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積算の基礎知識

2023.03.28

工事請負契約書とは?記載内容や注意点を解説!

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

建設業者が建設工事を請け負う際には、発注者との間で工事請負契約書を作成する必要があります。

この書類の作成や内容は建設業法で定められており、契約にあたって工事請負契約書を用意しなかったり、必要な内容を記載しなかったりすると、法律違反として処分の対象となる可能性があります。

 

では、工事請負契約書にはどのような内容を記載し、どのように扱えば良いのでしょうか。

今回は工事請負契約書について詳しく解説します。

工事請負契約書

 

工事請負契約書とは?

工事請負契約書とは、建設業者が発注者から工事を請け負う際に作成する契約書です。

工事請負契約書は、住宅や店舗における新築工事や増改築工事、リフォーム工事など、あらゆる工事を行う前の契約締結時に交わされます。

 

工事請負契約は民法上の「請負契約」にあたり、この契約によって請負人には「仕事を完成させる」義務が生じます。

 

そして注文者は、完成した仕事に対して報酬を支払わなければなりません。

工事請負契約書には、こういった双方の義務や契約にあたっての条件などが詳しく記載されています。

 

このように、契約締結にあたって重要な役割を果たす工事請負契約書は、その交付が建設業法で定められていて、記載すべき内容も決められています

そのため、契約を取り交わす際には、契約書の内容が法律にもとづいているか、また不平等な内容になっていないか、発注者と受注者の両方がよく確認する必要があります。

 

工事請負契約書作成の目的・必要性

工事請負契約書を作成する目的としては、次の2点が挙げられます。

  • トラブルを予防するため
  • 対等な契約を締結するため

 

各目的について詳しくご説明します。

 

トラブルを予防するため

工事請負契約書を作成・交付する目的は、万が一のトラブルに備えることにあります。

 

工事請負契約書に建物の仕様などについて詳しく記載しておくことで、認識の違いやミスによるトラブルの発生を防ぐことができます。

工事請負契約書が証拠となるため、「言った・言わない」のトラブルも予防できます。

 

また、トラブル発生時の対応を記しておくことで、実際にトラブルが発生した際も、速やかに対応することが可能です。

 

つまり、何か予定外のことが起きても、工事請負契約書という契約内容の証拠を残しておくことで、合意事項を確認できたり、対応や責任の所在を明確にしたりすることができるのです。

ただし、あらゆるトラブルに備えるためには、契約書に記載する事項を充実させておくことが大切です。

 

対等な立場での契約を締結するため

対等な立場での契約締結を行えるという点も、この契約書を交わす目的のひとつ。

 

多くはありませんが、建設工事では、発注者が有利な立場を利用して受注者に無理のある要求を行い、対等ではない関係で契約を結ぼうとするケースもあります。

例えば、「代金支払いのタイミングが明示されない」「一方的に急な変更を指示される」などが挙げられます。

 

しかし、工事請負契約書に支払いのタイミングや変更時の対応などを細かく記しておけば、発注者が受注者に一方的な対応を取ることはできません。

 

工事請負契約書の多くには、より明確で対等な契約を促進するための建設工事標準請負契約約款が適用されているため、この契約書を交わすことで過度な力関係の偏りを避けることが可能です。

 

工事請負契約書の記載内容とは?

工事請負契約書に記載する内容は、建設業法で定められています。

どのような内容を記載しなければならないのか確認していきましょう。

 

記載が義務付けられている項目

建設業法第19条「建設工事の請負契約の内容」で定められている、工事請負契約書への記載が義務付けられている事項は、次の16点です。

  1. 工事内容
  2. 請負代金の額
  3. 工事着手の時期及び工事完成の時期
  4. 工事を施工しない日または時間帯の定めをするときは、その内容
  5. 請負代金の全部または一部の前金払または出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
  6. 当事者の一方から設計変更または工事着手の延期もしくは工事の全部もしくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更または損害の負担およびそれらの額の算定方法に関する定め
  7. 天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担およびその額の算定方法に関する定め
  8. 価格等の変動もしくは変更にもとづく請負代金の額または工事内容の変更
  9. 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
  10. 注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め
  11. 注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期
  12. 工事完成後における請負代金の支払の時期および方法
  13. 工事の目的物が種類または品質に関して契約の内容に適合しない場合における、その不適合を担保すべき責任または当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
  14. 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
  15. 契約に関する紛争の解決方法
  16. その他国土交通省令で定める事項

 

請負契約にあたっては、上記事項を契約書に記載し、署名または記名押印の上、発注者と受注者の双方が交付を受ける必要があります。

ただし、5、10、13の事項については、必要な場合のみの記載が認められています。

 

特に注意して記載しておいた方が良い内容

契約書の作成にあたっては、万が一のトラブルを避けるため、以下の点については特に詳しく記載しておくと良いでしょう。

  • 工事が遅延した時の違約金について
  • 工期が延長した場合について
  • 請負代金の変更について
  • その他の事項

 

それぞれについて、詳しくご紹介します。

 

工事が遅延した時の違約金について

受注者の落ち度によって工事が遅延した場合、発注者は受注者に違約金を請求することが可能です。

 

ちなみに違約金の額については、民間建設工事標準請負契約約款で「延滞日数に応じて、請負代金額に対し年14.6%以内の割合で計算した額」が推奨されています。

 

トラブルを避けるため、この場合の違約金の取り扱いや金額については、契約書へ明確に記しておくようにしましょう。

 

工期が延長した場合について

天候の影響を受けやすい工事では、工期が延長されることは珍しくありません。

この場合、やむを得ない事情による工期の延長は認められ、その日数は発注者と受注者との協議によって決められるのが一般的です。

 

また多くの場合、やむを得ない工期延長については、受注者に責任を負わせることはしません

契約書には、これらのことについても、はっきりと記載しておきましょう。

 

工期延長時の対応については、以下でも詳しくご紹介しています。

工期延長の場合の費用負担は誰がする?項目や積算方法も解説

 

請負代金の変更について

契約書には、工事発注後の請負代金の変更に対応する規定も入れます。

工事では、発注後に急な変更があり追加工事が発生したり物価が上がって資材が高騰したりして、当初契約時の請負代金を変更する必要が生じる可能性があるためです。

 

後から発生する追加工事にも柔軟に対応できるよう、請負代金の変更に対応できる条項は入れておきましょう。

 

その他の事項

また、契約書には次の事項についても記載しておくことが多いです。

  • 現場請負代理人の選定
  • 一括下請負の定め
  • ローン特約
  • 反社会的勢力の排除
  • 秘密保持条項
  • 管轄裁判所の合意
  • 近隣からのクレーム対応
  • 地中障害物を発見した場合の対応 など

 

記載する内容については、契約ごとに見直しを行い、必要に応じて追記や削除を行いましょう。

 

工事請負契約書はここに注意!

工事請負契約書の注意点についてご紹介します。

 

建設業法にて作成・交付の義務がある

工事請負契約にあたって、工事請負契約書を作成し、署名または記名押印の上で双方に交付することは、建設業法第19条で定められている義務です。

対象は全ての工事であり、建設業許可の有無は関係ありません。

 

もし、契約に際して契約書を取り交わさなかったり法律で定められている記載事項を守っていなかったりした場合には、法律違反として行政処分を受ける可能性があります。

 

処分の内容は、「国土交通大臣または都道府県知事からの指導」「1年以内の営業停止処分」「建設業許可の取り消し」など。

また、これらの処分の公告により、会社のイメージや信用が大きく損なわれる恐れもあります。

 

このような処分を避けるためにも、請負契約時には必ず工事請負契約書を作成し、内容も漏れのないようしっかりと確認しましょう。

 

建設工事の指針となる建設業法については、こちらのコラムで詳しくご紹介しています。

建設業法とは?簡単にわかりやすく解説! 

 

印紙税がかかる

工事請負契約書は、印紙税法での課税文書にあたります。

そのため、印紙を貼付しなければなりません。

 

印紙の額は契約金額によって次のように定められています。

  • 100万円超200万円以下:400円(200円)
  • 200万円超300万円以下:1,000円(500円)
  • 300万円超500万円以下:2,000円(1,000円)
  • 500万円超1,000万円以下:10,000円(5,000円)
  • 1,000万円超5,000万円以下:20,000円(10,000円)
  • 5,000万円超1億円以下:60,000円(30,000円)
  • 1億円超5億円以下:100,000円(60,000円)
  • 5億円超10億円以下:200,000円(160,000円)
  • 10億円超50億円以下:400,000円(320,000円)
  • 50億円超:600,000円(480,000円)

※()内は2024年3月末までの軽減税率

 

電子契約も可能

工事請負契約は、電子契約での締結も可能です。

その場合、工事請負契約書を電子化し、双方に送付する必要があります。

 

また電子契約の場合、印紙の貼付は不要です。

大きな額の工事では印紙の額も大きくなるので、電子契約を利用することで印紙費用を節約することができます。

 

電子契約は、ペーパーレス推進にも効果的。

建設業界のペーパーレス化については、こちらのコラムもご覧ください。

建設業界でペーパーレス化が必要な理由は?メリットや具体策も紹介! 

 

なお、工事請負契約にあたっては、工事にかかる費用の明確な見積が必要になります。

見積を出すには、積算によって必要なコストを一つひとつ積み上げていかなければなりません。

この業務は作業量が多く、内容も複雑です。

 

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工事請負契約書とは契約時の作成・交付が義務化されている書類

工事請負契約書とは、工事の請負契約を行う際に、発注者と受注者の間で交わされる契約書のことです。

その作成・交付、また記載内容は建設業法で定められており、これを守らなければ法律違反として処分を受ける可能性があります。

 

工事請負契約書はトラブルの予防や対等な契約締結に有効な書類です。

建設業法により、16項目が記載が必要な項目として定められていますが、特に工期の延長やその違約金についてはトラブルが起きやすい部分なので、詳しく記載しておくようにしましょう。

 

工事請負契約書を作成するには、工事にかかる費用の明確な積算見積が必要になります。

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