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建物等の解体工事には、さまざまな届出が必要です。
この届出はすべての工事で必要になるわけではなく、建物の規模や工事内容によっては不要となるケースもあります。
ただし、法律で定められた届出を怠ると工事の中断や罰則を受ける可能性があるため、正しい知識を身につけ、対応することが重要です。
今回は、建物等の解体工事の届出について、届出の種類や不要なケース、手続きのポイントなど、わかりやすく解説します。
目次
解体工事を行うために必要な届出とは?
建物等の解体工事を実施する際には、法令に基づく届出が必要になる場合があります。
必要となる主な届出の種類は、以下の6種類です。
- 建設リサイクル法による届出
- アスベスト関連の届出
- 建築物除却届
- 建物滅失登記申請
- 道路使用許可申請
- ライフラインの停止申請
これらは環境保護、作業安全の確保、行政統計などを目的として義務付けられており、条件に該当する工事では必ず届出なければなりません。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
①建設リサイクル法による届出
建設リサイクル法では、解体工事で発生する廃棄物の再資源化と適正処分を促進するため、届出を義務付けています。
この届出における要件は、以下の2つです。
【条件1:使用材料に関する要件】
以下の特定建設資材が使われている構造物を解体する場合。
- コンクリート材料
- コンクリートと鉄を組み合わせた建設資材
- 木質材料
- アスファルト・コンクリート材料
【条件2:工事規模に関する要件】
解体工事が以下の規模に該当する場合。
- 建築物解体:床面積合計80㎡以上
- 建築物新築・増築:床面積合計500㎡以上
- 建築物修繕・模様替え:請負金額1億円以上
- その他工作物工事:請負金額500万円以上
上記の要件を両方とも満たす解体工事では、必ず届出を行う必要があります。
建設リサイクル法について、また建設リサイクル法で定められている解体工事業登録については、以下で詳細を解説しています。
解体工事業登録とは?要件や必要なもの、建設業許可との違いも解説!
手続きの詳細
建設リサイクル法による届出の手続きの詳細は、以下のとおりです。
- 申請者:施主(解体業者への委任可能)
- 申請先:都道府県知事
- 申請時期:工事を着工する7日前まで
手続きを解体業者が代行する場合には、委任状が必要になります。
②アスベスト関連の届出
アスベスト関連の届出としては、次の3つが挙げられます。
- 事前調査報告:解体工事の前に建物のアスベスト使用について調査し、その結果を報告
- 工事計画届:アスベスト使用レベル1・2の建築物について、アスベストの除去や飛散防止作業の際に必要
- 特定粉塵排出等作業実施届出:事前調査によってアスベストの使用がわかった建築物を解体・補修する際に必要
アスベスト含有建物の解体においては、健康被害防止のため特別な届出が義務付けられています。
2022年(令和4年)からは、すべての解体工事でアスベスト含有の有無を調査し、結果を報告することが法律で定められました。
調査で非含有と判明した場合も報告は必須です。
他にも、アスベスト使用レベル1・2に該当する場合には、工事計画届や特定粉塵排出等作業実施届出の提出も必要です。
手続きの詳細
アスベスト関連の届出の手続きの詳細は、以下のとおりです。
【事前調査報告】
- 申請者:アスベスト事前調査の実施業者(事前調査結果報告)
- 申請先:地方自治体
- 申請時期:工事を開始する14日前まで
【工事計画届】
- 申請者:解体業者
- 申請先:労働基準監督署
- 申請時期:工事を開始する14日前まで
【特定粉塵排出等作業実施届出】
- 申請者:施主
- 申請先:地方自治体
- 申請時期:工事を開始する14日前まで
事前調査の結果については、工事現場への掲示と3年間の保存が必要です。
アスベストの事前調査については、こちらでも詳しくご紹介しています。
③建築物除却届
建築基準法に基づき、一定規模以上の建築物を除却する際に必要な届出です。
この届出は、国内でどの程度の建築物が除却されるかの統計を取るために必要とされています。
届出の対象となる工事は、床面積10㎡超の建築物除却工事です。
手続きの詳細
建築物除却届の手続きの詳細は、以下のとおりです。
- 申請者:解体業者
- 申請先:都道府県知事
- 申請時期:工事を開始する前日まで
届出を行わずに工事を開始した場合や虚偽の届出を行なった場合には、罰則規定が設けられているので注意が必要です。
④建物滅失登記申請
解体工事完了後、建物の消失を法務局に登記するために行う届出で、解体工事によって建物が消失した場合に必要になります。
これは、建物が解体により無くなったことを登記簿に記録し、不動産の権利関係を明確にするために必要な手続きです。
申請を怠ると不動産登記上は建物が存在し続けることになり、土地の売却や新たな建築に支障をきたす可能性があります。
手続きの詳細
建物滅失登記申請の手続きの詳細は、以下のとおりです。
- 申請者:施主(土地家屋調査士への委任可能)
- 申請先:法務局
- 申請時期:解体工事が完了してから1カ月以内
建物滅失登記申請については、申請を行わなかったことに対する罰則規定が設けられています。
また、申請を行わないと、建物がないにもかかわらず、固定資産税が課税され続ける可能性がある点にも注意が必要です。
⑤道路使用許可申請
解体工事において、作業車両による道路の使用が必要となる場合の許可手続きです。
以下のような場合には、必ず申請を行わなければなりません。
- 作業車両の道路への駐車が必要な場合
- 足場などの設置により道路の一部を使用する場合
- 工事に伴い道路の継続的な使用が必要な場合
工事の安全性確保と交通への影響を最小限に抑えるために必要な手続きとなります。
手続きの詳細
道路使用許可申請の手続きの詳細は、以下のとおりです。
- 申請者:解体業者
- 申請先:所轄警察署
- 申請時期:工事を開始する前
道路使用許可申請には、手数料が必要です。
許可を得ずに道路上で作業を行なった場合は、処罰の対象となるので注意しましょう。
⑥ライフラインの停止申請
解体工事の安全な実施のため、電気・ガス・水道などの各種ライフラインを適切に停止する手続きです。
停止対象となるライフラインは、以下のとおりです。
- 電力
- ガス
- 水道
- 浄化槽
- 固定電話
- インターネット
- ケーブルテレビ
工事中の事故防止と、使用していない期間の料金発生を避けるためにも大切な手続きです。
手続きの詳細
ライフラインの停止申請の手続きの詳細は、以下のとおりです。
- 申請者:施主
- 申請先:各ライフライン供給事業者
- 申請時期:工事を開始する7日前まで
水道については、工事中の粉塵対策などで使用するため、工事完了後に停止手続きを実施します。
各事業者の都合により停止まで時間を要する場合があるため、早期の連絡が必要です。
届出が不要な解体工事もある?
解体工事のすべてで届出が必要というわけではありません。
法令で定められた基準を下回る工事や、特定の条件に該当する場合は届出不要となります。
建設リサイクル法による届出が不要なケース
以下のようなケースでは、建設リサイクル法による届出は不要です。
小規模解体工事の場合
建設リサイクル法では、解体対象の床面積合計が80㎡に満たない場合、届出手続きは不要とされています。
ただし、自治体によっては、独自の条例により80㎡未満でも届出を求められる可能性があるため、事前確認が重要です。
個人によるDIY解体の場合
施主が自ら行うDIY解体では請負契約が発生しないため、建設リサイクル法の届出は不要となります。
ただし、発生した廃材の適正処理や、アスベスト含有建材への対応は別途必要です。
建築物除却届が不要となるケース
「工事対象部分の床面積が10㎡以下である場合」また「建て替えを目的とした除却工事である場合」という条件に該当する場合、建築物除却届の提出は不要です。
建物滅失登記申請が不要となるケース
元から登記されていない建物や登記名義人がわからない建物については、解体によって建物が消失しても、建物滅失登記申請を行う必要はありません。
解体工事の届出をスムーズに進めるために
解体工事に関する届出手続きを円滑に進めるためのポイントをご紹介します。
早期の計画
解体工事の実施を決定した段階で、まずは必要な届出を洗い出しましょう。
その後はそれぞれの届出の提出期限を考慮し、早い段階でスケジュールを立てます。
必要書類の事前準備
各届出で求められる書類は早めに準備し、慎重に確認を行なって、不備による再提出を防ぎます。
自治体により追加書類が必要な場合があるため、事前に窓口で確認することが大切です。
他業者との役割分担
多くの届出は、解体業者が委任を受け、手続きを行うことができます。
また、建物滅失登記は土地家屋調査士、アスベスト調査は専門調査機関への依頼も可能です。
契約段階で、どの手続きを誰が担当するのかを明確に決めておくことをおすすめします。
自治体窓口での相談
届出内容や必要書類について不明点があれば、各自治体の建設・環境関連窓口で詳細を確認するようにしましょう。
届出の不備による工期延長を避けることができます。
解体工事の届出は要・不要を正しく理解し適切に進めよう
解体工事において必要となる主な届出や申請には、「建設リサイクル法による届出」「アスベスト関連の届出」「建築物除却届」「建物滅失登記申請」「道路使用許可申請」「ライフラインの停止申請」の6つがあります。
これらの届出は、それぞれ申請者や申請先、申請期限などが異なります。
手続きの詳細を正しく理解し、余裕を持って手続きを進めましょう。
ただし、小規模解体や個人のDIYの場合は「建設リサイクル法による届出」は不要です。
また、床面積が10㎡以下・建て替えが目的である場合には「建築物除却届」が、登記されていない・登記名義人がわからない場合には「建物滅失登記申請」が不要になります。
届出の不提出には罰則が設けられていることもあるので、届出の要・不要についてはしっかり確認しておくことが重要です。
事前準備と業者間での連携で、法令を遵守した安全な解体工事の実現を目指しましょう。
不明な点は自治体窓口や専門業者に相談し、トラブルのない工事進行を心がけることが大切です。
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