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積算の基礎知識

2025.01.07

建築における「展開図」とは?基本構成や作成手順を紹介

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

建築プロジェクトにおいて、図面は建物の情報を正確に伝えるための重要なツールです。

 

特に内装工事や設備工事の段階では、壁面の仕上げや建具の配置、設備機器の取り付け位置など、室内の詳細な情報が必要となります。

そのような細かな情報を正確に伝えるために不可欠となるのが「展開図」です。

 

今回は、この展開図の基本的な構成から作成手順まで、実務で知っておきたいポイントを解説していきます。

間取り

建築用語での「展開図」とは?

展開図は、室内の中心から見た東・西・南・北の四方の壁面を表した図です。

 

建築図面の中の「意匠図」に分類される図面の一つで、各室内壁面の仕上げや、窓の開口部、造り付けの家具類、建具枠、設備器具の取り付け位置などが示されます。

一般的には、縮尺1/50程度で詳細に表現されます。

 

基本図面では表現できない設計者の意図仕上げの詳細を施工者に伝えるという重要な役割を持つ図面です。

 

意匠図とは、建物の形状や内外装の仕上げなどを表現する図面群のことです。

意匠図については、「建築図面「意匠図」の見方を確認!種類や他の図面との違いも」で詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。

 

展開図の作成目的と必要な場面

展開図は主に以下のような場面で必要となります。

 

壁面補修や改築時

建物の補修や改築を検討する際、展開図は重要な役割を果たします。

既存建物の状態を正確に把握し、どの箇所に修繕が必要なのか、また改築する範囲をどのように設定するのかを詳細に検討するために必要です。

 

詳細な室内検討が必要な場合

新築や大規模リフォームなどを行う際は、内装仕上げの範囲を確認したり、設備機器の配置を詳細に検討したり、造作家具の取り付け位置を決定したりする必要があります。

展開図は、これらの要素を正確に計画し、効率的な施工を実現するために必要となる図面です。

 

展開図作成に必要な図面

正確な展開図を作成するためには、以下のような図面や資料が必要です。

  • 切断線・切断方向指示のある平面図
  • 平面詳細図
  • 建具表と建具キープラン
  • 矩計図または詳細断面図

 

図面が部分的にしかない場合でも、切断線と切断方向の指示がある平面図があれば、基本的な展開図の作成は可能です。

ただし、詳細図面が不足する場合は、展開図の精度が低くなる可能性があることに注意が必要です。

 

他の図面との違い

展開図は、矩計図や立面図とは異なる特徴を持っています。

 

矩計図は、展開図と同じく建物を垂直に切断した図面ですが、より詳細な寸法や仕上げ方法、部材の種類まで記載されます。

一方、立面図は建物の外観を示す図面で、内部構造は表現されません。

 

矩計図や立面図については、こちらのコラムもご参考ください。

矩計図とは?矩計図と断面図の違いについても解説!

立面図とは?作成するときのポイントや他の図面との違いもご紹介!

 

建築における「展開図」の基本構成

展開図には、室内を構成するさまざまな要素が表現されます。

展開図の基本の構成からチェックしていきましょう。

 

展開図の基本構成

室内空間の各壁面を展開図として描く際、4つの壁面にAからDまでの記号をつけて表現します。

通常は北側の壁面をAとし、時計回りに東の壁面をB南の壁面をC西側の壁面をDと記号をつけます。

 

具体的には、次のような情報が含まれます。

 

【基準となる寸法や高さ】

  • 床から天井までの高さ
  • 各部材の寸法
  • 開口部の大きさ

 

【壁面の仕様】

  • 仕上げ材の種類
  • 仕上げの範囲
  • 下地の構成

 

【建具や窓】

  • 種類と形状
  • 開口方向
  • 枠の納まり

 

室内要素の表現

展開図では、以下のような室内要素も詳細に表現されます。

 

【造作家具】

  • 収納の配置と大きさ
  • カウンターの高さと形状
  • 造り付け棚の詳細

 

【設備機器】

  • キッチン設備の配置
  • 空調機器の位置
  • 照明器具の取付位置

 

【電気設備】

  • 配線器具の位置
  • スイッチの高さ
  • コンセントの配置

 

展開図のこれらの情報は、内装イメージを明確にし、家具のレイアウトなどを検討するのにも役立ちます。

 

建築における「展開図」の作成手順

設計

展開図は、以下の6つの手順で作成します。

  1. 基準線の設定
  2. 壁面の基本構成
  3. 開口部の記入
  4. 造作の記入
  5. 設備機器の配置
  6. 仕上げ情報の記入

 

それぞれのステップで書き込んでいく情報は以下の通りです。

 

1. 基準線の設定

まず、図面の基準となる要素を記入します。

  • 通り芯の配置
  • 補助線の設定
  • 寸法線の配置
  • GL(地盤面)やFL(フロアライン)の表示 など

 

2. 壁面の基本構成

次に、室内空間の基本的な構成を記載します。

  • 床ラインの設定
  • 天井高さの表示
  • 壁面の区画線
  • 間仕切り壁の位置 など

 

3. 開口部の記入

建具や窓などの開口部を記入します。

  • サイズの明示
  • 床からの高さ
  • 開口形状の表現
  • 枠の納まり など

 

4. 造作の記入

造り付け家具や設備を記入します。

  • 収納家具の配置
  • キッチン設備の位置
  • 建具枠の表現
  • 造作材の詳細 など

 

5. 設備機器の配置

電気設備や機器類を記入します。

  • コンセント位置
  • スイッチ類の配置
  • 設備器具の取付位置
  • 照明器具の配置 など

 

6. 仕上げ情報の記入

内装の仕上げに関する情報を記入します。

  • 壁面仕上げの範囲
  • 材料の種類
  • 見切りの位置
  • 仕上げの詳細 など

 

展開図の作成は、手作業で行うほか、専用ソフトを用いる方法もあります。

専用ソフトを選ぶ際は、料金や使いやすさに加えて、拾い出しや積算等、関連作業で使用する専用ソフトとの互換性なども考慮すると安心です。

 

 

展開図とは室内の詳細を示す重要な建築図面

展開図は、室内の中心から見た東・西・南・北の四方の壁面を表す図面です。

壁面の仕上げ、窓や建具の配置、造作家具の形状、設備機器の取り付け位置など、室内の詳細な情報を総合的に示します。

 

展開図は、建物の補修や改築時の既存建物の状態把握や、新築やリフォーム時の内装や設備の詳細な検討を行う際に必要となります。

 

作成にあたっては、基準線の設定から始まり、壁面の基本構成、開口部、造作、設備機器の配置、そして仕上げ情報の記入と、順を追って情報を書き込んでいきます。

 

展開図は、設計者の意図を施工者に確実に伝え、質の高い空間づくりを実現するために不可欠な図面。

その内容について理解し、正確でスムーズな工事を目指していきましょう。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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