こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建設業界でさまざまなプロジェクトが進行する中では、計画・設計の段階から完成するまでに多くの書類が発生します。
書類ごとに書き方や保管のルール、管理方法が異なるため、煩雑に感じる方もいることでしょう。
今回は多くの書類の中から工事に関する「完成図書」について、定義や保管のルールについて解説します。
管理方法もご紹介しますので、書類の保管に悩む方はぜひ参考にしてください。
目次
工事の完成図書とは?
完成図書は完了した工事の詳細を正確に示す書類一式です。
建設プロジェクトにおいて、工事の完成図書は非常に重要な役割を果たします。
工事の品質保証や将来の維持管理、そして法令遵守の観点からも不可欠な資料となります。
まずは、完成図書の概要と含まれる書類について解説します。
完成図書の概要
完成図書とは、建設工事が完了した時点で作成される一連の文書のことを指します。
実際に完成した工事の状態を正確に反映し、設計図面や仕様書からの変更点を含んだ、工事の最終的な成果を詳細に記録したものです。
完成図書の主な役割は以下のとおりです。
- 工事の最終状態を正確に記録する
- 将来の維持管理や改修工事の基礎資料となる
- 工事の品質と安全性を証明する
- 法的要件や契約上の義務を満たす
建築物は施工された後、長期にわたって利用されます。
利用される中で改修工事やメンテナンスをするときに、目には見えない部分も含めて建物の情報が必要となります。
そのため、建物の情報を網羅した完成図書は、長期間の保管が法律で義務付けられているのです。
完成図書に含まれる書類
完成図書に含まれる書類は多岐に渡ります。
例えば、機械設備工事の場合、次のような書類が含まれます。
- 実施仕様書:設計図書に基づいて仕様を明確にするための書類
- 計算書:設計図書や実施仕様書に基づき、施工図にかかわる強度・機能・数量などを計算した書類
- 施工図:設計図書と実施仕様書に基づき、請負者が作成する製作や据付上必要となる図面
- 機器図:請負者が製作・購入する機器の図面
- 施工管理記録書:試験成績書などの品質管理、出来形管理、工程管理に関する書類
- 取扱説明書:設備全体や機器単体の取扱説明書と、サービスの体制を表した書類
※参照:国土交通省「工事完成図書の電子納品要領(案)機械設備工事編」
なお、設計図書について詳しく知りたい方は「設計図書とは?種類や基準、保存期間を確認!積算時にも必要?」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
ここまでは、法律により保管・管理が義務付けられている書類です。
そのほか、発注者に渡される完成図書には、次のようなものも含まれていることがあります。
- 完成図面:実際に完成した工事の状態を示す図面で、設計図面からの変更点も反映したもの
- 工事写真:後で確認が困難な部分の施工状況を含め、工事の各段階を記録した写真
- 施工計画書:工事の実施方法、工程、安全対策などを記載した文書
- 安全管理記録:安全教育の実施記録、事故報告書(発生した場合)など
- 保証書:設備機器などの保証内容を記載した文書
工事の完成図書の保管のルール
完成図書は工事完了後も長期にわたって重要な役割を果たすため、適切に保管する必要があります。
ここでは、完成図書を保管する必要性とそのルールについて説明します。
完成図書を保管する必要性
完成図書を保管するのは、次のような理由からです。
- 法的要件の遵守:建設業法により一定期間の保管が義務付けられているため
- 維持管理の効率化:建物や設備の維持管理のために正確な情報が必要になるため
- 将来の改修・増築への対応:建物の改修や増築をする際に、見えない部分も含めた情報が必要になるため
- トラブル発生時の対応:建物や設備に問題が発生した場合に、原因究明や適切な対策を行うため
建築物を長期的に利用するために、追加工事や改修工事を施した場合にも完成図書を作成する必要があります。
この場合、工事による変更箇所にかかわる部分のみの完成図書を第2版として作成します。
完成図書の保管に関するルール
完成図書は2008年(平成20年)11月28日に施行された建設業法により、紛争解決の円滑化に資する書類として保管が義務付けられました。
建設業法第40条の3に定められた保存に関するルールは次の通りです。
項目 | 内容 |
保管期間 | 10年 |
保管対象者 | 発注者から直接工事を請け負う元請業者 |
保管対象書類 | (1) 完成図(竣工図) |
(2) 発注者との打合せ記録 | |
(3) 施工体系図 |
工事の完成図書の管理方法
完成図書を適切に保管することは、長期的に重要な課題となるでしょう。
現在はIT技術の進歩により、従来の紙ベースの管理方法と並んでデジタル化された管理方法も活用されています。
それぞれメリットがある一方で注意点もあるため、プロジェクトの規模や要件に応じて適切な方法を選択することが必要です。
ここからは、完成図書の管理方法について解説します。
製本して保管する
従来からの方法が、製本して保管する方法です。
製本して保管する方法のメリットには、次のようなものがあります。
- 長期保存の信頼性が高い
- 直感的な閲覧が可能
- セキュリティ面でのリスクが低い
- 認証と証拠能力が高い
大型の図面や機器の一覧など、PCの画面で見るよりも紙ベースの書類を見るほうが効率が良い場面もあるため、製本して保管する方法を採用することもあるでしょう。
デジタルで保管する場合と比べると、サイバー攻撃などのリスク、データが失われてしまうリスクなどを回避できます。
また、署名や押印された原本は、法的な証拠能力が高いという特徴もあります。
ただし、製本して保管する際は、次のような点に注意が必要です。
- 温度・湿度管理された環境での保管
- 防火・防水など防災対策の実施
- 定期的な点検と劣化防止処置
- アクセス管理と貸出記録の徹底
デジタル保管する場合と同様、改ざんが行われないようセキュリティ面には注意が必要です。
また、湿気や温度など物理的な環境に害されないよう保管場所にも気を配る必要があります。
IT化して保管する
IT技術を活用して管理する方法には、次のように多くのメリットが得られます。
- 保管に物理的スペースが必要ない
- 検索性の向上
- アクセスログの管理が可能
- 更新と版管理が簡単
完成図書はボリュームが非常に大きい書類となるため、プロジェクトが増えるほどに保管場所が必要となります。
IT技術の活用で保管スペースを大幅に削減できることに加え、検索しやすくなることも大きなメリットとなるでしょう。
また、IT化することで、アクセスする人を制限できたり、情報の閲覧・編集履歴の追跡も容易になったりと、細やかなアクセス管理が可能です。
追加工事や改修工事が発生した場合の情報の更新も行いやすいです。
なお、現在官公庁施設の建設に伴う書類については、電子保存に一本化されています。
一方で、IT技術を活用しての保管には、次のような注意点もあります。
- データ形式の標準化と互換性の確保
- 長期的なデータ保存を考慮したファイル形式の選択
- 定期的なバックアップと復元テストの実施
- セキュリティ対策(暗号化、アクセス制御、ウイルス対策など)の徹底
- システムの定期的な更新と保守
長期的に安全で確実な保管体制が取れるよう、十分な注意が必要です。
完成図書とは完成後の建築物に必要な重要書類
完成図書は建設プロジェクトの中でも、完成後に長期的に必要となる重要な書類です。
法令遵守、維持管理、将来の改修に備えるために10年以上の保管が求められます。
従来の製本保管とIT化による保管にはそれぞれにメリットがあるため、プロジェクトの特性や規模に応じて適切な方法を選択するのが良いでしょう。
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