こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建設業界では「人工(にんく)出し」という言葉をよく耳にします。
人手不足に悩む現場では便利な手段として利用されることもありますが、労働者派遣法との関係で違法となるケースもあり、注意が必要です。
今回は「人工出し」の基本的な意味から違法となる条件、適切な運用方法まで詳しく解説します。
目次
人工出しとは?違法というのは本当?
「人工出し」とは、建設会社が自社の労働者(職人)を他社の建設現場に送り込み、労働力を提供することを指します。
「人工(にんく)」は建設業界で「人の労働力」を意味する言葉で、「人夫(にんぷ)出し」とも呼ばれています。
人工出しが行われる主な理由は以下の通りです。
- 建設現場での人手不足への対応
- 自社の従業員の仕事が少ない時期の収益確保
しかし、このような人工出しは、建設業法上の「建設工事の請負契約」には該当しません。ただ職人を現場に派遣することは、「労働者派遣」に当たります。
建設業は原則として労働者派遣事業が禁止されているため、この形態での人工出しは違法となる可能性が高いのです。
ちなみに、建設業では建設業許可を満たす要件として経営業務管理責任者や専任技術者の配置が求められますが、人工出し・人夫出しの経営管理は、経営業務管理責任者の経営経験にはなりません。
専任技術者の実務経験には数えられます。
なぜ建設現場への労働者派遣は禁止されているのか
建設現場での労働者派遣が禁止されている理由としては、以下のようなものがあります。
理由①労働者の安全確保のため
建設現場は、高所作業や重機操作など、危険を伴う作業が多く、労働災害のリスクが高い場所です。
派遣労働の場合、指揮命令系統が複雑になり、責任の所在が曖昧になることで、労働災害が発生した場合の責任追及が困難になる可能性があります。
また、派遣労働者は、現場の安全管理に関する知識や経験が不足している場合があり、安全確保が難しいという側面もあります。
理由②労働者の雇用安定のため
建設業は、景気や天候によって仕事量が大きく変動するため、雇用が不安定になりやすい業種です。
派遣労働は、雇用期間が限定されることが多く、景気悪化時には「派遣切り」など、労働者の雇用がさらに不安定になる可能性があります。
労働者派遣を禁止することで、建設労働者の雇用を安定させ、長期的なキャリア形成を支援する目的があります。
建設業では、元請け、下請け、孫請けといった多重構造の下で業務が行われることが多く、労働者派遣を認めると、責任の所在が曖昧になり、労働者の保護が難しくなるという背景もあります。
人工出しが全て違法なわけではない
人工出しが全て違法というわけではありません。
以下のような形態であれば、問題なく実施できます。
請負契約(下請契約)を事業者間で締結する場合
建設業者が他の事業者の現場を手伝う場合、請負契約(下請契約)を事業者間で正式に締結すれば問題ありません。
この場合、工事の一部を請け負う形式となり、労働者の指揮命令権は出向元の会社が持ちます。つまり、現場で働く労働者は自分を雇用している会社の管理監督下で働くことになります。
作業単位で仕事を受注する場合
「○○の工事を△△円で請け負う」という形で契約する場合も、請負であると判断され、違反にはなりません。
例えば、「100㎡の塗装工事を5万円で請け負う」といった形式で、作業の結果に対して報酬が支払われる契約形態です。
この場合、どれだけの人員で作業するかは請負側の裁量であり、作業方法を自由に決められることが重要です。
ただし、「1人工いくら」という人単位での契約は労働者派遣とみなされる可能性が高いため注意が必要です。
規定の業務には就かない場合
建設現場の現場事務所での事務員、CADオペレーター、施工管理の業務などは、
「建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業
またはこれらの作業の準備の作業」に直接従事しないので労働者派遣が可能です。
ただし、空き時間等であっても、事務員、CADオペレーター、施工管理の業務などで派遣されてきた労働者に、資材置き場の片付けや整理などをさせることは違反となりますので注意しましょう。
人工出しで労働者派遣法に違反してしまったら?
違法な人工出しを行なった場合、労働者派遣法または職業安定法違反として扱われる可能性があります。
罰則内容
労働者派遣法や職業安定法に違反した場合、法律で定められた罰則が適用されます。
具体的には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。
これは派遣元だけでなく、違法と知りながら労働者を受け入れ働かせる派遣先企業も処罰の対象となります。
また、違反企業には是正勧告が行われ、場合によっては企業名が公表されるため、社会的信用の低下も懸念されます。
建設業許可への影響
違法な人工出しによる罰則は、建設業許可にも大きな影響を与えます。
建設業許可の要件には「一定の欠格要件に該当しないこと」があり、この欠格要件には労働者派遣法や職業安定法違反による罰金刑も含まれています。
代表者や役員が罰金刑を受けた場合、刑の執行終了から5年を経過するまで建設業許可を受けることができなくなります。
つまり、違法な人工出しが発覚した場合、企業の存続に関わる深刻な問題となる可能性があるのです。
建設業許可の詳細については、「建設業許可とは?その内容をわかりやすく!要件・取得方法も解説」もお読みください。
労働契約申込みみなし制度について
「労働契約申込みみなし制度」も、人工出しに関連して理解しておくべき重要な制度です。
この制度は、派遣先で違法派遣が行われると、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込んだとみなされるというものです。
対象となる違法派遣には、以下のような類型があります。
- 派遣労働者を禁止業務(建設業務など)に従事させた場合
- 無許可事業主から労働者派遣を受けた場合
- 期間制限に違反して労働者派遣を受けた場合
- 偽装請負 など
人工出しに関連して知っておくべきこと
人工出しに関連して、以下のようなポイントも知っておくと良いでしょう。
建設業務労働者就業機会確保事業の活用
建設業務労働者就業機会確保事業は、建設業者が適法に労働者を派遣できるしくみです。
この制度を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 労働者の送り出しと受け入れの両事業主が同一建設業事業主団体の構成員であること
- 所属する建設業事業主団体が厚生労働大臣の許可を受けていること
- 許可を受けた実施計画に記載されている送り出し事業主と受け入れ事業主の組み合わせに含まれていること
- 労働者の送り出しと受け入れの目的が常用雇用労働者の一時的な余剰発生時の雇用安定・維持にあること
実施するには、実施計画書を作成し、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。
緊急時にすぐに利用できるものではないため、事前に準備しておくことが重要です。
建設請負紹介サービスの活用
建設請負紹介サービスは、建設現場の請負工事を引き受けてくれる事業者を紹介するサービスです。
事前に登録された請負事業者から適切な業者を紹介してもらうことで、職人や下請業者を探す手間と時間を削減できます。
ただし、利用する際には当該サービスの約款や規約を確認し、違法性がないか十分に検討する必要があります。
建設業財務諸表への正確な記載
人工出しを行っている場合、建設業財務諸表の作成にも注意が必要です。
人工出しによる売上は「建設業」の売上ではないため、「完成工事高」ではなく「兼業事業売上高」として計上する必要があります。
特に経営事項審査(経審)を受ける場合には、正確な計上が求められます。
間違った計上を行うと、虚偽申請とみなされる可能性もあるため、処理に迷ったときには、行政書士などの専門家に相談すると良いでしょう。
人工出しとは違法か合法か、見極めて適切に活用しよう
建設業界で「人工出し」という言葉は日常的に使われていますが、その実態によっては労働者派遣法違反となる可能性があります。
違法な人工出しを行うと、罰則を受けるだけでなく、建設業許可の維持ができなくなる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
建設業界では人手不足の問題が続く中、人材の融通は必要な場面も多いでしょう。
しかし、企業の持続的な発展のためにも法令を遵守した形で行うことが大切です。
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