こんにちは!ITの力で建設業界に貢献するアークシステムです。
品質や機能を維持しつつコストを抑えるため、近年「VE提案」という手法が取り入れられています。
建設業界でも、競争力向上や顧客満足度向上のため、VE提案が重視されるようになってきました。
そこで今回は、建設におけるVE提案について、VE提案とは何か、導入の効果やメリット、進め方、具体的な事例などを詳しく解説します。

建設におけるVE提案とは?その内容や導入効果を解説
VE提案
※VE(Value Engineering:バリューエンジニアリング/価値工学)とは製品やサービスの品質・機能とコストの両面について価値を高めようとする考え方
VE提案は、1947年にGE社のL.D.マイルズ氏によって開発されました。
マイルズ氏がアスベストの代替材料探しにあたってあらゆる提案・改善をし、「機能を求めることの重要性」を説いたのが始まりだといわれています。
主なVE提案は、以下の4つのパターンと5つの原則を基本に実行する必要があります。
【VE提案の4つのパターン】
- コスト維持で機能・品質を向上させる
- コスト削減で機能・品質を維持する
- コスト削減で機能・品質を向上させる
- コスト増加で機能・品質を向上させる
【VE提案の5原則】
- 使用者優先:使用者視点で必要な機能を求めること
- 機能本位:本来必要な機能を本位とすること
- 創造による変更:より良い改善案を創造し変更すること
- チーム・デザイン:個人ではなくチームで実行し広い視野を持って行うこと(建設業においては現場の声も反映する)
- 価値向上:価値を高めること
今までは、受注者は発注者から指定された通りに施工する、指示された品質を確保するというのが基本でした。
しかし、VE提案を導入することで、受注者から発注者へより良い提案をできるように。
これにより、必要な品質を維持しつつコストパフォーマンスの高い建設工事を行うことが可能になり、顧客の満足度アップにもつながります。
またVE提案には、発注側にとっては品質を維持しつつコスト削減が図れるというメリットが、受注側にとっても自社の独自技術を提案できる、受注機会が増えるというメリットがあります。
建設分野のVE提案は「企画・計画」「設計」「施工」「維持管理」のどの部分でも可能で、具体的には施工方法や材料を変更したり、作業工程を見直したりして、機能向上やコスト削減を図ります。
VE提案とVA提案の違いとは
VE提案と似ている言葉で、「VA提案」があります。
VA(Value Analysis:バリューアナリシス/価値分析)とは、既存の商品やサービスの品質を維持した上で、コストダウンを図ることです。
VA提案はすでにある商品に対して、コストダウンの提案を行います。
VE提案は企画・開発段階の活動であるのに対し、VA提案は既存商品における変更と、活動のタイミングに違いがあります。
ただし、どちらも「必要な品質は維持し、コストパフォーマンスをアップさせる」という目的は同じなため、「VA/VE提案」とあわせて表記されることもあります。
VE提案とCDの違いとは
VE提案に関連して、受注者からの提案の中で工事の金額調整を目的として使われる言葉に「CD(コストダウン)」というものがあります。
CDは、「コストを削減する代わりに機能・品質も低下させる手法」を指し、コストを下げることを重視する考え方です。
機能・品質を維持・向上させた上で価格を最適化するVE提案とは考え方が異なります。
建設業におけるVE提案の進め方と実施するタイミング、関連資格
ここからは、VE提案の進め方と推奨されるタイミングについてご説明します。
VE提案の進め方
基本のVE提案は、以下の6ステップで進めていきます。
- 情報収集:必要な機能や品質、ニーズ、コスト、競合他社の状況など、なるべく多くの関連情報を収集する
- 定義づけ・整理:対象物の本質的機能を洗い出し、定義づけや目標設定、収集した情報の整理を行う
- 分析:整理した情報を分析し、優先順位を決定する
- 提案:収集・分析した情報を基に提案書を作成し、発注者に対し提案を行う
- フォロー:提案の採用に向け、提案実行による効果をデータとして提出し、また技術的検証を行って実証する
- 評価:提案の実施による結果(コストや機能・品質)を評価し報告書にまとめる
評価の結果残った課題については、問題点をしっかり把握した上で、次の提案に生かしていきます。
こうすることで、より良い改善の継続を目指すことが可能です。
VE提案を実施するタイミング
国土交通省「設計VEガイドライン」では「設計」「工事入札」「施工」の3段階を、公共工事においてVE提案を実施するタイミングとして推奨しています。
特に企画、計画、設計段階で行う設計VEは、コスト削減効果が高いことがわかっています。
各段階において資材や工法、仕様等を見直して提案を行うことで、より高いレベルのVEを実現できます。
①設計時
VE提案は、設計時に適用することが推奨されます。
基本計画・基本設計・実施設計におけるVE提案を行い、設計図や見積に反映させます。
【提案例】
外装材を同等性能の別資材に変更してコストを削減する、特殊資材の適用範囲を縮小してコストを削減するなど
②工事入札時
工事を受注するためには、入念な情報収集の上で優れた提案を行うとともに、発注者の価格交渉にも応じる必要があります。
そのため、工事入札時のVE提案は、発注者が受注先を決める重要な要素になります。
【提案例】
基礎や構造の工法を同等品質の別工法に変更してコストを削減するなど
③施工時
施工が始まってからも、必要に応じてVE提案を行います。
施工方法の変更など建設会社が独自にVEを行うこともあれば、やむを得ないコスト調整のためにVE提案が必要になることもあります。
施工開始後のVE提案は、機能・品質低下を引き起こさないよう特に注意が必要です。
【提案例】
床材や設備の仕様を変更しコストを維持しながら性能を向上させるなど
建設におけるVEに関わる資格もある?
国内外のVEに関する情報提供と、VE活動の促進・成果向上を図る団体「公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会」では、VEの理解を進めるため、以下のような資格制度を行っています。
VEリーダー
企業や団体のリーダーや現場監督、責任者などが、VE活動のリーダーを務めるために必要な基礎知識を持っていることを日本VE協会が認定する資格。
VEの考え方に基づくスキルアップや人材育成などに貢献します。
VEスペシャリスト
VE活動の実施・推進を行う担当者や責任者が、VE専門家として備えるべき諸知識や技術、経験を持っていることを日本VE協会が認定する資格です。
専門知識の習得はもとより、VE専門家としての自覚や意欲を高め、社内でVEプロジェクトの管理、推進、教育を担う専門家として活躍できます。
CVS(Certified Value Specialist)
米国VE協会と提携し、VE専門家資格であるCVSの認定と国際登録を行っています。
VEに関する正しい知識と極めて高いスキルを持っていると認定するもので、日米双方のVE協会にCVSとして登録されます。
また、公益社団法人日本建築積算協会が行っている、建築積算士、建築コスト管理士の資格取得に関しても、VEの考え方や知識について習得している必要があります。
建設におけるVE提案の事例もチェック

では、実際に建設業界でのVE提案にはどのようなものがあるでしょうか?
具体的な事例をご紹介します。
工期短縮によるコスト削減
工数削減により作業時間や工期を短縮し、コストを削減したという事例。
現場の作業員の意見を取り入れ、施工方法を変更することで作業効率をアップさせ、工期短縮を実現しました。
作業員の作業負担の軽減にもなり、また、作業員は現場の意見が採用されたことにより業務改善に積極的に取り組むようになったというプラス面もあったようです。
作業時間の短縮は、労災事故防止やヒューマンエラーの防止にもつながります。
入札不調の回避
公共工事の入札においては、提示する見積金額が高いと入札不調となり、受注ができません。
そこで、資材や施工方法を変更して機能や品質を向上、または維持したままコストダウンするVE提案を行い、入札不調を回避することができたという事例もあります。
公共工事では設計後に内容や仕様を変更することが難しいため、設計の段階でVE提案をするのが望ましいとされています。
民間工事においても、発注者が複数の建設会社に見積を依頼している場合には、価格で競争しなければなりません。
その際に発注者にもメリットとなるVE提案ができれば、受注のチャンスを手にできる可能性も高まります。
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