矩計図とは？矩計図と断面図の違いについても解説！

こんにちは！ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

建物の建設工事では、さまざまな種類の設計図を用います。

矩計図（かなばかりず）もそのひとつ。

この図面がなければ、工事を適切に進めることはできません。

 

では、矩計図とはどのような図面なのでしょうか。

また、断面図とはどう違うのでしょうか。

 

今回は、矩計図について、その概要と断面図との違いについてわかりやすく解説します。

 

矩計図とは？

そもそも矩計図は、「かなばかりず」と読みます。

矩計図は、建物の屋根から基礎までを垂直に切断した断面図の一種です。

 

まずは、矩計図がどのような情報を表す図面なのか詳しく見ていきましょう。

 

建物のあらゆる「高さ」を表す図面

建物を垂直に切断した様子を示す矩計図には、建物内のあらゆる「高さ」が記されます。

具体的には、建物の高さや各階の床の高さ、天井裏の寸法、基礎の寸法など。

 

縮尺は20分の1から50分の1で書かれるのが一般的です。

 

また、矩計図には高さだけでなく、部材の種類や納まりも記載されます。

詳しい情報が記載されることから、この図面は、「詳細断面図」とも呼ばれています。

 

例えば、2階建ての一般住宅を建設するとしましょう。

一般住宅の工事では、「基礎の深さ」「地面からの立ち上がり位置」「土台の上端」「屋根の軒桁の高さ」「建物の頂点の高さ」「1階部分の床の高さ」「2階部分の床の高さ」が特に重要になります。

 

そして、この7つの高さが全て記載されている図面が、矩計図です。

 

特に重要な情報が記載されていることから、矩計図は実際の工事で監督者や作業員によく活用されています。

 

住宅性能を知ることができる

矩計図からは、住宅性能を知ることも可能です。

なぜなら矩計図には、床や壁、天井、屋根の各部分における厚みや材料、仕上げ方法などが記載されているためです。

 

専門知識のある人が見れば、断熱材や仕上げ材の種類、屋根裏の換気方法、防水方法などがわかり、断熱性能や通風、採光などの住宅性能も把握することができます。

 

施工時のトラブル防止やリフォームに必須

矩計図は、施工トラブルの防止やリフォーム対応にも役立ちます。

 

建設工事では、「高さ」に関するトラブルがよく起こるといわれています。

例えば、「廊下の床材とリビングの床材の厚みの差により、家をバリアフリーにできなかった」「天井高が足りず、掃き出し窓の上部にエアコンを設置できなかった」など。

このようなトラブルは、高さに対する認識不足により発生します。

 

こういったトラブル予防に役立つのが、今回ご紹介している矩計図。

前述のとおり、矩計図には高さや部材に関する情報が詳細に記載されます。

各床材の厚みも、掃き出し窓の高さも、天井高も、この図を見れば明確に把握することが可能です。

 

そのため、この図をよく確認することで、高さに関するトラブルを防止することができます。

 

また、後のリフォームへの備えとしても、矩計図は役立ちます。

この図面を見ることで、床下や天井裏などの目に見えない部分について、その寸法や組み方、部材の種類などの詳細を把握することができるためです。

 

矩計図があれば、リフォーム前に天井や床、壁の一部を壊して見えない部分の確認を行う必要がなくなり、手間や費用を削減できるでしょう。

 

矩計図と断面図の違いは？

次に、矩計図と断面図の違いについてご説明します。

 

矩計図と断面図は情報量が違う

矩計図と断面図は、どちらも建物を垂直に切断した様子を表した図であるという点で共通しています。

しかし、これらの図面は同じものではありません。

その違いは、図面上に記載される情報量の差にあります。

 

矩計図の特徴は、とにかく情報量が多いこと。

建物そのものや床、天井裏、基礎まで、あらゆる高さ・寸法が表示され、さらに部材の種類や厚み、仕上げ方法まで詳細に記されます。

 

一方の断面図では、基本的な部分の高さなどは記されるものの、床下や天井裏、壁の中などの寸法を知ることはできません。

部材の種類や仕上げ方法なども記載されません。

 

矩計図の縮尺が20分の1から50分の1であるのに対し、断面図の縮尺が100分の1から200分の1であることからも、情報の詳細さの差がわかりますね。

 

このように、矩計図は断面図よりも多くの情報を提供します。

そのため、実際の設計・工事にあたっては、断面図の作成が省略されることもあります。

 

その他の図面の種類

建設工事では、矩計図以外にも、次のような図面が使われます。

 

平面図

建物を床上1m程の高さで水平に切断し、それを真上から見た図面。

居室や廊下の配置と壁や柱の位置を把握することができます。

 

平面図をベースに、柱の位置や壁の収まり、仕上げ方法などについて詳細に記した「詳細図」という図面もあります。

 

立面図

建物の外観を表した図面。

建物を東西南北の各方向から見た様子が表され、建物の形や窓の位置、ドアの位置、仕上げなどを把握することができます。

 

断面図

建物を垂直に切断し、それを真横からみた様子を示す図面。

建物の高さや窓の位置などを把握することができます。

 

配置図

敷地の中での建物の位置を表した図面。

道路境界や隣地境界、敷地の高低差、排水管の位置などが記載されています。

 

展開図

各部屋の中心から、東西南北の四方向を見た時の様子を表す図面。

ドアや窓、収納、手すりなど、各種設備の位置や下地についての情報が記載されています。

 

伏図

建物を真上から見下ろした様子を表した図面。

基礎伏図、床伏図、天井伏図、屋根伏図、小屋伏図など対象ごとに種類がある。

 

伏図については、こちらのコラムもご覧ください。

建築図面「伏図」とは？読み方や種類について詳しく！

 

仕上表

建物の内外装の仕上げ材料とその方法について、まとめて示した表。

 

建具表

建物に用いる建具の材料や大きさ、仕上げ方法などについてまとめて記した表。

 

 

また、これらの設計図面は、大きく「意匠図」「構造図」「設備図」の3種類に分類されます。

このうち矩計図は、「意匠図」に含まれます。

 

「意匠図」については、「建築図面「意匠図」の見方を確認！種類や他の図面との違いも」もご一読ください。

 

図面からの拾い出しには専用ソフトの活用を

ご紹介した矩計図だけでなく、建設業で使われる図面には、多くの情報が記載されています。

しかし、それを読み解くには専門知識や経験が必要です。

 

また、建設工事でははじめに拾い出しや積算を行う必要がありますが、矩計図をはじめとした各種図面から必要材料を読み取るこの作業にも、知識と工数が必要になるでしょう。

 

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矩計図とはさまざまな高さを記載した図面！断面図とは情報量が違う

矩計図（かなばかりず）は、建物を垂直に切断し、建物や床、天井裏、基礎などあらゆる高さ・寸法を記載した図面です。

部材の種類や納まり、仕上げ方法なども記載されています。

 

この図面からは、その建物の性能を知ることができ、トラブル防止やリフォーム対応にも役立ちます。

 

矩計図と断面図は、建物を垂直に切断した図である点で共通していますが、矩計図のほうが断面図よりも圧倒的に情報量は多いです。

そのため、実際の工事では、主に矩計図が利用されています。

 

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