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積算の基礎知識

2025.11.04

経営事項審査の点数とは?点数アップの方法と目安

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

公共工事の入札に参加するためには、経営事項審査(経審)を受けることが必須です。

この経審で算出される点数によって、入札できる工事の規模が大きく変わってきます。

自社の点数がどのように決まるのか、どこを改善すれば点数が上がるのかを理解することは、公共工事の受注拡大に向けて非常に重要です。

 

今回は、経営事項審査の点数の仕組みや目安、そして点数を上げるための具体的な方法について解説します。

公共工事の受注を目指す企業の方は、ぜひ参考にしてください。

経営事項審査が必要な公共工事

経営事項審査の点数の仕組みとは?目安も紹介

経営事項審査は、公共工事を直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査制度です。

一般的に「経審(けいしん)」と略して呼ばれます。

 

この審査を通じて、国や地方自治体は建設業者の経営力や施工能力、社会的信頼性を客観的に評価します。

 

経審の結果は「総合評定値(P点)」という点数で表され、この点数が入札参加資格の等級(ランク)を決める重要な指標となります。

P点が高いほど、より大規模な公共工事の入札に参加できる機会が増えるという仕組みです。

 

公共工事の入札参加の全体的な流れについては「公共工事の入札の流れ 初心者でもわかる準備から契約まで」で詳しく解説しています。

あわせて参考にしてくださいね。

 

総合評定値(P点)の構成要素

経審の総合評定値(P点)は、5つの評点を定められた割合で組み合わせて算出されます。

 

計算式は以下のとおりです。

◆総合評定値(P点)=X1×0.25+X2×0.15+Y×0.20+Z×0.25+W×0.15

 

XやYといったそれぞれの評点が企業のどのような側面を評価しているのか、一つずつ確認していきましょう。

 

X1(完成工事高評点)とは

X1評点は、過去の完成工事高を評価する項目で、全体の25%という大きなウェイトを占めています。

 

工事種類別の年間平均完成工事高が評価対象となり、金額が多いほど高い点数が付けられます。

安定的に工事を受注し、実績を積み上げていくことが重要となります。

 

X2(自己資本額および平均利益額評点)とは

X2評点は、企業の財務的な体力と収益性を測る項目で、全体の15%を占めています。

 

貸借対照表の純資産合計額である「自己資本額」と、直近2年間の「平均利益額」が評価対象です。

平均利益額は、営業利益に減価償却費を加えた「利払前税引前償却前利益」の2年平均で算出されます。

 

自己資本が厚く、安定した利益を出している企業ほど高評価を得られる仕組みです。

 

Y(経営状況評点)とは

Y評点は、企業の経営状況を詳しく分析する項目で、全体の20%を占めています。

 

財務諸表を用いて、企業の健全性や収益性を総合的に評価するものです。

具体的には「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全性」「絶対的力量」という4つの観点から分析が行われます。

 

Z(技術力評点)とは

Z評点は、企業の技術力を評価する項目で、X1と同じく全体の25%という大きなウェイトを占めています。

 

評価対象となるのは「技術職員の人数と保有資格」「元請完成工事高」の2つです。

技術職員については、1級施工管理技士などの高位資格を持つ技術者が多いほど高得点になります。

 

また、元請けとして完成させた工事の実績も重要な評価要素です。

技術者の資格取得支援や、元請工事の積極的な受注が点数アップにつながります。

 

W(その他の評点・社会性等)とは

W評点は、企業の社会的な責任や貢献度を評価する項目で、全体の15%を占めています。

 

評価対象は多岐にわたり、社会保険の加入状況、退職金制度の導入、防災協定の締結、建設業経理士の配置、ISO認証の取得などが含まれます。

近年、この項目の重要性が高まっており、特に社会保険未加入事業者への減点が強化されています。

 

労働環境の整備や地域貢献活動に積極的に取り組むことが、W評点の向上につながります。

 

経営事項審査の点数の目安

経審の総合評定値(P点)の平均は、700点前後といわれています。

 

点数帯別の状況を見ると、900点以上なら優秀、800点台なら良い、700点台なら普通、600点台ならあまり良くない、500点台なら改善が必要というのを目安にすると良いでしょう。

大規模工事に参加するためには1,000点以上が目安といわれています。

 

P点は、公共工事の入札参加資格の等級(A・B・C・D・E)を決める基準となります。

より規模の大きい公共工事に参加したい場合には等級の高さが必要となるため、P点を高める対策をしなければなりません。

 

経営事項審査の点数を上げるための即効性の高い方法

経営事項審査の点数を上げる方法を考える人

決算日までに実施できる、比較的取り組みやすい点数アップの方法をご紹介します。

特にW点の点数アップは取り組みやすいため、次回の経審に向けてぜひ検討してみてください。

 

社会保険への適切な加入(W点)

雇用保険、健康保険、厚生年金保険への加入は、建設業者にとって必須です。

 

これらの社会保険に未加入の場合、W評点で大幅な減点となります。

反対に言えば、適切に加入していれば減点を避けられるので、点数の底上げにつながります。

 

従業員の福利厚生という観点からも、社会保険への加入は欠かせない対策と言えるでしょう。

 

建設業退職金共済(建退共)への加入(W点)

建設業退職金共済(建退共)は、建設業で働く従業員のための退職金制度です。

建退共に加入すると、W評点での加点が得られます。

 

従業員の福利厚生を充実させながら、経審の点数も向上させられる有効な対策です。

 

加入手続きは比較的簡単ですので、未加入の場合は検討することをおすすめします。

 

法定外労災保険への加入(W点)

法定外労災保険は、民間の損害保険会社が提供する労災の上乗せ補償です。

一定の条件を満たす保険に加入していれば、W評点で加点の対象となります。

 

従業員の安全確保と福利厚生の充実につながるだけでなく、経審の点数アップにも貢献します。

 

退職一時金制度の導入(W点)

企業独自の退職一時金制度もW評点の加点対象です。

建退共は主に現場で働く従業員向けですが、退職一時金制度は事務職員なども対象となります。

 

両方の制度を組み合わせることで、より多くの加点を得ることが可能です。

人材確保という観点からも、退職金制度の整備は重要です。

 

建設業経理士の配置(W点)

1級または2級の建設業経理士資格を持つ従業員を配置すると、W評点で加点されます。

建設業経理士は、建設業特有の会計処理に精通した専門家です。

 

社内で資格取得を支援する制度を設けることで、従業員のスキルアップと経審の点数向上を同時に実現できます。

資格取得費用の補助や、勉強時間の確保といった支援体制を整えましょう。

 

建設業経理士について、こちらでもご紹介しておりますので、あわせてご参考ください。

建設業経理士の試験の難易度(合格率)を詳しく解説!

 

監理技術者講習の受講(Z点)

すでに1級の国家資格を持っている技術者がいる場合、監理技術者講習を受講することで点数が上がります。

1級技術者は通常5点ですが、講習を受講すると6点に加点されます。

 

講習は短期間で完了するため、確実に点数アップができる効果的な方法です。

対象となる技術者がいる場合は、積極的に受講を促しましょう。

 

経営事項審査の点数を長期的に最大化する方法

経営事項審査の点数が高い事業者

ここからは、継続的な取り組みが必要な長期的な点数アップの方法をご紹介します。

経営レベルでの本質的な改善により、安定的に高い評点を維持できます。

 

完成工事高の安定的な確保と工事進行基準の活用(X1点)

X1評点は全体の25%を占める重要な項目ですので、完成工事高を安定的に確保することが大切です。

単年度で波のある受注よりも、継続的に工事を受注していくことが評価につながります。

 

ただし、利益のない工事や赤字工事を受注すると、X1点は上がってもY点が下がる可能性があるため、バランスが重要です。

 

自己資本の充実と財務体質の改善(X2・Y点)

X2点とY点を向上させるには、自己資本を充実させ、継続的に利益を確保することが基本です。

 

増資や利益の内部留保により自己資本を増やすことで、企業の財務基盤が強化されます。

 

恒常的な黒字化を目指し、安定した収益体質を構築することも重要です。

無駄な経費を削減し、経常利益を高める努力を続けていきましょう。

 

負債の圧縮と固定資産の見直し(Y点)

Y評点を改善するには、負債を減らし固定資産を適正化することが効果的です。

 

短期借入金などの流動負債を返済することで、財務指標が改善します。

使用していない固定資産を売却したり、高額な建設機械をリースに切り替えたりすることも検討に値します。

 

ただし、無理な返済や設備投資の抑制は経営を圧迫する可能性があるため、銀行や税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

 

技術職員の資格取得支援(Z点)

Z評点を向上させるには、技術職員の人数を増やし、保有資格のレベルを上げることが重要です。

 

1級施工管理技士や2級施工管理技士などの国家資格取得を奨励しましょう。

資格取得費用の補助制度や、資格手当の支給、勉強時間の確保といった支援体制を整えることで、従業員の資格取得意欲を高められます。

 

技術者の定着率を高める待遇改善も、長期的な技術力向上につながります。

 

元請完成工事高の増加(Z点)

Z評点では、元請として工事を完了した実績が評価され、その実績は、Z評点の中で「技術力」を示す重要な評価要素の一つです。

 

下請け工事が中心の場合、一部を元請契約に転換するだけでも評点アップの効果があります。

元請工事を積極的に受注し実績を積み上げていくことで、Z評点の継続的な向上が期待できます。

 

営業力の強化や、発注者との信頼関係の構築に取り組みましょう。

 

防災協定の締結(W点)

地方自治体や国と防災協定を締結すると、W評点で加点されます。

防災協定とは、災害発生時に建設業者が復旧支援を行うことを約束する協定です。

 

地域貢献という社会的な意義があるだけでなく、経審の点数アップにも大きく貢献します。

複数の防災協定を締結しても点数は同じですが、地域との結びつきを強める意味でも積極的な締結を検討してみてください。

 

ISO認証の取得(W点)

ISO9001(品質マネジメントシステム)やISO14001(環境マネジメントシステム)などの国際規格の認証を取得すると、W評点で加点されます。

これらの認証取得は、社内の業務品質向上や環境への配慮という実質的なメリットもあります。

 

企業の信頼性向上にもつながるため、長期的な視点で検討することをおすすめします。

 

経営事項審査の点数を理解して公共工事の受注を拡大しよう

経営事項審査の点数は、公共工事の入札参加資格を左右する重要な指標です。

総合評定値(P点)は、X1、X2、Y、Z、Wの5つの評点から構成され、それぞれに改善のポイントがあります。

 

即効性の高い対策としては、社会保険への加入建退共への加入監理技術者講習の受講などがあります。

長期的には、財務体質の改善技術者の資格取得支援、元請工事の増加などに取り組むことが重要となるでしょう。

 

経審の点数向上は、企業の健全な成長と公共工事受注の拡大につながります。

計画的に対策を進めましょう。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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