こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
2050年のカーボンニュートラル実現に向け、世界的に脱炭素の動きが強まっています。
住宅などの建築物も例外ではなく、国内でも建築物における省エネ性能の規定が厳格化されることになりました。
それが、2025年施行予定の省エネ基準適合義務化です。
この制度により、新築住宅・非住宅に必要な設備や手続きは大きく変わります。
そこで今回は、2025年の新制度施行による省エネ基準適合義務化について詳しく解説します。
※2023年6月現在の情報です。
目次
そもそも省エネ基準とは?
省エネ基準とは、建築物省エネ法に定められた、建築物における省エネ性能の基準および規制のこと。
1980年に制定されたこの法律は数回の改正を経ており、現在では2016年の改正内容が基準とされています。
建築工事を請け負う建設業者は、この省エネ基準にもとづいて、工事を実施しなければなりません。
そのため、省エネ基準の内容の把握は、建設業者にとって非常に重要です。
省エネの評価基準
住宅における省エネ性能の評価には、次の2つの基準が用いられます。
- 住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準
- 設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準
各基準について詳しく確認しておきましょう。
1.住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準
外皮性能を評価する基準の指標は、次の2つです。
- 断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率(UA値)」
- 日射遮蔽性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)」
上記指標を「外皮の部位の面積の合計」ごとに算定することで、省エネ性能の評価を行います。
基準値が地域別に設けられており、その基準値から評価されることになります。
一般的には、UA値・ηAC値が小さいほど、冷暖房の効率が良く、外の気温の影響を受けにくい住宅だといえます。
2.設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準
一時エネルギー消費量とは、住宅内で消費するエネルギーの総量のこと。
これを評価する基準の指標は、次の5つです。
- 暖冷房
- 換気
- 照明
- 給湯
- 再生可能エネルギー(太陽光発電等)
この基準では、上記設備における消費エネルギーの総量を規定の基準と比較し、「消費エネルギーをどれだけ削減できているか」を評価します。
ただし、地域区分や床面積、設備などによって基準値は異なるので注意しましょう。
省エネ住宅の種類
「省エネ住宅」とは、「断熱等性能(外皮性能)等級4以上」かつ「一次エネルギー消費量等級4以上」と評価される住宅のこと。
例としては、次のような住宅が該当します。
- ZEH(ゼッチ)住宅:省エネと創エネで、一次エネルギーの年間消費量を実質ゼロ以下にする住宅
- 認定低炭素住宅:省エネ性能とともに、二酸化炭素の排出抑制のための対策が整備されている住宅
- LCCM住宅:建築から解体までを通して、二酸化炭素の収支をマイナスにする住宅
- 性能向上認定住宅:法律にもとづいて認定された、断熱性や設備の基準を満たす住宅
これらは全て地球温暖化対策としての省エネルギー性能を有する住宅です。
住宅の種類によって必要な設備は異なります。
省エネ基準適合義務化とは?法改正で何が変わる?
2022年6月公布の「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」をもとに、建築物省エネ法が改正されました。
これにより、2025年4月からすべての新築住宅・非住宅に対し、省エネ基準への適合が義務化されることになります。
この省エネ基準適合義務化のポイントは、次の3つです。
- 原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられる
- 建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査が行われる
- 新法の施行開始は2025年4月予定
各ポイントについて詳しくご説明します。
原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられる
今回の法改正の主要な変更点は、「原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務付けられる」こと。
現行法で省エネ基準への適合が義務付けられているのは、300㎡以上の大・中規模非住宅のみでした。
これに含まれない住宅・非住宅に「適合義務」はなく、その代わりに大・中規模の住宅には「届出義務」、300㎡未満の小規模住宅・非住宅には「説明義務」が課せられていました。
しかし、今回の法改正によってこの分類は撤去され、全ての新築住宅・非住宅について、省エネ基準への適合が義務付けられることになります。
規模や住宅・非住宅の違いによる義務の違いはなく、「届出義務」は廃止される予定です。
ただし、政令で定める規模(10㎡以下の想定)の建築物や現行法で適用除外となっている建築物については、今回の義務化の対象外となります。
また、建物の増改築については、増改築する部分に対し、省エネ基準への適合が求められます。
建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査が行われる
省エネ基準適合義務化により、新制度施行後には、建築確認手続きの中で省エネ基準への適合性審査が行われることになります。
この審査では、建築主による「省エネ性能確保計画の提出」が必要で、それをもとに行政が「省エネ適合性判定」を行い、「適合判定通知書」を発行します。
そこから、この通知書を受け取った建築主事または検査機関による「省エネ基準適合の確認」が行われ、問題がなければ工事の着工となります。
また、竣工完了時にも適合検査が行われます。
この手続きに不備がある場合、審査が通らず、着工や完成が遅れてしまう可能性があるので、スムーズに手続きを進められるよう、手続きの流れをしっかり確認しておきましょう。
また、仕様基準を用いるなど審査が比較的容易な建築物については、手続きが簡易化され、適合性判定の手続きが省略されます。
さらに、以下の建築物については、適合性審査は不要です。
- 建築確認の対象外の建築物(都市計画区域・準都市計画区域の外の建築物で、平屋かつ200㎡以下)
- 建築基準法における審査・検査省略の対象である建築物(都市計画区域・準都市計画区域の内の建築物で、平屋かつ200㎡以下であり、建築士が設計・工事監理を行なったもの)
このような一部の対象における審査の省略は、審査手続きによる申請者および審査者の過剰な負担増加を避けるためのものです。
新制度の施行開始は2025年4月予定
新築住宅・非住宅の省エネ基準への適合義務化は、2025年4月1日に施行予定となっています。
対象となるのは、施行日以降に着工する建築物。
建築業者は、新制度の施行開始までに、新制度に対応できる体制を整えておかなければなりません。
そのためには、まず制度の概要を正しく把握することが大切です。
制度詳細については、国土交通省のホームページから確認できますので、必ずチェックしておきましょう。
制度について把握したら、新制度に対応できるよう自社の業務工程の見直しを行うことも忘れずに。
事前準備が整っていれば、比較的スムーズに新制度へ対応できるでしょう。
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住宅の省エネ基準適合義務化は2025年から!体制構築は万全に
省エネ基準とは、建築物省エネ法に定められた、建築物の省エネ性能の基準のこと。
この基準は、外皮性能と一次エネルギー消費量の評価から成り、地域や設備によって基準値が設定されています。
2022年の法改正により、全ての新築住宅・非住宅について、この省エネ基準への適合が義務化されることになりました。
この制度の施行開始は2025年4月から。
それに伴い、適合審査制度も導入されることになります。
この制度にスムーズに対応するために、建設業者は制度を正しく理解しておかなければなりません。
そして、施行までに制度に対応できる体制を構築しておきましょう。
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