省の試算によると、事後保全を基本とした場合の維持管理・更新費は、2018年に約5兆円だったものが、2048年度には約12兆円もの費用が必要となる見込みです。
また、自治体の財政は厳しく、土木費は長期的に減少傾向にあります。
1993年のピーク時には約11.5兆円だった市町村の土木費は、2022年には約6.5兆円まで減少しました。
限られた予算の中で、効率的にインフラを維持管理していくことが求められています。
技術者不足が深刻化
インフラの維持管理を担う技術職員の不足も深刻な課題です。
現在、建設業界は全体として人手不足の状態にあり、インフラの維持管理を担う市町村の職員についても同様の状態といえます。
国土交通省の調査によると、2024年の市区町村の土木部門の職員数は、1996年のピーク時と比較して約26%減少しています。
さらに、技術職員が5人以下の市区町村は全体の約5割を占め、4団体に1団体が「技術職員0人」という状況です。
人手不足が続けば、インフラ設備の適切なメンテナンスが行えなくなり、劣化の進行を早めてしまうリスクがあります。
人材の確保と育成は、老朽化対策を進める上で避けて通れない課題といえるでしょう。
なお、建設業界全体が抱える課題については「建設業の課題とは?現状や今後の動向、課題への対策を解説!」で詳しく解説しています。
点検が難しい箇所の存在
インフラの中には、点検が難しい箇所も多く存在します。
地中に埋設された水道管や下水道管は、直接目で見て確認できません。
また、橋梁の高所部分や足場のない場所など、人が簡単に近づけない箇所も数多くあります。
目視による点検には限界があり、劣化の見落としが事故につながる可能性もあります。
安全で効率的な点検方法を確立することが重要です。
工事が市民生活に与える影響
インフラの補修工事は、市民生活に大きな影響を与えることがあります。
道路工事では通行止めや交通規制が必要となり、上下水道工事では断水や下水の使用制限が発生する場合もあります。
日常生活への影響を最小限に抑えながら工事を進めることは、簡単ではありません。
また、利用頻度の低い施設の撤去や統廃合を進める際には、地域住民との合意が必要となります。
住民の理解を得ながら、効率的なインフラ維持を実現していくことが求められています。
解体業界においても、老朽化したインフラへの対応が課題となっています。
「解体業界の動向や課題は?M&A動向もチェック!」で詳しく解説しています。
インフラの老朽化対策で今後必要になること

老朽化するインフラを適切に維持管理していくためには、さまざまな取り組みが必要です。
ここでは、今後の老朽化対策で重要となるポイントを解説します。
事後保全から予防保全への転換
インフラの老朽化対策では「事後保全」から「予防保全」への転換が重要です。
事後保全とは、設備が大規模に損傷してから修理を行う考え方である一方、予防保全は、ダメージを受ける前に計画的にメンテナンスを行う方法です。
予防保全に転換することで、大幅なコスト削減が期待できます。
予防保全をした場合の将来的な維持管理・更新費は、事後保全をした場合と比較して約5割削減できるという試算があります。
とはいえ、これまでの予算水準では予防保全への移行にも約20年ほどかかってしまうのも実情です。
今後はより綿密な計画によって設備の集約と再編、機能強化と修繕を進め、予防保全段階への転換を加速させることが求められるでしょう。
修繕費の確保と財源の工夫
インフラを適切に保全するためには、安定した財源の確保が不可欠です。
国は「インフラ長寿命化基本計画」を策定し、自治体に対して支援制度を設けています。
点検や診断の基準の手引きなどを整備、提供することに加え、補助金や交付金を活用することで、財政負担を軽減しながら老朽化対策を進められる可能性もあります。
また、長期的な視点で財源を確保する仕組みづくりも重要です。
利用料制度や民間資金の活用など、さまざまな財源確保の方法を検討していく必要があるでしょう。
ITや新技術を活用した維持管理システムの導入
人手不足を補い、効率的な維持管理を実現するためには、ITや新技術の活用が欠かせません。
例えば、ドローンを使った点検では、高所や足場のない場所でも安全に作業ができます。
目視では難しい箇所の画像や映像を取得でき、劣化や損傷の見落とし防止にもつながるでしょう。
AIを活用した劣化診断技術も注目されています。
地中に埋設された水道管の劣化状況を、データ分析によって予測することも可能です。
さらに、センサー技術を用いた遠隔監視システムの導入により、リアルタイムでインフラの状態を把握できるようになります。
こうしたDX化の推進は、業務効率化と安全性向上の両面で効果を発揮するでしょう。
建設業界でも少しずつ、業務の効率化や安全性効率化のための技術導入が進んでいます。
あわせて「建設ICTとは?導入事例やメリットを詳しくご紹介!」もご覧ください。
企業と自治体の連携強化
限られた人材と予算で効果的に老朽化対策を進めるためには、企業と自治体の連携が重要です。
国土交通省は「地域インフラ群再生戦略マネジメント」を推進しており、複数の市町村が連携してインフラを管理する仕組みの構築を検討しています。
広域連携により、技術職員が不足している地域でも、近隣の自治体と補完し合いながら維持管理が可能になります。
また、官民連携によって、民間企業の技術やノウハウを活用したり、利用頻度の低いインフラを集約・再編することで、維持管理の効率化を図っていく必要もあるでしょう。
地域の実情に応じた柔軟な連携体制を構築し、持続可能なインフラ維持を実現していくことが求められています。
インフラの老朽化対策に向けて計画的な取り組みを
日本のインフラは高度経済成長期に集中的に整備されたため、2040年には道路橋の約75%が築50年を超えるなど、今後一斉に老朽化を迎えます。
老朽化対策は生活に直結する問題であるため早急な解決が必要である一方で、莫大な予算や技術者不足など、多くの課題が存在します。
課題解決のためには、事後保全から予防保全への転換で維持管理費を抑えることをはじめ、市区町村の広域連携、インフラの集約・再編などの取り組みを進めることも重要でしょう。
また、ドローンやAIなどの新技術を活用した点検の効率化といった対策も進められています。
業務効率化、DX化によって今ある人材と資源を生かして課題解決に取り組むことが求められるでしょう。
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