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積算の基礎知識

2026.06.12

スライド条項とは?押さえておきたい3種類の違いと請求手順

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献するアークシステムです。

近年、建設業界では鋼材や生コンクリートなどの資材価格が急激に上昇し、
積算や見積に苦慮しているという方も多いでしょう。

見積時点の金額では最終的に利益を確保できないケースがあるかもしれません。

そのような状況で会社を守る制度が「スライド条項」です。

ただし、制度を実際に機能させるには、正確な積算根拠と申請タイミングを
逃さない体制が欠かせません。

今回は、スライド条項の概要と目的から、適用範囲の違い、実際の請求手順まで
わかりやすく解説します。

スライド条項の準備書類のイメージ

スライド条項とは?

まずは、スライド条項の概要から、民間工事での適用可否まで順にご説明します。

【スライド条項】

建設工事などの請負契約を結んだ後、資材価格や賃金水準が予期せず
急変動した場合に、
発注者と受注者が協議して請負代金(契約金額)を
見直し・変更できる制度

 

スライド条項の目的

公共工事においては「公共工事標準請負契約約款」の第26条に定められているため、
国や地方自治体が発注する工事には原則として組み込まれています。

制度の目的は、変動リスクを「発注者と受注者が公平に分担すること」にあります。

工事期間が長くなるほど、契約時には予測できなかったコスト増が生じる可能性は高まります。

工期中に発生したリスクを全て受注者だけが負担するのではなく、一定のルールに基づいて双方が負担し合う仕組みがスライド条項といえます。

「昨今の資材高騰で注目されている新しい制度では?」と思われる方もいるかもしれませんが、実は1950(昭和25)年策定の「建設工事標準請負契約約款」の当初から存在しています。

物価が安定していた時代には出番が少なかったものの、近年の急激な資材高騰を受けて、あらためて広く活用されるようになったといえるでしょう。

 

民間工事にも適用できる?

スライド条項は公共工事の約款に規定されていますが、民間工事でも適用できる場合があります。その際の重要なポイントは「契約書への記載が前提」となることです。

民間工事で広く使われている「民間(七会)連合協定工事請負契約約款」にも物価変動に伴う代金変更の規定は設けられています。

そのため、自社の契約書に代金変更に関する条項が記載があれば原則、適用可能です。

民間工事を請け負うことの多い企業は、自社の契約書や注文請書のひな型を今一度確認してみましょう。

もし記載がない場合は「予測困難な程度の物価変動が生じた際は、協議の上で代金を変更できる」旨の条項を事前に盛り込んでおくことをおすすめします。

 

改正建設業法でスライド条項を活用しやすく

2025年12月に施行された改正建設業法により、スライド条項を活用しやすい環境がさらに整いました。

改正法の中で、スライド条項に関わる主なポイントは次の2点です。

1. リスク情報の通知義務

資材の価格高騰や入手困難が生じるおそれがあると認める場合、受注者は契約締結前に発注者へ通知しなければなりません。

2.誠実な協議の努力義務

受注者から価格変更の協議を申し入れられた場合、発注者側は誠実に応じる努力義務を負います。

 

スライド条項には3種類ある

建材高騰によりスライド条項を検討するイメージ

スライド条項は、物価変動の種類や工事の規模によって
全体スライド」「単品スライド」「インフレスライド」の3種類に分けられます。

 

3種類のスライド条項

3種類のスライド条項は、適用条件や受注者の負担割合がそれぞれ異なります。

自社の工事にどの種類が当てはまるかを正しく把握しておきましょう。

 

① 全体スライド(第26条第1〜4項)

全体スライドは、工期が長い工事を対象に、時間の経過に伴う物価・賃金水準の緩やかな変動に対応するための条項です。

主な適用条件は以下のとおりです。

  1. 工期が12カ月(1年)を超える工事であること
  2. 契約締結日から12カ月を経過していること
  3. 残工期が2カ月以上あること
  4. 残工事費に対する変動額が1.5%を超えること

受注者は残工事費の1.5%までを自己負担することが前提で、それを超える分が請負代金の変更対象となります。

 

 

② 単品スライド(第26条第5項)

単品スライドは、鋼材や生コンクリート、アスファルトといった「特定の主要資材」の価格が短期間で著しく高騰した場合に適用される条項です。

契約から12カ月を待たずに適用できるため、近年の激しい資材高騰において
多く活用されています。

主な適用条件は以下のとおりです。

  1. 全ての工事が対象(工期の長短を問わない)
  2. 残工期が2カ月以上あること
  3. 対象資材の価格変動額が、変動前残工事額×1%を超えること

ここで必ず押さえておきたいのは「対象工事費の1%分は受注者の自己負担」になるという点です。資材の高騰分が全て補填されるわけではなく、1%を超えた部分を発注者に請求できます。

申請を検討する際は、この自己負担ラインを念頭においた計算が必要です。

 

 

③ インフレスライド(第26条 第6項)

インフレスライドは、予期できない急激なインフレーション(物価の急上昇)や
デフレーション
が発生した際に、残工事分の代金を見直せる条項です。

 

主な適用条件は以下のとおりです。

  1. 全ての工事が対象
  2. 残工期が2カ月以上あること
  3. 残工事費に対する変動額が、変動前残工事額×1%を超えること

全体スライドと異なり、契約から12カ月を待たずに請求できる点が特徴で、急激な物価変動が起きた局面で迅速に対応できる条項として位置づけられています。

 

3種類の併用について

全体スライドと単品スライド、またはインフレスライドと単品スライドの組み合わせは併用可能です。全体スライドとインフレスライドは対象領域が重なるため、併用できません。

併用する場合は、全体スライドまたはインフレスライドでまず算定し、対応しきれない個別資材の変動分を単品スライドで補完するという順序が基本です。

二重計上を防ぐために単品スライドの算定時には、全体スライドもしくはインフレスライドで反映した分を差し引く必要があります。

 

スライド条項の請求を行う流れ

スライド条項について相談するイメージ

スライド条項を実際に活用するには、受注者側からアクションを起こし、
発注者と合意形成する必要があります。

請求から変更契約の締結までの一般的な流れを4つのステップで整理します。

 

ステップ① 発注者への請求(協議の申し入れ)


資材費の高騰などにより契約金額が不適当になったと判断したら、受注者から発注者へ協議を申し入れ
ます。

その際「工事請負契約書第26条第5項に基づく請負代金額変更の請求について」といった書面を用意しましょう。

重要なのはタイミングを逃さないことです。
工事が完了してから申し出ても、発注者側の予算確保が間に合わずに協議が難航するケースがあります。
資材価格の上昇傾向が見えた時点で、速やかに行動に移しましょう。

ステップ② 協議開始日の確定と残工期の確認


請求を受けた発注者は、請求日から7日以内に協議の開始日を定め、受注者に通知します。

この協議開始日を基準として、スライド条項の適用要件(残工期や金額など)を満たしているかが判断されます。
要件を満たさない場合は適用が認められないため、申請するタイミングにも注意が必要です。

ステップ③ 対象資材・変動額の算定と証拠資料の準備


受注者は、契約時の単価と現在の単価の差額および対象資材の数量を証明する書類をそろえ、発注者に提出します。
必要な証拠資料のポイントは以下の3点です。

  • 数量の根拠
  • 価格の根拠
  • 期間の特定

【数量の根拠】
出来高から差し引いた残数量(発注書・納品書・出来高報告書などで裏付け)

【価格の根拠】
契約時の設計単価と請求時の実勢単価の差額(建設物価調査会のデータやメーカーの見積書・購入伝票など複数の資料で裏付ける)

【期間の特定】
どの時点からどの時点までの変動を対象とするかの明示

これらの資料が不足していると、協議が長引いたり申請が認められなかったりするリスクがあります。

ステップ④ 協議の合意・変更契約の締結

 

算定結果に双方が合意したら、変更契約(増額)を締結します。
増額分の支払いは完工時の精算と合わせて行われるのが一般的です。

協議の内容は口頭で終わらせず、以下の点を議事録として記録に残しましょう。

  • 適用するスライド条項の種類
  • 対象範囲と算定方法
  • 算定結果
  • 次回アクション

 

根拠のある積算がスライド条項を味方につける!

PCでスライド条項のための資料作りを行う人

スライド条項は、正しく活用すれば、資材高騰から会社を守る強力な制度ですが、

制度を有効に機能させるには、正確な積算データと迅速な対応が欠かせません。

 

ここでは、条項を生かすために必要な積算・原価管理のあり方をお伝えします。

 

手書き・表計算ソフトでの対応の限界

物価変動や工期変更に伴うスライド条項の適用には、迅速な見積修正が欠かせません。

しかし、膨大な項目を抱える現場で、手書きや表計算ソフトを使ってこれらに対応することに限界を感じているという方も多いでしょう。

せっかくの制度も、申請の遅れや計算ミスで活用できなければ、損失に直結します。

今、建設業界に求められているのは、環境の変化に対応できる「デジタル基盤」の構築です。

 

 

急な見積修正や、顧客折衝の場でも活躍する「楽王シリーズ」

アークシステムの積算見積ソフト「楽王シリーズ」は、急な見積修正顧客折衝の場でも高い機動力を発揮する、営業ツールとしての側面も持ち合わせています。

例えば、急激な資材高騰が起きた際にも「材料単価の一括更新機能」を使えば、瞬時に見積の再作成が可能です。「集計機能」では、物件全体の原価を正確に把握した上で、
値引きや諸経費・現場経費を即座にシミュレーションするような使い方も可能。

折衝の席上で、相手の出方に応じた金額調整をスピーディーに行いながら、機を逃さずに合意へと導くことができます。

楽王シリーズ

 

パッケージ版 見積ソフト「楽王」

見積作成と修正を劇的に短縮。
大規模な見積内訳も瞬時に調整・修正可能。

  • 【マスタからも、集計側からも】あらゆる価格調整を一瞬で完了
    単価をマスタから内訳書の単価情報を一括変更が可能。集計結果からも単価の変更が可能なため何百行とある見積内訳を瞬時に調整できます。一つひとつの項目を打ち直す手間を無くし、見積修正と提出時間を大幅に削減します。

  • 【顧客折衝の場でも活躍】諸経費や原価のシミュレーション:
    物件全体の原価を確認しながら、その場で値引きや諸経費・現場経費をリアルタイムに調整可能。発注者とのスライド協議の場でも、「どこまでなら折り合えるか」のデッドラインを経営的視点で判断しながら進められます。

  • 企業の運用に合わせて選べるラインナップ:
    手軽に始められるサブスク版「楽王Link/Crew」から、貴社独自の計算数式や帳票レイアウトをそのままカスタマイズできるパッケージ版「楽王3」まで、運用に合わせた最適な環境をご提案します。 

楽王Link/Crew


楽王3

サブスク版 図面拾いソフト「ヒロイくんⅢ」

数量根拠を図面から即出力。
見積の裏付けをスピード作成!

  • 拾い画面がそのまま「数量の証拠」になるマーキング機能
    CADやPDF図面の上を画面上でなぞるだけで、長さや面積を自動集計。拾った場所には色がつき、そのまま出力できるため「図面のどこを数えたか」を発注者へ一目で証明する強力なエビデンス(証拠)としてご活用いただけます。
  • 【クリックするだけの簡単操作】長さや面積を瞬時に拾い出し、集計・リスト化まで全自動:
    図面(CADやPDF)の上をマウスでクリックしていくだけの簡単操作。長さや面積が瞬時に算出され、自動で集計・リスト化されます。電卓を叩きながら手書きでメモし、Excelに打ち直していた膨大な時間が「ゼロ」になります。
  • 「楽王」と連携で更に効率化:
    拾い出し結果を楽王シリーズに連携すれば、見積作成時の手入力による転記作業がゼロに。数量根拠から積算書の作成まで、申請に必要な一連のデータを一気通貫で整えられます。

 

スライド条項を味方に正確な積算で会社の利益を守ろう

スライド条項は、工期中の資材高騰や物価変動に対して、発注者と受注者がリスクを公平に分担するための制度です。

全体・単品・インフレの3種類があり、適用条件や受注者負担の割合はそれぞれ異なります。

制度の活用には正確な証拠資料の準備が不可欠です。

また、申請のタイミングを逃さないことも重要です。

申請の遅れや計算ミスが原因で、せっかくのスライド条項を活用できないことも。

 

楽王シリーズ」は、見積の新規作成だけでなく急な修正への一括対応から、顧客折衝の場で主導権を握る原価シミュレーションまでを一貫して支えます。

後手に回りやすい価格交渉を「確かな根拠と圧倒的なスピード」で優位に進めるために、ぜひご活用ください。

無料の製品説明・資料請求などお気軽にご相談ください

この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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