こんにちは!ITの力で建設業界に貢献するアークシステムです。
建設工事は基本的に設計図書に基づいて進められますが、さまざまなやむを得ない事情から、当初の予定通りに進められないこともあります。
そのようなときに工事内容を変更するには、設計変更の手続きが必要です。
そこで、今回のコラムでは建設工事の設計変更について解説。
建設工事で設計変更の対象となるケースやよくある事例、設計変更における注意点などをお伝えします。
設計変更時には工事費も積算し直す必要が出てきますよ。
目次
建設工事における設計変更とは?多い事例も解説
建設工事は、基本的に設計図書の通りに進めるものですが、設計図書と現場の状況や条件が異なる場合には、その建設工事を完遂させるため、工事の一貫性を損ねない範囲で設計変更を行います。
設計変更では施工方法や工程、材料の数量、工期などを変更し、それにともなって工事費用が変更となることもあります。
建設工事で設計変更が行われる理由として多くあげられる事例には、こんなものがあります。
土地の条件が設計図書と違った
現地確認や地盤調査などで、土地の条件が想定と違うことが判明したケースなど。
実際の土地の条件に合わせて基礎や建物構造を変更することがあります。
用地取得の交渉が不調となった
予定敷地の一部について用地取得が前提で工事が予定されていた場合。
土地の所有者との交渉が不調となり用地を取得できなかった場合に、既存の土地で可能な設計に変更することがあります。
工期が間に合わない
天候やその他の理由により、予定の工期に間に合わない場合。
工期に間に合うように工事内容を変更、または工期の延長をすることがあります。
地域から要望が出た
近隣住民から工事の振動や騒音に対しての苦情などが出た場合。
振動や音が出にくい施工方法に変更することがあります。
設計変更の対象となるケース・対象とならないケースは?
建築工事は設計通りに進めるのが基本ですが、やむを得ない理由などで設計変更が必要になることもあります。
工事請負契約設計変更ガイドラインでも、以下のようなケースでは設計変更の対象とされています。
- 図面と仕様書が一致しない場合(優先順位が定められている場合を除く)
- 設計図書に漏れや間違いがある場合
- 設計図書の表示があいまいな場合
- 設計図書による施工条件と実際の現場状況が一致しない場合
- 設計当初には予見できない特別な状態が生じた場合 …etc
設計図書のミスのほか、基礎工事を始めてから地中に配管が通っていることが判明した、大雨が続いて作業が進められないなど、工事をスタートして初めてわかることや予見できないことなどもあるでしょう。
それにより元の設計の通りでは工事が正しく進められないという場合は、発注者と受注者で協議をしたうえで設計変更を行います。
ただし、設計変更は協議や書面による契約変更など正式な手続きが必要です。
以下のようなケースでは設計変更の対象とはなりませんので、あわせて覚えておきましょう。
- 標準仕様書などで定められた正式な手続きを経ていない場合
- 設計図書に条件明示のない事項において正しく協議を行わず、工事業者が独自に判断した場合
- 正しく協議を行ってはいるものの、協議の回答ない時点(協議が調わない時点)で施工を実施した場合
- 設計図書の誤り、条件明示のない場合に、協議を行わずに受注者の都合での施工方法等の変更に監督職員が同意し、施工した場合(承諾施工)
- 正式な書面に基づかない場合(口頭での指示・協議など)での施工
設計変更によって生じる影響や課題点は?赤字になる理由も
建設工事を完遂するために、やむを得ない必要な措置として設計変更をしても、それによって赤字工事になってしまうこともあります。
たとえば工事費用について、単価が低利益や赤字である項目について数量増が発生すると、赤字が膨らんでしまいます。
また、数量が「一式」で発注されているものに対して、思った以上に数量が必要となったため、追加の工事費を請求したいが設計変更が認められなかった…というケースも。
設計変更は正式な手続きと協議を経なくてはいけないため、協議をするタイミングが遅くて間に合わなかった、協議が不十分で不調となった、といったことも考えられます。
また、設計変更は設計図や施工計画書、見積書なども作成し直さなくてはいけないので、大変な手間がかかるものでもあります。
施工内容や材料が変わったことで工事費用が変わるのはもちろんですが、設計変更そのものにかかる労力についても対価(設計料)を請求できないと、赤字になってしまうでしょう。
設計変更による赤字を防ぐには、設計変更にかかる手順やガイドラインをよく理解し、発注者・受注者間でコミュニケーションをとりながら工事を進めることが大切です。
設計変更で生じる積算、見積修正の負担はソフトで最小限に
何事もなく予定通り進められるのが一番ですが、実際の工事ではなかなかそうもいかないもので、工事途中で設計変更が発生するのは珍しいことではありません。
設計変更を行うと必要な工事費用も変わるので、変更後の設計を元に改めて積算をし直す必要があるでしょう。
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設計変更が発生した際の積算対応も確認!
当初に予測できない事象により工事の継続が困難になった場合、工事の全部または一部の施工を一時中止することもあるでしょう。
- 全部中止:工事の全体の施工を中止
- 一部中止:工事の一部分の施工を中止
工事の中止が発生したことによる工期延長も、設計変更のひとつです。
この場合、設計変更で追加となった材料費、労務費、機械器具費などは直接工事費として該当する工種に追加計上、工期延長によって新たに発生する現場維持費などは、間接工事費(一般管理費)として計上します。
基本的に、工期延長の期間が3カ月以内の場合は標準積算、期間が3カ月を超える場合はすべて積み上げ積算により増加費用を算出します。
標準積算とは、社員給料や現場事務所管理費用など特定の項目について、対象額(一時中止時点の契約上の純工事費)に対して「一時中止に係る現場経費率」をかけて費用を算出する方法です。
標準積算の率計算に用いる対象日数は、全部中止の場合は中止となった期間(日)、一部中止の場合は一部中止にともなう工事延長期間(日)となります。
工期延長の設計変更による費用の負担者や積算方法については「工期延長の場合の費用負担は誰がする?項目や積算方法も解説」のコラムでも詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。
設計変更の注意点や積算対応を理解しよう
設計変更とは、設計図書と現場の状況や条件が異なる場合などに、工事を完遂させるために設計内容を変更することです。
施工内容や工程、材料の数量などを変更し、それにともない工期や費用なども変わります。
設計変更が必要となる事例は、設計図書のミスのほか、土地の条件が設計図書と違うことが判明した、大雨が続いて予定通りに作業ができない、近隣住民から騒音の苦情が出たなど予見できないものも多いです。
設計変更するには、正しい手続きと協議などを経る必要があるため、独自の判断で勝手に変更することはできません。
設計変更は設計図や施工計画書を作成し直し、積算・見積もりもやり直すなど、とても手間がかかるものです。
正しい積算を行って必要な費用をきちんと計上しないと、赤字につながるおそれもあります。
もちろん、設計変更にかかる手間そのものも設計料として追加計上してくださいね。
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