こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
工事は、建設業法によって29の種類に分類されますが、その中のひとつに「管工事」と呼ばれるものがあります。
管工事は、一般住宅の建設にもビルや公共施設の建設にも欠かせない工事です。
この工事を行わなければ、建物内で水道やガスを使用することはできません。
では、この管工事では具体的にどのような作業を行うのでしょうか。
また、工事の実施にあたって資格や許可は必要なのでしょうか。
今回は、管工事の内容や実施要件について詳しく解説します。
目次
管工事とは?水道施設工事との違いも
建物の利用にあたって必要な管およびその設備を設置する工事を、管工事と呼びます。
具体的には、空調設備や給排水設備、ガス設備、冷暖房設備などの管・設備の設置が管工事にあたります。
一般的な施設や住宅内では、必要な時に水やガスを利用でき、また随時室内の空気の換気も行われます。
ただし、そのためには、水やガス、空気を建物の外から内へ通す道筋がなくてはなりません。
この道筋となるのが、管工事で設置する管です。
管工事は、管の設置により、水やガス、空気などの液体や気体を建物の外から内に送ることで、それらの効率的で柔軟な使用を実現します。
建物内で好きな時にガス火で料理ができたり、水栓トイレを使えたり、空気を清潔で適温に保てたりするのは、事前にこの管工事が行われているからです。
このような管の設置は、主に建物の床下や基礎の上などで行われます。
そのため一般的な管工事は、建設工事の後ではなく、建設工事が進む過程で行われます。
管工事と水道施設工事との違い
管工事と混同されやすいものに、「水道施設工事」と呼ばれるものがあります。
どちらも水を通す管を設置する配管作業が含まれますが、その対象が異なります。
水道施設工事とは、公共団体が所有する取水・浄水・配水施設や下水処理施設の設備を設置する工事を指します。
これらは、一般の住宅や店舗で使う上水や排出する下水を管理する大元となる施設。
一方で管工事は、一般の住宅や店舗の敷地内に排水管を設置する工事を指します。
この管工事では、公共団体が所有する上水・下水施設と一般住宅・店舗を繋ぐことで、各建物内での水道利用が可能に。
このように、水道施設工事と管工事には、前者は公的施設の配管工事を、後者は水道を利用する一般住宅や店舗の配管工事を指すという違いがあります。
管工事や水道施設工事をはじめ、建設業法で定義されている工事の種類はこちらのコラムでもご紹介しております。
あわせて参考にしてみてくださいね。
管工事の内容とは?具体的な例を紹介
管工事では、建物内の給排水やガス使用、空気調和、衛生などを保つ設備のほか、液体や気体を送る管を設置します。
管工事の具体例としては、次のような工事が挙げられます。
- 給排水配管工事
- ガス配管工事
- 空調設備工事(冷暖房設備工事・ダクト工事)
- 衛生設備工事
- 冷凍冷蔵設備工事
- 厨房設備工事
- 浄化槽工事
それぞれどのような工事なのか詳しく見ていきましょう。
給排水配管工事
建物内の給排水のための管やその設備を設置する工事を、給排水配管工事と呼びます。
この工事は、大きく次の3種類に分けられます。
- 給水管の引き込み工事
- 屋内の配管工事
- 下水道排水設備工事
上記3種の工事が全て完了すれば、建物内での水道の利用を開始できます。
給排水工事では、給水・給湯のための管には主にポリエチレン管やポリブデン管が用いられます。
一方で排水のための管には、塩ビ管が使用されますよ。
また、この工事では勾配を配慮した施工が必要になります。
高所から低所へ流れる水の特性を踏まえておかなければ、特に排水において漏水や逆流などといった不具合が生じる恐れがあります。
ガス配管工事
建物内でガスの利用ができるように、ガスを通す管やその設備を設置する工事を、ガス配管工事と呼びます。
この工事では、次のような作業が行われます。
- ガス管の引き込み・配管
- ガスメーターの取付
- ガス栓の交換 など
日常生活において調理や給湯に用いられるガスには、取り扱いを誤ると爆発や火災のリスクが生じます。
そのため、安全なガスの使用のためには、知識と技術を持った作業者による適切な工事が必要であり、ガス配管工事には資格保有が義務付けられています。
また、ガスは「都市ガス」と「LPガス」の2種類があり、それぞれ取り扱い方法が異なります。
そのため、ガス配管工事にあたっては、「都市ガス」と「LPガス」両方の知識・技術を有しておく必要があります。
空調設備工事
建物内の空調に関する管や設備を設置する工事を、空調設備工事と呼びます。
この工事では、次のような作業が行われます。
- 空調設備の設置
- 空調設備のメンテナンス
- 古くなった空調設備の交換
空調設備は、建物内の空気の流れや温度、湿度を快適に保つために重要。
管を通して空気の流れを作ることで、建物内の快適な空調維持を可能にします。
ここでいう空調設備とは、エアコンやダクトなどを指しますが、これらの工事はそれぞれ「冷暖房設備工事」「ダクト工事」などと呼ばれます。
冷暖房設備工事
業務用・家庭用エアコンの設置により、建物内で冷房や暖房を利用できるようにする工事を、冷暖房設備工事と呼びます。
この工事では、エアコン室内機の設置のほか、室外機の設置や配管を行います。
エアコンは空調設備であることから、これは空調設備工事の一種になります。
ダクト工事
ダクトとは排気・排煙のための管で、これを設置する工事をダクト工事と呼びます。
空気を通すダクトを設置することで、建物内では空気を清潔に保つことが可能に。
これがなければ、汚れた空気が流れずにおいが充満したり、煙が外に排出されなかったりして、建物内で過ごす人の健康が脅かされてしまいます。
ダクトは天井裏などに設置されることが多く、その素材にはステンレスや亜鉛鉄板が用いられます。
うまく排気・排煙を行うには、建物の構造や利用、空気の性質などを踏まえた計画的な配管設計が必要になります。
衛生設備工事
トイレや洗面台など水を利用した衛生設備を設置する工事を、衛生設備工事と呼びます。
この工事では、各衛生設備を設置し、その後に配管の繋ぎ込みを行います。
この工事は「給排水を可能にする」ことを目的とした給排水設備工事と内容的に重複する部分が多いですが、その目的は「水を衛生的に使えるようにする」こと。
蛇口やトイレなどの利用設備までを対象とする点が異なります。
冷凍冷蔵設備工事
冷凍冷蔵設備を維持するための管や設備を設置する工事を、冷凍冷蔵設備工事と呼びます。
スーパーやコンビニで生鮮食品や冷凍食品が並べられている大型の冷蔵庫・冷凍庫の利用は、この冷凍冷蔵設備工事にあたります。
厨房設備工事
施設の厨房で利用する管・設備を設置する工事を、厨房設備工事と呼びます。
この工事では、ガスコンロや冷蔵・冷凍庫、換気扇、ガスコンロなどの厨房機器を設置し、配管を行い、厨房を使えるようにします。
飲食店や宿泊施設、医療機関などの業務用の厨房で行われることが多い工事です。
浄化槽工事
下水道がない場合、使用後の生活用水は浄化槽に排水されます。
浄化槽は汚れた水を浄化する設備で、これを設置する工事を浄化槽工事と呼びます。
この工事は専門性が高いことから、国家資格「浄化槽設備士」有資格者の監督がなければ、作業を行うことはできません。
管工事で必要な資格や建設業許可要件とは?
管工事に必要な資格には、次のようなものがあります。
- 配管技能士
- 管工事施工管理技士
- 給水装置工事主任技術者
- 水道技術管理者
- 浄化槽設備士 など
配管技能士は必須ではありませんが、その取得は管工事に役立ちます。
また、管工事施工管理技士資格は、管工事現場におけるその保有者の配置が義務付けられています。
管工事の種類によっては、その工事に特化した資格を持っていなければ作業ができないこともあります。
管工事の建設業許可要件
500万円以上の管工事を実施するには、建設業許可が必要です。
この許可を得るための主な要件を簡単にお伝えすると次の5つです。
- 経営業務の管理責任者を配置すること
- 請負契約に関して誠実性があること
- 欠格要件に該当しないこと
- 専任技術者を配置すること
- 財産的基礎や資金調達能力があること
建設業許可を得るためには、役員や従業員の保有資格や実務経験の年数、自己資本額などの基準が定められており、これらをクリアする必要があります。
許可を得れば、大規模な管工事も請け負うことができるようになるため、企業規模の拡大や請け負う工事の幅を広げたいという場合は、取得を検討すると良いでしょう。
管工事で建設業許可を取得し、より大規模な工事を請け負うようになった場合、見積作業で発生する積算の負担は大きくなると予想されます。
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管工事の内容とは水やガス、空調の利用を可能にする工事
管工事とは、住宅や施設における給排水やガス使用、空気調和、衛生などを維持するための配管および設備の設置を行う工事です。
この工事には、設置する対象によって複数の種類があり、種類によっては有資格者でなければ作業を実施できないものもあります。
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