こんにちは!ITの力で建設業界に貢献するアークシステムです。
品質や機能を維持しつつコストを抑えるため、近年「VE提案」という手法が取り入れられています。
建設業界でもVE提案を取り入れることが増えていますが、どんなものかご存じでしょうか。
今回のコラムでは、建設におけるVE提案について解説。
VE提案とは何か、導入の効果やメリット、具体的な事例などをご紹介します。
目次
建設におけるVE提案とは?その内容や導入効果を解説
VE(Value Engineering:バリューエンジニアリング:価値工学)とは、製品やサービスの品質・機能とコストの両面について価値を高めようとする考え方です。
VE提案とは、受注側が自ら、発注者へ品質とコストの両方を意識した提案をすることを指します。
今までは、基本的に受注者は発注者から指定された通りに施工する、指示された品質を確保するものでした。
VE提案を導入することで、受注者から発注者へより良い提案をできるようになり、必要な品質を維持しつつコストパフォーマンスの高い建設工事が可能に。
ひいてはユーザーの満足度アップにもつながります。
また、発注側にとっては品質を維持しつつコスト削減が図れる、受注側にとっても自社の独自技術を提案できる、受注機会が増えるというメリットがあります。
建設分野のVE提案は「企画・計画」「設計」「施工」「維持管理」のどの部分でも可能で、具体的には施工方法や材料を変更したり、作業工程を見直したりして、コストダウンを図ります。
VE提案とVA提案の違いとは
VE提案と似ている言葉で、「VA提案」があります。
VA(Value Analysis:バリューアナリシス:価値分析)とは、既存の商品やサービスの品質を維持したうえで、コストダウンを図ること。
すでにある商品に対して、コストダウンの提案を行います。
一方で、VE提案は新しい企画やプロジェクトに対して同じコストで品質を高める、品質を維持してコストを抑える、またはその両方を行うことを指します。
VE提案は企画開発段階の活動、VA提案は既存商品に対する変更と、活動のタイミングにも違いがあります。
ただし、どちらも「必要な品質は維持し、コストパフォーマンスをアップさせる」という目的は同じなため、「VA/VE提案」と合わせて表記されることもあります。
建設におけるVEに関わる資格もある?
国内外のVEに関する情報提供と、VE活動の促進・成果向上を図る団体「社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会」では、VEの理解を進めるため、以下のような資格制度を行っています。
VEリーダー
企業や団体のリーダーや現場監督、責任者などが、VE活動のリーダーを務めるために必要な基礎知識を持っていることを日本VE協会が認定する資格。
VEの考え方に基づくスキルアップや人材育成などに貢献します。
VEスペシャリスト
VE活動の実施・推進を行う担当者や責任者が、VE専門家として備えるべき諸知識や技術、経験をもっていることを日本VE協会が認定する資格です。
専門知識の習得はもとより、VE専門家としての自覚や意欲を高め、社内でVEプロジェクトの管理、推進、教育を担う専門家として活躍できます。
CVS(Certified Value Specialist)
米国VE協会と提携し、VE専門家資格であるCVSの認定と国際登録を行っています。
VEに関する正しい知識と極めて高いスキルを持っていると認定するもので、日米双方のVE協会にCVSとして登録されます。
また、公益社団法人日本建築積算協会が行っている、積算建築士、積算コスト管理士の資格取得に関しても、VEの考え方や知識について習得している必要があります。
建築積算士や建築コスト管理士の内容や試験についてはこちらのコラムで詳しくご紹介しています。
建築積算士の資格について解説!難易度や試験内容、取得のメリットとは
積算に役立つ建築コスト管理士の資格とは?難易度や試験内容を詳しく確認
建設におけるVE提案の事例もチェック
では、実際に建設業界でのVE提案にはどのようなものがあるでしょうか?
具体的な事例をご紹介します。
工期短縮によるコスト削減
工数削減により作業時間や工期を短縮し、コストを削減したという事例。
現場の作業員の意見を取り入れ、施工方法を変更することで作業効率をアップさせ、工期短縮を実現しました。
作業員の作業負担の軽減にもなり、また、作業員は現場の意見が採用されたことにより業務改善に積極的に取り組むようになったというプラス面もあったようです。
作業時間の短縮は、労災事故防止やヒューマンエラーの防止にもつながります。
入札不調の回避
公共工事の入札においては、提示する見積金額が高いと入札不調となり、受注ができません。
そこで、資材や施工方法を変更して機能や品質を向上、または維持したままコストダウンするVE提案を行い、入札不調を回避することができたという事例もあります。
公共工事では設計後に内容や仕様を変更することが難しいので、設計の段階でVE提案をするのが望ましいとされています。
民間工事においても、発注者が複数の建設会社に見積を依頼している場合には、価格で競争しなければなりません。
その際に発注者にもメリットとなるVE提案ができれば、受注のチャンスを手にできる可能性も高まります。
VE提案により材料や方法、工程が変わると、それにともない、積算も再度行う必要があります。
その際、積算見積ソフトを活用すれば、効率的に積算業務を進めることができます。
設計変更前・後の数量の比較も出しやすく、VE提案にも役立つのでおすすめです。
建設業におけるVE提案についてその効果や事例を知ろう
VE提案とは、機能や品質を向上・または維持しながらコストを抑える提案を、受注側が自ら行うことです。
発注側には品質を維持しつつコスト削減が図れる、受注者側には自社技術を提案できる、受注機会を増やせるというメリットがあります。
さらに、品質の向上とコストダウンへの取り組みはユーザーの満足度アップにつながります。
VE提案は「企画・計画」「設計」「施工」「維持管理」のどの部分でも可能で、別の材料や施工方法、工程、管理方法などを提案して総合的な価値の向上を図ります。
VE提案にともない材料や工程などが変更になると、積算もやり直す必要が出てきます。
その際には積算見積ソフトなどを活用すると、積算業務を効率的に進めることができますよ。
設計変更前後の数量の比較も容易で、VE提案にも役立ちます。
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