こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
一般的な建設工事現場では、仮設トイレを設置します。
工事を行う作業員は、作業中このトイレを使用することになります。
しかし、従来の仮設トイレには多くの課題があり、それが作業員の負担となっていました。
そこで、この課題を解決するために定められたのが、一部工事における水洗式の洋式仮設トイレ設置標準化です。
今回は、この洋式の仮設トイレの設置義務や基準、積算方法などについて詳しく解説します。
目次
建設工事現場では洋式仮設トイレ設置が義務?仮設トイレの現状も
建設工事現場では仮設トイレが建てられ、作業中の作業員はこのトイレを利用します。
2016年、国土交通省は建設現場に設置する仮設トイレについて、「快適トイレ」を標準とすることを決めました。
使用基準については後ほど詳しくご紹介しますが、「快適トイレ」とは、衛生的で誰でも快適に使用できるような仕様が満たされた水洗式の洋式トイレのこと。
ユニット型やハウス型、車載型などのタイプが存在します。
「快適トイレ」は、現状まだ流通量が多くないという背景もあり、実は義務ではなく「標準化」という形で設置を推奨されています。
快適トイレの設置が標準とされているのは、国土交通省の直轄工事に限られますが、誰もが使いやすい仮設トイレを整備する動きは多くの建設・工事現場に広がってきています。
※2023年3月現在
この快適トイレの導入の背景には、従来の仮設トイレにおけるさまざまな問題が影響しています。
仮設トイレの標準仕様が定められた背景・目的
仮設トイレの標準仕様が定められた背景には、従来の仮設トイレにおける「衛生面の問題」と建設業界における「女性の活躍推進」が関係しています。
衛生面の問題
従来の仮設トイレは、和式の非水洗トイレが主流でした。
和式の非水洗トイレは手軽な仮設トイレではありますが、臭いが強い、虫が湧きやすいなど、衛生面での問題があります。
また、定期的な汲み取り作業を行わなければならなかったり、人や物がトイレに落ちてしまったりと、手間やリスクも生じていました。
このような衛生的とはいえないトイレに、現場からは不満の声も。
使える(使いたいと思う)トイレが近くにない環境は、決して良い職場環境だとは言えません。
このような従来の仮設トイレにおける衛生面での問題を解決し、誰もが快適に清潔に使えるトイレを整備することが、「快適トイレ」標準化の目的のひとつです。
女性の活躍推進
近年では、建設・工事現場で女性が活躍することも多くなりました。
しかし、従来の仮設トイレは和式の非水洗。
男性よりもトイレの滞在時間が長くなりやすい女性にとって、不衛生なトイレの利用を余儀なくされることは大きな不満につながりやすいです。
このような不満が積み重なって、離職の原因の一つになることもあるでしょう。
誰もが活躍できる社会にとって、女性の活躍は非常に重要です。
とくに建設業界は慢性的な人手不足が課題となっており、女性の活躍できる環境を整備することが急務なのです。
この女性の活躍を推進し、離職を防ぐための課題のひとつとして行われたのが、トイレ環境の改善。
洋式で衛生面にも気を配った「快適トイレ」の設置標準化によって、現場で働く女性の負担を軽減させることも目的のひとつとなっています。
衛生的で安心なトイレの整備は、女性の活躍・離職防止のための一手段として有効でしょう。
仮設トイレの現状
快適トイレが標準設置対象ではない工事の仮設トイレについても、近年は和式から洋式への移行が進んでいます。
家庭と同じように使える水洗のトイレを設置する現場も増えているようです。
ただし、コストの面から非水洗の和式を設置する現場も、まだまだ少なくはありません。
建設現場における仮設トイレがより快適なものに変わっていけば、災害時などに設置される仮設トイレもより快適化が進むと考えられています。
現場の作業員が快適にトイレを使えることはもちろん、このような副次的効果の観点からも、「快適トイレ」が標準設置対象ではない現場でも、仮設トイレの快適化が進んできているのです。
国土交通省が定める「快適トイレ」に求められる仕様とは?
国土交通省が定める「快適トイレ」とは、男女問わず誰でも快適に使用できる仮設トイレのことです。
このトイレに必要な仕様は、次の通りです。
【トイレに求める機能(※必須)】
- 洋式便座
- 水洗(簡易水洗)、またはし尿処理装置付き
- 臭い逆流防止機能付き(フラッパー機能付き)
- 容易に開かない施錠付き(二重ロックなど)
- 照明設備(電源なしでいいもの)
- 衣類を掛けるフック付き、または荷物を置ける設備付き(耐荷重5kg以上)
【付属品(※必須)】
- 男女別の明確な表示(女性が現場にいる場合)
- 入口の目隠し版の設置(入口が直接見えないようにする)
- サニタリーボックス(女性専用トイレ)
- 鏡付き洗面台
- 便座除菌シートなどの衛生用品
【推奨する仕様・付属品】
- 室内の寸法900mm×900mm以上
- 擬音装置
- フィッティングボード
- 多重フラッパー機能
- 室内温度の調整設備(窓など)
- 小物置き(トイレットペーパーの予備置きなど)
上記のうち、「トイレに求める機能」と「付属品」は必須です。
「推奨する仕様・付属品」については、あるとより快適にトイレを使用できるものなので、できる限り設置を心掛けると良いでしょう。
まだ快適トイレの設置標準化が適用されていない現場でも、より良い労働環境の実現のために、上記の仕様を参考に仮設トイレを検討してみてください。
建設・工事現場の仮設トイレの積算方法と設置基準
仮設トイレの設置基準と積算方法についても確認していきましょう。
仮設トイレの設置基準
建設現場の敷地内に仮設トイレを設置する場合、特に設置基準は定められていません。
随時移動が可能なものなので、建築物という扱いにはならないのです。
ただし、敷地外に設置する場合には、道路使用許可および道路占有許可の届出を警察署に出す必要があります。
設置場所が敷地内か敷地外かによって、取り扱いが異なるので注意しましょう。
仮設トイレの積算方法
仮設トイレは、基本的に共通仮設費として積算を行います。
共通仮設費は、工事施工そのものに直接性はないものの、工事全体を進めるために必要となる費用のことを指します。
仮設トイレ以外にも、工事用道路や隣接物との養生費、仮設事務所などが該当します。
共通仮設費や共通仮設費を含む工事価格の構成については、下記コラムもご参考ください。
工事価格の構成とは?内訳や積算に関わる直接工事費や間接工事費も
ただし、「快適トイレ」についてはまだ市場流通数が少ないのが実情。
積算時には、導入の可否が判断できない可能性があります。
「快適トイレ」の設置対象となっている工事では初めから金額を計上するのではなく、原則、「快適トイレ」を実際に導入できた場合にのみ、変更契約として「快適トイレ」の金額を計上することになっており、具体的には下記のような決まりがあります。
「快適トイレ」の金額計上の上限は、1基51,000 円/月(男女別一体型のハウス型トイレの場合は1基102,000円/月)、男女別は計2台まで。
「積算上の差額(実際にかかった金額-10,000円)」または「1基51,000 円/月(または1基102,000円/月)」のうち、安い方の額で、共通仮設費として積算を行います。
実際にかかった金額では計上しないので、注意してください。
また、上限額を超える費用については、現場環境改善費を計上している場合はその対象とすることができ、共通仮設費としては積算しません。
※2023年3月現在
積算時は積算見積ソフトの活用を
建設工事にあたっては、仮設トイレをはじめとした積算項目が多数。
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建設工事現場の仮設トイレは水洗・洋式の「快適トイレ」が標準!
2016年以降、国土交通省直轄の建設工事について、水洗・洋式の「快適トイレ」の設置が標準化されました。
従来の仮設トイレに比べ、快適性に力を入れた快適トイレの設置は、現場で働く女性技術者の活躍にも役立つと考えられています。
その仕様については、機能や付属品など明確に定められているので、設置にあたってはよく確認するようにしましょう。
また、快適トイレをはじめとした仮設トイレは、基本的に共通仮設費として積算を行います。
ただし快適トイレは、工事によっては上限金額や積算上の差額など、通常の積算とは取り扱いが異なる点があります。
積算時には、この点に気をつけ、間違いのないように計上するようにしましょう。
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