こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建設業において、従業員を雇用せず、自分1人だけで、もしくは自分と家族だけで事業を行う個人事業主のことを、「一人親方」と呼びます。
一人親方は、工事保険への加入の必要性が高い働き方です。
それはなぜなのでしょうか。
また、工事保険では、どのような補償が受けられるのでしょうか。
今回は、工事保険の補償内容とその必要性について、わかりやすく解説します。
目次
工事保険とは?補償内容をチェック!
工事保険とは、工事の実施にあたってリスクに備える損害保険のことです。
工事の中で事故が発生し、人がケガを負ったり物が壊れたりした場合、工事の責任者である事業主が負う損害賠償責任とその金額は大きなものになります。
このようなときに発生する損害賠償金の支払いを事業主に代わって行うのが、工事保険の役割です。
事業主は、工事保険に加入し、規定の保険料を支払うことで、多額の損害賠償金の支払いリスクを軽減させることができます。
工事保険の種類
工事保険の種類は、「何に備えるか」によって、大きく以下の3つに分類されます。
- 従業員や下請けのケガに備える保険
- 物の損害に備える保険
- 第三者の損害に備える保険
それぞれどのような保険が該当するのか、詳しくみていきましょう。
従業員や下請けのケガに備える保険
工事保険としてまず挙げられるのが、自身の会社の従業員や下請け業者の従業員のケガ・死亡に備える保険です。
この保険には、「使用者賠償責任保険」「政府労災保険」「労災上乗せ保険」などの種類があり、それぞれ保険の内容などは異なります。
【使用者賠償責任保険】
業務上の災害によって、被災者やその遺族から損害賠償請求を受けた際に、損害賠償金や賠償問題解決に要した費用を補償する保険です。
【政府労災保険】
労働者の負った労災によるケガや障害、死亡に対する補償を行う公的保険。
加入は人を雇用する事業者の義務となっており、一人親方の場合は、自身の補償として特別加入が可能です。
【労災上乗せ保険】
政府労災保険の内容を、より手厚いものにするための保険。
政府労災保険で補償されない慰謝料や訴訟費などの補償も可能です。
このうちの政府労災保険は、1人でも従業員を雇用する事業主に対し、法律で加入が義務付けられているものです。
未加入は法律違反として罰則の対象となる可能性があるので、注意しましょう。
また、一人親方の場合は、労災保険の特別加入により、自身のケガや死亡に備えることもできます。
工事中の従業員のケガや死亡については、事業主は高額な賠償請求を受ける可能性がありますが、このような保険に加入しておくことで、万が一に対応することができます。
物の損害に備える保険
次に挙げるのが、工事中に建物や資材、備品などの物に損害があった場合に、その損害を補償する保険です。
この保険の主な種類は、「建設工事保険」「組立保険」「土木工事保険」の3つ。
各保険の補償対象は、次のとおりです。
【建設工事保険】
建物の建設工事(増築や改築含む)中の事故による損害を補償する保険。
解体・撤去工事は対象外となります。
【組立保険】
建物の内・外装や機械設備等の設置・組み立て工事などにおける事故の損害を補償する保険。
具体的な対象は、発電機やエレベーター、エスカレーター、アンテナの設置組立工事や発電所、製造工場の設備工事などです。
【土木工事保険】
土木工事中の事故による損害を補償する保険。
具体的な対象は、道路工事や鉄道工事、上下水道工事、ダム工事、トンネル工事、河川工事などです。
これらの保険では、対象の工事において、従業員のミスや自然災害、盗難などによって生じた物に対する損害が補償されます。
第三者の損害に備える保険
工事関係者ではない第三者に損害を与えた場合に、その損害を補償する保険です。
これに備えられるのが、「請負業者賠償責任保険」や「生産物賠償責任保険(PL保険)」です。
【請負業者賠償責任保険】
工事中に起こった事故によって生じた、第三者のケガや物の損害を補償する保険です。
【生産物賠償責任保険(PL保険)】
工事が終わった後、行なった仕事の結果が原因で生じた事故による第三者のケガや物の損害を補償する保険です。
これらの保険の補償対象には、工事中か工事後かという違いがあります。
補償対象の損害については、損害賠償金をはじめ、訴訟費用や 事故発生における緊急措置費用、損害防止軽減費用、その他協力費用などが支払われます。
保険によって適用・不適用は異なる
保険によって、補償対象は異なります。
例えば、工事中に工具を落として通行人にケガを負わせたケースでは、その損害は請負業者賠償責任保険で補償可能です。
しかし、生産物賠償責任保険をはじめとしたその他の保険では補償されません。
一方、引き渡し後の建設物の不備によって第三者がケガを負った場合、その損害は請負業者賠償責任保険などでは補償されず、生産物賠償責任保険のみで補償されます。
また、自身や従業員のケガは、第三者の損害を対象とする上記の賠償責任保険では補償されません。
よって、人身事故については、賠償責任保険とは別に、労災保険や使用者賠償責任保険によって備える必要があります。
このように、工事保険については「何に適用・不適用となるか」を把握した上で、加入すべきものを判断しなければなりません。
工事保険は一人親方に必要?不要?
一人親方が安心して仕事を行うために、工事保険の加入は必要です。
事故が起きて損害が発生した場合に請求される損害賠償額は、一人親方でも大企業でも同じです。
しかし、同じ金額を請求されても、売上や資産が少ない分、一人親方の負う負担・ダメージは大企業に比べ、大きなものになるでしょう。
このような負担を最小限にするためにも、保険加入による備えは必要なのです。
また、近年では工事保険への加入を発注の条件とする元請業者も少なくありません。
請負工事の受注機会喪失を防げることも、保険加入によって生じる一人親方のメリットでしょう。
一人親方が工事保険に加入する際の注意点
一人親方が工事保険に加入する際には、次の点に注意する必要があります。
補償範囲をよく確認すること
保険によって、補償範囲は異なります。
加入にあたっては、何が補償されて何が補償されないのか、事前によく確認するようにしましょう。
それを踏まえ、保険契約では、自身の働き方に合った補償内容の保険を選ぶことも大切です。
例えば、従業員を雇用しない一人親方の場合、使用者賠償責任保険の加入は必要ありませんが、一時的に人を雇用する可能性がある場合には、この保険への加入を検討すべきでしょう。
また、政府労災保険については、一人親方は通常加入が認められていません。
ただし、特別加入という形での任意加入は可能なので、この手続きも検討する必要があります。
加入する保険については、補償内容をよく確認し、その要・不要を慎重に見極めることが大切です。
保険料が高くなる可能性があること
保険は、支払う保険料も商品によって異なります。
手厚い補償を付けようとすると、保険料の支払いが負担となる恐れがあります。
これを避けるためには、本当に必要な保険だけに入ることが重要。
手当たり次第に保険に入るのではなく、自身にとってのその必要性を重視し、「月間・年間でいくらの保険料の支払いが発生するのか」をしっかり把握しておくようにしましょう。
どの保険が合っているのかの判断が難しい場合には、専門家に相談するのもおすすめです。
また、工事に際して加入する保険の保険料は、経費の仕分け上、現場管理費に分類されます。
その詳しい取り扱いについては「現場管理費とは?その重要性や一般管理費との違いもチェック!」をご一読ください。
一人親方に工事保険は必須!万全の備えで安定的な経営を
工事保険は、建設工事での事故による損害に備えるための保険です。
これは、補償対象によって大きく「従業員や下請けのケガに備える保険」「物の損害に備える保険」「第三者の損害に備える保険」の3つに分かれ、さらに具体的な保険商品によって詳しい補償内容は異なります。
大企業に比べ、売上や資産が少ない場合が多い一人親方にとって、これらの保険加入の必要性は非常に高いと考えられます。
保険に加入しておけば、万が一の事故の際にも、損害賠償金の支払いによる事業のダメージを軽減することができるでしょう。
ただし、保険加入には保険料の支払いが生じます。
その負担を最低限にするためには、各保険の内容をよく確認し、自身に必要なものを見極めることが大切です。
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