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積算の基礎知識

2026.04.15

工事下請基本契約書の書き方と必須項目を解説

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

元請業者として下請業者に工事を依頼する際に欠かせないのが「下請基本契約書」。

しかし工事下請基本契約書については、「何を記載すればいいのか」「トラブルが起きないか」「法に抵触していないか」など、作成時に不安を感じる方も多いはず。

 

今回は、工事下請基本契約書の役割や必須記載項目作成時の注意点まで解説。

曖昧な契約書はトラブルのもと。まずは基本をしっかり押さえ、ツールも活用しながら法的に正しく、実務的に効率的な契約管理を目指しましょう。

建設作業員が設計図を確認している

工事下請基本契約書の役割とは?

工事下請基本契約書が何のためにあるのか、基本的な役割を理解しておきましょう

工事下請基本契約書とは

工事下請基本契約書

元請業者が下請業者に工事を発注する際の合意内容を書面化したもの。

支払い条件・責任範囲・安全管理・契約不適合責任といった取引上の共通ルールをあらかじめ取り決め書面にしておくことで、個別の工事ごとに一から条件を定める手間を省く役割を果たします。

民法の上では、口頭による合意でも請負契約は成立します。ただし建設業法第19条では、当事者間のトラブルを未然に防ぐ目的から、書面を作成してお互いに交付することを義務として定めています。

「言った・言わない」の争いを避け、双方の権利と義務を明確にするためにも、着工前にはルールを工事下請基本契約書に落とし込み、それを基本契約として元請・下請間において書面の形で締結しておくことが重要です。

 

継続的な取引において基本契約が重要な理由

建設業界では、特定の会社に複数の現場を継続的に依頼するケースが一般的です。その中で、案件ごとにゼロから条件を話し合っていると、担当者の負担が増えるだけでなく、認識のずれによるトラブルにもつながりやすくなります。

そのため、基本的な取り決めは「工事下請基本契約書」で事前に締結し、工事ごとの詳細は「注文書・請書」で補完する方式が推奨され、国土交通省も、反復して取引を行う場合には「建設工事請負基本契約+注文書+請書」のセットによる締結を推奨しています。

一度基本契約を締結しておけば、その後の取引のたびに全条件を取り決め直す必要がなく、業務効率の向上にもつながります。また、担当者が交代した場面や、万が一トラブルが裁判に発展した際にも、基本契約書が取り決めの根拠として機能します。

 

工事下請基本契約書の作成方法と必須記載項目

着用時の握手

工事下請基本契約書の作成にはいくつかの方法があります。また、建設業法では記載すべき事項が定められているため、漏れなく盛り込むことが必要です。

ここでは作成方法と、必須項目をあわせて解説します。曖昧な契約は、トラブルの火種となるためまずは、基本の作成方法をしっかりと押さえましょう。

 

工事下請基本契約書の作成方法

①WordやExcelを使って作成する

インターネット上に公開されているテンプレートをもとに、自社の取引内容に合わせてカスタマイズして使用する方法です。国土交通省が提供する「建設工事標準請負契約約款」も参考として活用できます。

 

②電子契約システムを利用する

近年は建設業においても電子契約の導入が進んでおり、工事下請基本契約書をデジタルで作成・締結する企業が増えています。書面契約で必要となる収入印紙が不要になるため、コスト面でのメリットも期待できます。

 

工事下請基本契約書に記載すべき必須15項目

工事下請基本契約書の記載事項は、建設業法第19条で定められています。2020年10月の法改正により、以前の14項目から15項目に増えているため、古い書式を使用している場合は必ず内容を確認してください。

2026年4月現在、必須の15項目は以下のとおりです。

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期および工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日または時間帯(2020年改正で追加)
  5. 前払金または出来高部分に対する支払いの時期・方法(定める場合)
  6. 工事変更・中止時の工期、代金変更や損害負担の定め
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更・損害負担の定め
  8. 価格変動に基づく代金・内容の変更および算定方法の定め
  9. 工事施工により第三者に損害を与えた場合の賠償金負担の定め
  10. 注文者が資材を提供・機械を貸与する場合の内容・方法
  11. 工事完成確認のための検査の時期・方法および引渡しの時期
  12. 工事完成後における請負代金の支払いの時期・方法
  13. 契約不適合責任・保証保険契約の締結等の定め(定める場合)
  14. 各当事者の遅延利息・違約金・その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法

1. 工事内容

施工範囲・施工条件・仕様など、下請人の責任範囲が具体的に伝わるよう記載します。「〇〇工事一式」のような曖昧な表記は避け、「別紙設計仕様のとおり」とした上で、仕様書や図解資料を添付する方法が推奨されます。

 

2. 請負代金の額

金額を記載することが基本ですが、施工時間や作業量ではなく工事の進捗・完成度に応じて支払われる出来高給が一般的です。建設業法では元請人が原価を下回る金額を一方的に設定することを禁じており、根拠を双方が示せるようにしておくことが重要です。

 

3. 工事着手の時期および工事完成の時期

「着工:令和〇年〇月〇日、完成:令和〇年〇月〇日」のように、具体的な年月日で記載します。工期は下請人の施工期間を基準に記載するのが一般的です。

 

4. 工事を施工しない日または時間帯(2020年改正で追加)

2020年10月の法改正で新たに追加された項目です。休日など工事を行わない日や時間帯を明記します。例えば「日曜日」と記載するだけでも要件を満たします。

 

5. 前払金または出来高部分に対する支払いの時期・方法(定める場合)

前払金や出来高に応じた支払いを行う場合に、その時期と方法を記載します。建設業法では、元請人が注文者から支払いを受けた日から1カ月以内に下請人へ代金を支払う義務が定められています。前払い・出来高払いのいずれも行わない場合は、記載不要です。

 

6. 工事変更・中止時の工期、代金変更や損害負担の定め

元請人の都合による設計変更や工事中止が生じた際の工期・代金の変更方法と、下請人が被った損害の負担方法を定めます。下請人のスケジュールや資金繰りへの影響が大きいため、具体的な対応手順を明記することが重要です。

 

7. 天災その他不可抗力による工期の変更・損害負担の定め

自然災害や不可抗力により工事が遅延した場合、下請人は基本的に履行遅滞の責任を負わない旨を定めます。あわせて、下請人が元請人へ速やかに報告する義務を規定するのが一般的です。

 

8. 価格変動に基づく代金・内容の変更および算定方法の定め

急激な物価上昇などにより資材費が高騰した場合など、予測困難な価格変動が生じたときに下請代金や工事内容を変更できる旨を規定します。

また、2024年12月の法改正により、変更後の代金額の算定方法も定めることが必要となりました。世界情勢の影響を受けやすい建設業において、特に重要な条項です。

 

9. 工事施工により第三者に損害を与えた場合の賠償金負担の定め

施工中の事故などにより近隣住民等の第三者に損害が生じた場合、原則として下請人が賠償責任を負います。ただし元請人の指示に起因する損害は元請人が負担する旨もあわせて明記します。

 

10. 注文者が資材を提供・機械を貸与する場合の内容・方法

元請人が資材を調達・提供したり、建設機械を貸与したりする場合に、その内容・調達方法・費用負担の区分を記載します。

資材提供や機械貸与が発生しない場合は、記載不要です。

 

11. 工事完成確認のための検査の時期・方法および引渡しの時期

工事完成後、元請人が検査を行う時期と方法、および引渡しの時期を定めます。

建設業法では、元請人は下請人からの通知を受けてから20日以内に検査を完了し、直ちに引渡しを受けることが義務付けられています。

 

12. 工事完成後における請負代金の支払いの時期・方法

工事完了後の代金支払日と支払方法(振込・分割など)を記載します。

支払いが遅延すると下請人の資金繰りに直結するため、契約書上で明確に定めることが重要です。

 

13.契約不適合責任・保証保険契約の締結等の定め(定める場合)

引渡し後に、工事内容が契約に適合しない部分が判明した場合における、修補義務や費用負担について定めます(以前の瑕疵担保責任に相当)。

住宅の構造耐力上主要な部分については、法令上の長期責任が課される点にも注意が必要です。定めがない場合は記載不要です。

 

14. 各当事者の遅延利息・違約金・その他の損害金

約束した期日までに工事が完了しなかった場合などに備え、違約金の金額や計算方法を規定します。例えば「工事完成まで1日につき金〇〇円を支払う」といった形で具体的に定めるのが一般的です。

 

15. 契約に関する紛争の解決方法

万が一当事者間で紛争が発生した場合に、どの裁判所を管轄とするかを定めます。

「〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」のように明記することで、裁判手続きをスムーズに進められます。

 

 

正確な契約は「正確な積算」から始まる

契約書の項目を埋める際、最も重要かつトラブルになりやすいのが「②請負代金の額」とその根拠となる「①工事内容」です。 内訳明細が曖昧だと、追加工事の発生時に「基本契約の範囲内か否か」で深刻な対立を生みます。

正確で透明性の高い契約を締結するためには、見積・積算の段階で「誰が見ても納得できる根拠」を作っておくことが不可欠。

正当な価格決定を証明するためには、「根拠」をシステムで自動的に残すことが、
最大のリスクヘッジです。

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見積ソフト「楽王3」

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楽王3

工事下請基本契約書作成の注意点

工事下請基本契約書を作成・締結する際は、いくつか注意すべき点があります。

内容の不備や法令との不整合は、行政指導やトラブルの原因になります。

特に以下の点は、事前にしっかりと確認しておきましょう。

 

印紙税(収入印紙)が必要になるケースがある

工事下請基本契約書を書面で作成した場合、課税文書に該当するため、契約金額に応じた収入印紙を貼り付ける必要があります。

ただし、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成する契約書については軽減措置があるため、主な税額は以下のようになります。

  • 500万円を超え1,000万円以下:1万円(軽減後5,000円)
  • 1,000万円を超え5,000万円以下:2万円(軽減後1万円)
  • 5,000万円を超え1億円以下:6万円(軽減後3万円)
  • 1億円を超え5億円以下:10万円(軽減後5万円)

 

印紙税の負担を抑えたい場合は、電子契約システムの活用がおすすめです。

電子契約は印紙税法上の「課税文書」に該当しないため、収入印紙が不要になります。

ただし、いったん電子契約書を作成しても、それを紙に出力して押印・交付した場合は書面扱いとなり、収入印紙の貼り付けが求められます。

電子契約でコストを削減するには、最後まで電子的に処理することが条件となる点に注意しましょう。

 

作成しない場合の罰則がある

建設業法では、工事下請基本契約書の作成が義務付けられています。

書面を作成しなかった場合や記載事項に漏れがあった場合は、建設業法違反として行政から指導・監督処分が下される可能性があります。

「口頭で合意していた」では通じない場面もあるため、着工前に必ず書面で締結しておくことが大切です。

 

取適法との整合性に注意する

建設工事とは別の委託取引が発生する場合、中小受託取引適正化法(取適法)の適用を受ける場合があります。

取適法が適用されるケースでは、以下の行為が法律で禁止されています。

  • 不当な減額の禁止
  • 支払期日の制限
  • やり直し工事の不当負担の禁止
  • 買いたたきの禁止

不安がある場合は、作成後に専門家への確認を依頼することをおすすめします。

💡

関連記事:建設業での下請法と建設業法の違いを解説!適用されるケースとは
※下請法は2026年1月の改正により、中小受託取引適正化法(取適法)として施行されました。

 

工事下請基本契約書を正しく作成してトラブルを防ごう

工事下請基本契約書は、元請業者と下請業者の双方が安心して取引を続けるための重要な書類です。

取引上の共通ルールをあらかじめ取り決め書面にしておくことで、個々の工事で一から条件を定める必要がなくなります。

建設業法で定められた15項目を漏れなく盛り込み、着工前に書面で締結しておくことが、トラブル防止と法令遵守の上でも大切です。

また、建設工事とは別の委託取引が発生する場合は、中小受託取引適正化法(取適法)の適用を受けるケースもあることにも注意が必要です。

契約には電子契約システムを活用して、印紙税の節約も考えましょう。

製品デモ・資料請求などお気軽にご相談ください

 

この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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