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工事の請け負いにあたっては、必ず建設業者と発注者の間で、工事請負契約書の締結が必要になります。
多くの契約では契約書に印紙の貼付が義務付けられていますが、工事請負契約書の場合、印紙の貼付は必要なのでしょうか。
また、契約にあたって、印紙の金額や印紙代を節約する方法はあるのでしょうか。
今回は、工事請負契約書の印紙についてわかりやすく解説します。
目次
工事請負契約書に印紙は必要?
結論から述べると、工事請負契約書に印紙は必要です。
ここでは、その理由を詳しくみていきましょう。
工事請負契約書とは
工事請負契約書は、工事の請け負いにあたって建設業者と発注者の間で作成される契約書です。
例えば、住居を新築する場合や店舗をリフォームする場合など、さまざまな工事の請け負いにあたっては、この契約書を基にした契約の締結が必要になります。
工事請負契約書には、工事の請け負いについての契約内容が明確に記されます。
また、工事請負契約を締結し契約書を作成することで、建設業者には「請け負った仕事をやり遂げる義務」が、また発注者には「完成した仕事に対し報酬を支払う義務」が生じます。
工事請負契約書については「工事請負契約書とは?記載内容や注意点を解説!」で詳しく解説しています。
工事請負契約書には印紙が必要!
前述のとおり、工事請負契約書に印紙の貼付は必要です。
収入印紙の貼付は印紙税法として定められたもので、その要・不要については、国税庁「印紙税額の一覧表」にまとめられています。
その中で工事請負契約書は「2号請負に関する契約書」に該当し、必要な収入印紙の金額は契約金額に応じて200円〜60万円と定められています。
印紙の金額
工事請負契約書における契約金額ごとの印紙の金額は次のとおりです。
契約書の記載金額 | 印紙の金額 |
1万円未満 | 非課税 |
100万円以下 | 200円 |
100万円を超え200万円以下 | 400円 |
200万円を超え300万円以下 | 1千円 |
300万円を超え500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え50億円以下 | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載がない場合 | 200円 |
※引用:国税庁「印紙税額の一覧表」
上記のとおり、取引金額が高額になるにつれ、印紙の金額も上がっていきます。
建設業者に300万円の工事を発注するのであれば1,000円の印紙が、1,500万円の工事を発注するのであれば2万円の印紙が必要になります。
ただし、契約金額が1万円未満の場合、印紙の貼付は不要です。
工事請負契約書以外に印紙が必要になる契約書
印紙が必要になる契約書は、工事請負契約書以外にも多数存在します。
工事やその前後で関わる可能性のあるもので、その例を挙げてみましょう。
- 不動産売買契約書
- 土地賃貸借契約書
- 工事注文請書
- 請負金額変更契約書 等
これらの文書についても、記載金額ごとに貼付すべき印紙の金額が定められており、文書作成者がその金額を負担します。
印紙なしの工事請負契約書は無効になる?
印紙が必要な金額の工事請負契約書に印紙を貼らなかった場合でも、契約書が無効になることはありません。
契約書の効力と印紙の貼付には、関連性がないためです。
印紙を貼らなかったとしても、契約書の内容は有効であり、建設業者と発注者はその内容を守らなければなりません。
しかし、契約書への印紙の貼付は印紙税法で定められたものであり、契約書に対する納税手段です。
もし印紙が必要な金額の契約書に印紙を貼らなかった場合、契約書作成者は支払うべき税金を支払っていないということになります。
これにより契約書作成者は、税金を支払っていないことに対するペナルティを受ける可能性があります。
印紙を貼り忘れた場合のペナルティ
契約書に印紙を貼り忘れた場合のペナルティとして課せられるのが、過怠税の支払いです。
その金額はケースによって、次のように変わります。
- 税務調査による発覚:本来納付すべきであった印紙税の3倍の金額の過怠税の徴収
- 税務調査の前の自主的な申し出:本来納付すべきであった印紙税の1.1倍の金額の過怠税の徴収
- 印紙に消印をしていない:該当の印紙の額面の過怠税の徴収
もし50億円を超えるような大きな契約において印紙を貼付せず、それが税務調査で発覚した場合であれば、180万円もの過怠税が徴収される恐れがあるのです。
このような損失を避けるためにも、印紙の貼付は正確に行うよう注意しましょう。
無効と判断される契約書のケースについて紹介
契約書の中には、印紙の有無にかかわらず、その契約が無効とされるものもあります。
例えば次のようなケースでは、契約書が無効とされる可能性は高いでしょう。
- 契約内容が確定していない
- 契約内容が違法あり社会的妥当性がない
- 契約内容に実現の可能性がない
契約書に記載される契約内容は、明確でなければなりません。
曖昧な内容の契約書は、基本的に無効となります。
また、契約内容が違法であったり、実現不可能な内容であったりする場合も同様です。
印紙税を節約する方法
印紙税は、会社にとって負担となるものです。
この経費負担を軽減し収益を増やすためには、印紙税の節約も検討しなければなりません。
契約書への印紙の貼付が不要になるケースをご紹介します。
契約金額が1万円未満の場合
先ほどもご紹介したとおり、契約金額が1万円未満の工事請負契約書は非課税であり、印紙を貼る必要はありません。
1万円を超える契約金額の工事請負契約書のみ、印紙が必要になります。
ただし、契約金額の記載がない工事請負契約書には、200円の印紙を貼付しなければならないので注意しましょう。
電子契約の場合
インターネットとデジタルデータを用い、電子的に作成・締結する契約を電子契約と呼びます。
具体的には、PDFやクラウド、FAXなどでやり取りされた契約が、電子契約にあたります。
実は、電子契約は印紙税の対象になりません。
そのため、電子契約でやり取りされた工事請負契約書の場合、会社は印紙を貼らずに済みます。
電子契約は、契約の効率化にも効果的です。
印紙税を節約するなら、契約方法を電子に移行することも検討しましょう。
納付印がある場合
納付印とは、押すことで印紙の貼付を省略することのできる印のこと。
これは、印紙税納付計器設置承認申請書によって事前申請を行い、承認を得ている会社のみが利用できるものです。
納付金額を節約することはできませんが、納付印を押した工事請負契約書の場合、印紙の貼付は必要なく、印紙を用意する時間的コストを削減することができます。
印紙なしの工事請負契約書は有効!ただしペナルティの恐れあり
工事を請け負う建設業者と発注者の間で交わされる工事請負契約書には、印紙の貼付が必要です。
これは印紙税法によって定められているもので、印紙の金額は200円〜60万円まで、契約金額によって異なります。
印紙のない工事請負契約書だからといって契約無効にはなりませんが、納付すべき印紙税が未納であることに対するペナルティが発生する可能性はあるので、契約書には必ず印紙を貼るようにしましょう。
ただし、1万円未満の契約や電子契約、納付印がある場合には、印紙は不要です。
特に電子契約は、節税の手段としても検討すると良いでしょう。
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