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積算の基礎知識

2022.03.18

安全衛生経費とは?その重要性や課題点、確保の方法をチェック

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献するアークシステムです。

 

積算では建設工事にかかる費用を一つひとつ積み上げて工事費を算出するのですが、その中のひとつに「安全衛生経費」という費用があります。

今回のコラムでは、積算における安全衛生経費について解説します。

 

安全衛生経費とは何のための費用で、どんな項目が該当するのか。

安全衛生経費の重要性や建設業界における課題点、安全衛生経費をしっかり確保するための取り組みなどをご紹介します。

ヘルメットを持つ男性

 

安全衛生経費とは?重要性や課題点も詳しく解説

積算における安全衛生経費とは、建設工事において労働災害を防止したり安全衛生を確保したりするためにかかる費用のことです。

 

安全靴やヘルメットなどの購入費用や、足場や手すりを設置する仮設費、安全に対する知識を付ける教育訓練の費用や健康診断費用など多岐にわたります。

 

厚生労働省の「令和2年 労働災害発生状況」によると、令和2年に発生した労働災害において、建設業界の死亡者数は258人で全業種中約32%と最多、休業4日以上の死傷者数は14,977人で全体の約11%を占めています。

建設業界の労働災害件数は昨年比から減少しているものの、全体の中では高い割合を占め、今後も労働災害を防ぐ取り組みが必要とされています。

 

このような背景もあり、安全衛生経費をしっかり確保することは、現場の安全性を高めて安全に工事を進めるため、労働災害を防止するためにもとても重要です。

安全衛生経費は建設工事で「通常必要と認められる原価」のため、工事費用に含めて発注者側に請求します。

 

しかし、積算においては単独の項目ではなく、直接工事費や共通仮設費に含まれて一式で請求されていたため、経費削減などで工事の受注額が下がると真っ先に金額を削られる項目でした。

 

安全衛生経費の確保ができないことでしわ寄せを受けるのは、工事現場です。

作業する下請業者が十分な安全衛生経費を確保できないことで、現場において労働災害防止や安全衛生確保の取り組みが十分に行えない状態につながり、労働災害が起こる原因の一つとなっているのです。

 

安全衛生経費確保のためには負担者の明確化が重要!

安全第一

労働安全衛生法では、元請負人(発注者)・下請負人(受注者)の両方に対し、労働災害防止対策に取り組むことを義務付けており、そのための費用は元請負人が負担することとなっています。

 

しかし、従来では契約時などに「安全衛生経費を誰がどれだけ負担するのか」が明確化されておらず、下請業者にとって安全衛生経費の確保が難しかったという側面がありました。

安全衛生経費を工事費の中でしっかり確保するためには、どの項目にいくらの費用がかかり、それを誰が負担するのか、見積と契約の時点で明確化することが重要です。

 

安全衛生経費確保のための、負担者明確化の手順

厚生労働省や国土交通省では、労働災害防止についての建設業法令遵守ガイドラインを定め、安全衛生経費の負担者の明確化とその方法について以下のように手順を示しています。

 

①元請負人による見積条件の提示

元請負人は見積条件を提示する際に、具体的な工事内容はもちろん、労働災害防止対策の実施者やその内容、負担者の区分を明確化し、安全衛生経費を正確に見積もれるようにします。

 

②下請負人は安全衛生経費を適正に見積り、見積書へ明示

安全衛生経費の項目とその費用の根拠を明確にしたうえで、安全衛生経費を正確に見積もり、見積書へ明示します。

施工経費と切り分けられる費用については、契約書面の内訳書などに詳細を記載します。

 

③対等な立場で契約交渉

建設業法第18条を踏まえ、安全衛生経費が明示された見積書をもとに、対等な立場で契約交渉をして工事請負契約を結びます。

建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。

e-GOV法令検索建設業法第十八条より引用 

 

④書面にて明確化

契約締結時には、契約書面へ安全衛生経費の負担者・実施者、安全衛生経費の内訳を明示し、書面にて明確化します。

 

⑤適切な支払い対応

工事費の支払い時、あらかじめ明示していない費用を差し引いたりしてはいけません。

 

安全衛生経費とは建設工事を安全に進めるために重要な費用

安全衛生経費とは、建設工事で労働災害の防止や安全衛生の確保をするための費用です。

労働災害が多くみられる建設業界において、安全衛生経費の確保は重要な問題で、工事費の削減により安全衛生経費が確保できないと現場での安全確保が難しくなってしまいます。

 

労働安全衛生法では、工事で必要とする安全衛生経費は元請負人が負担すると義務付けられています。

そのため、厚生労働省や国土交通省では、安全衛生経費の確保のためのガイドラインを作り、契約時に安全衛生経費の負担者を明確化するよう示しています。

見積書や契約書へ安全衛生経費の内訳や負担者・実施者を明示することで、内容を明確化し、安全衛生経費の適切な確保に取り組むことを推進しています。

 

安全に工事を進めるためにも、適正な安全衛生経費を含めた積算・見積で工事の受注を目指してくださいね。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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