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建設業者が建設工事を行うには、行政庁による許可の取得が必要です。
それが、「建設業許可」と呼ばれるもの。
この許可は「特定建設業」と「一般建設業」の2種類に分類され、ケースによってどちらが必要かは異なります。
では、特定建設業と一般建設業の違いは何なのでしょうか。
どんな場合にどちらの許可が必要になるのでしょうか。
今回は、特定建設業と一般建設業の違いについてわかりやすく解説します。
目次
特定建設業とは?
軽微な工事を除いて必ず必要になる建設業許可は、その規模によって、「特定建設業」と「一般建設業」の2種類に区分されます。
このうちの特定建設業は、次の場合において、元請業者に必要になる許可のことです。
- 発注者から直接請け負った(元請)工事において、工事1件につき総額4,500万円以上の下請け契約を結ぶ場合
- 建築一式工事で、工事1件につき総額7,000万円以上の下請け契約を結ぶ場合
上記の金額は税込ですが、これに元請側で提供する材料費等は含みません。
また、発注者から直接請け負う工事金額に制限はありません。
そのため、大きな額の工事を発注者から請け負っても、その大部分を自社施工し、下請けに出す工事が4,500万円未満に収まるような場合であれば、特定建設業許可は不要です。
従来、特定建設業許可が必要になるのは、「工事1件につき総額4,000万円以上の下請け契約を結ぶ場合」、また「建築一式工事の場合であれば、工事1件につき総額6,000万円以上の下請け契約を結ぶ場合」とされていました。
しかし、法改正により、2023(令和5)年1月1日からは、それぞれ4,500万円・7,000万円に金額要件が引き上げられています。
特定建設業許可の目的
建設業許可が、特定建設業と一般建設業に区分されているのはなぜなのでしょうか。
その主な理由は、次の2つです。
- 下請け業者を保護するため
- 工事の適切な施工のため
下請け金額の大きな工事にあたっては、もし元請業者が倒産することがあれば、工事を受注し進めていた下請け業者に大きな被害が出る恐れがありますし、工事が適切に施工されなければ、建設中・建設後に大きな事故が起こることもあるでしょう。
このようなことを避けるために、元請業者には経営面・技術面両方の安定が求められます。
この安定性を確保するために設けられているのが、要件の厳しい特定建設業許可なのです。
特定建設業を含む建設業許可については「建設業許可とは?その内容をわかりやすく!要件・取得方法も解説」もご一読ください。
特定建設業と一般建設業の違いを解説!
ここからは、特定建設業と一般建設業の違いを詳しく見ていきましょう。
一般建設業とは
一般建設業とは、建設業許可のうち、軽微な工事を除く次の場合において、必要になる許可のことです。
- 発注者から直接請け負った(元請)工事において、結ぶ下請け契約が工事1件につき総額4,500万円未満である場合
- 元請の建築一式工事において、結ぶ下請け契約が工事1件につき総額7,000万円未満である場合
- 下請けとしてのみ営業する場合
- 全て自社施工する場合
このような工事については、一般建設業許可で対応することができます。
特定建設業と一般建設業の違い
特定建設業と一般建設業には、「元請がどうか」「下請け契約の金額」「許可要件」において、大きな違いがあります。
元請かどうか
特定建設業と一般建設業の大きな違いが、「工事の元請かどうか」です。
発注者から直接依頼された工事を、元請として下請けに出す場合、特定建設業許可が必要になる可能性があります。
ただし、それは次にご紹介する「下請け契約の金額」によって異なります。
下請け契約の金額
ここまでご紹介してきたとおり、特定建設業許可と一般建設業許可では、元請として請け負った工事を下請けに出す際の契約金額も異なります。
表で確認していきましょう。
特定建設業許可で締結できる下請け契約(元請として) |
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一般建設業許可で締結できる下請け契約(元請として) |
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「発注者から直接依頼された工事を、元請として下請けに出す場合、特定建設業許可が必要になる可能性がある」と述べましたが、それは下請け契約の金額が総額4,500万円(または7,000万円)以上の場合のみ。
この金額に満たない契約においては、元請業者は一般建設業許可で対応できます。
また、一次下請けとして工事を受注し、その一部を二次下請けに依頼するような場合でも、元請ではないため特定建設業許可は不要で、一般建設業許可で対応可能です。
許可要件
特別建設業と一般建設業では、許可要件も異なります。
より大規模な下請け契約を締結できる特別建設業は、一般建設業よりも要件が厳しく設定されています。
そもそも特別・一般両方を含む建設業許可を得るためには、規定の6つの要件を満たさなければなりません。
- 経営業務の管理責任者を設置すること
- 営業所ごとに専任技術者を設置すること
- 誠実性があること
- 財産的基礎があること
- 欠格要件に該当していないこと
- 社会保険に加入していること
特別建設業許可を得るには、このうちの「専任技術者の設置」と「財産的基礎」について、より厳しい条件をクリアする必要があります。
■専任技術者の設置
実務経験の面で、特別建設業許可における専任技術者として認められるためには、一般建設業許可の専任技術者要件に加え、次の要件を満たす必要があります。
- 許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上である工事について、2年以上指導監督的な実務経験を有すること
また、専任技術者には業種に応じた専門資格が必要です。
この資格については、一般建設業許可では2級取得で構いませんが、特定建設業許可については1級の取得が要件となっています。
■財産的基礎
財産的基礎の要件は、特別建設業と一般建設業で次のように異なります。
【特別建設業】
次のすべてに該当すること
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること
【一般建設業】
次のいずれかに該当すること
- 自己資本が500万円以上であること
- 500万円以上の資金調達能力を有すること
- 許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
特定建設業に課せられる義務
特定建設業では、課せられる義務も一般建設業に比べ多くなります。
具体的な義務は、次の10種です。
- 許可申請の内容に変更があったときには、期限内に変更届を提出すること
- 標識は各店舗・工事現場に掲示すること
また、請負契約の内容を記載した帳簿は営業所ごとに備え付け、添付書類と一緒に5年間保存すること
また、営業に関する図書を、引き渡しから10年間保存すること - 請負契約の締結において、着工前書面や契約書へ記載必須事項を記すこと
- 工事現場に主任技術者を設置すること
- 請け負った工事を一括して他の業者に請け負わせることはできない
- 下請代金は、発注者から請負代金の支払いがあったときから1カ月以内に支払いを行うこと
- 施工体制台帳を作成し、工事現場に備え付けること
- 工事に関係するすべての下請業者に対し、法令順守指導を実施すること
- 下請代金は、引き渡しの申し出があったときから50日以内に支払うこと
- 監理技術者を工事現場に常駐させること(一般で必要な主任技術者に代えて)
このうち、1〜6までは、一般建設業でも特別建設業でも負う義務ですが、7〜10については特別建設業だけが負う義務です。
この義務を果たさなければ、特別建設業許可は認められません。
特定建設業と一般建設業の違いは下請け契約の規模にある
建設業許可には、特定建設業と一般建設業の区分があります。
このうち、元請として工事を受注した場合に、総額4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の下請け契約を締結するにあたって必要になるのが特定建設業許可。
特定建設業と一般建設業では、上記の下請け契約金額はもちろん、許可取得要件や負うべき義務が異なり、特定建設業にはより厳しい要件や義務が定められています。
金額の大きい大規模な下請け契約にあたっては、元請業者の経営的・技術的安定がより求められるため、このような区分がなされているのです。
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