こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建設業界では、見積の提示にあたって出精値引き(しゅっせいねびき)が行われることがあります。
出精値引きとは、取引先企業とのより良い関係構築のため、受注企業が自発的に提案する値引きのこと。
出精値引きの実施には、双方の企業にメリットが見込めます。
今回は、この出精値引きに着目し、その概要とメリット、記載方法や値引きを行う際の注意点をわかりやすく解説します。
目次
出精値引きとは?見積書への記載例も紹介
まずは、出精値引き(しゅっせいねびき)とはどのようなものなのか、見積への記載例を交えながら、ご紹介します。
出精値引きの定義
出精値引きとは、受注案件の見積に際して、受注企業が自社の企業努力により、値引きを行うことを指します。
この値引きは、取引先企業とより良い関係を築いたり発注を後押ししたりするために、案件の見積段階で行われるもの。
値引きをしたからといって、受注企業が商品の数やサービスの質を下げることはありません。
ただし、出精値引きの具体的な値引き金額は、良識の範囲内に限られます。
利益が出ないほどの大幅な値引きは、受注企業にとって大きな負担になり、商品やサービスの質が低下してしまう可能性があるためです。
そのため、出精値引きでは、目的と値引きによる影響のバランスをうまく取りながら、金額を決めることが大切です。
ちなみに、商品・サービスの質とコストの両方を意識した提案を行うことを「VE提案」と呼びます。
これは、近年重要視されている考え方です。
詳しくは、「建設におけるVE提案を解説!導入効果や資格、事例までを詳しく」をご一読ください。
出精値引きと普通の値引きの違い
出精値引きと普通の値引きとでは、目的や対象、タイミング、ルールなどにおいて大きな違いがあります。
まず、出精値引きの目的は、相手企業と良好な関係を築いたり取引を円滑に進めたりすることにあります。
したがって、値引きの対象は取引先企業です。
一方、普通の値引きの場合、その目的は購買促進にあり、一般消費者が対象となります。
さらに出精値引きでは、値引きは見積段階で実行され、その内容は見積書や請求書に明確に記載されます。
しかし、普通の値引きの場合、価格の値引きは販売時に行われ、必ずしも値引き額を書類に記載する必要はありません。
出精値引きのメリット
出精値引きの実施により、企業が得られるメリットは次の通りです。
- 取引先企業と信頼関係を構築できる
- 継続的な取引につながる
出精値引きの実施は、取引先企業との関係をより良いものにし、深い信頼関係を築くのを助けます。
出精値引きがきっかけで継続的な取引が成立するようになれば、安定した売上を確保することができるでしょう。
また、相手企業にとっては、商品やサービスの質を下げずに値引きをしてもらえるというのは大きなメリットになるため、継続的な取引も前向きに検討できるでしょう。
出精値引きの見積への記載方法
出精値引きを行う場合には、必ずその値引き額を見積書に記載しなければなりません。
具体的には、見積書に「出精値引き」の項目を設け、その横の金額欄に「▲」か「-(マイナス)」を用い、値引き額を記載します。
例えば、本来210万円の見積に対し、10万円を出精値引きし、200万円で見積書を出す場合には、値引き金額の表示は「▲100,000」または「-100,000」となります。
見積書は、値引き前の金額と値引き後の金額が明確にわかるようにしておくことが大切です。
また、値引きの流れを記録しておくため、備考欄に値引きの理由や背景、条件なども記載しておきましょう。
▼記載例
出精値引きをする際の注意点
出精値引き(しゅっせいねびき)をする際には、次の4つの点に注意する必要があります。
- 事前に取引先との関係や値引きの余地を確認する
- 見積書に値引き額を記載する
- 値引きを表す記号を用いる
- 値引きの理由を明記する
各ポイントについて、詳しくみていきましょう。
事前に取引先との関係や値引きの余地を確認する
出精値引きの実施やその金額は、取引先企業との関係を把握した上で行う必要があります。
より深く付き合っていきたい取引先企業の場合や継続的に取引したい企業の場合に絞って、出精値引きを検討しましょう。
すべての見積で出精値引きをするようなことは避け、さまざまな点から慎重に検討することが大切です。
また、出精値引きでは、受注企業が値引き分を負担する形になります。
自社の経営状況を把握し、値引きの余地の有無について確認しておくことも重要です。
見積書に値引き額を記載する
出精値引きを行なった場合には、必ず見積書に値引き額を記載するようにしましょう。
値引き額や値引き前の金額を記載せず、値引き後の金額だけを記載した場合、出精値引きの事実が記録として残らなくなってしまいます。
値引きの記録が残っていないと、値引き後の金額が元々の金額だという誤解を与えてしまうこともあるでしょう。
トラブルを避けるためにも、見積書には明確に値引き額を示す必要があります。
値引きを表す記号を用いる
前述のとおり、値引き額は基本的に「▲」か「-(マイナス)」の記号をつけて表します。
例えば、1万円の値引きなら「▲10,000」、5千円の値引きなら「-5,000」という表示になります。
「▲」や「-」の記号は、値引きを表すものとして、一般的に使用されているものです。
人による認識間違いを防ぐためにも、値引き額はこれらの記号を頭につけて表すよう、統一しましょう。
値引きの理由を明記する
見積書には、値引き額だけでなく、値引きの理由や背景についても明記しておきましょう。
具体的なケースとしては、「〇〇キャンペーン適用による値引き」「納期延長のため値引き」などの記載が考えられます。
理由や背景を記載しておけば、後から見積書を見た人も、値引きが行われた流れを把握することができます。
今後の取引のトラブル防止のためにも、確実に記載しましょう。
出精値引きは法律違反になる?
出精値引きは、受注企業が取引先企業とより良い信頼関係を築くため、自主的に提案するものです。
取引先にあたる企業自らが、要求するものではありません。
万が一、取引先企業が行き過ぎた値引きを要求し、受注企業が仕方なくそれを受け入れるようなことがあった場合、取引先企業は「不正競争防止法違反」や「下請法違反」といった法律違反に問われる可能性があります。
不正競争防止法は、市場の混乱や価格破壊を起こすような不正な競争を防止するための法律で、下請法は、立場が弱い下請企業を守るための法律です。
法律違反を防ぐためにも、行き過ぎた値引きやその要求は行わないよう注意しましょう。
出精値引きとは企業努力の値引きのこと!見積記載は忘れずに
出精値引きとは、受注企業が企業努力によって行う値引きのことを指します。
見積段階で提案されるこの値引きは、取引先企業とより深い信頼関係を構築でき、継続的な取引も見込める点がメリットです。
出精値引きを行う際には、事前に取引先企業との関係性や自社の経済的余地をよく確認することが大切です。
また、必ず見積書に値引き額やその理由を記載すること、値引き額は記号を用いて表すことも徹底するようにしましょう。
ただし、出精値引きは、あくまで受注企業が自発的に提案するものです。
取引先企業からの要求による値引きは出精値引きにはあたらず、また過度な値引き要求は違法になる可能性もあるので、注意しましょう。
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