こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
工事が進められている現場で、周囲を取り囲むように仮設の板が設置されているのを見たことがある方は多いでしょう。
そのような囲いのことを「仮囲い」といいます。
実は、仮囲いは法律で設置基準が定められています。
今回は、工事現場の「仮囲い」について解説します。
役割や設置基準と合わせて、仮囲いの多様な種類についてもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
工事現場の仮囲いとは?設置の目的も解説!
仮囲いとは、工事区域を外部から遮断するために設置された仮設の柵や板囲いのことです。
工事現場では、設置基準に従って仮囲いが設置されています。
ここでは、仮囲いの目的や役割について解説します。
仮囲いを設置する目的
仮囲いを設置する主な目的は、大きく分けて以下の3点です。
- 安全確保:工事関係者以外の人が工事現場に立ち入らないよう区域を明確にすることで、事故を防ぐ
- 環境保護:工事による粉じんや騒音が外部に漏れるのを抑え、周辺環境への影響を最小限に抑える
- 資材の保護:工事現場内の資材や機材について、盗難や損傷から守る
仮囲いは、工事関係者以外の人が工事現場に立ち入ることを防ぐ役割があります。
落下物や建設機械からの事故を未然に防ぐため、工事区域への無断立ち入りを制限することが重要です。
また、工事現場と外部を遮断することによって、通行人の安全を守るだけでなく、盗難などの懸念から工事関係者の作業環境を保護することにもつながります。
仮囲いは、周辺環境への安全と工事現場の安心を守る重要なものなのです。
仮囲いのさまざまな役割
仮囲いには、上記の目的以外にも様々な役割があります。
例えば、仮囲いに工事内容や完成予想図などを描いたイラストを施すことで景観を保護し、通行人に親しみやすい工事現場となるでしょう。
最近では、工事現場のイメージアップを図るため、アーティストによるデザインや近隣の子どもたちによる絵を仮囲いに施す例も増えています。
また、仮囲いは工事現場以外にもイベント会場では仮設の更衣室や喫煙所、災害時には仮囲いが避難場所となることもあります。
このように、仮囲いは単なる工事現場の囲いという役割を超え、多様な機能を備えた重要な設備といえるでしょう。
工事現場で使われる、その他の仮設資材については「仮設材(仮設資材)とは?種類や使われる工事について解説」のコラムでも詳しく解説していますので、参考にしてください。
工事現場の仮囲いの設置基準とは?
仮囲いの設置基準については、建築基準法施行令第136条の2の20に規定されています。
仮囲いの設置が義務づけられているのは、次のような建築工事等の現場です。
なお、建築工事には、新築だけでなく修繕やリフォーム、解体除去も含まれます。
- 木造の建築物で高さが13mもしくは軒の高さが9mを超えるもの
- または木造以外の建築物で2以上の階数を有するもの
上記の建築工事等の現場では工事期間中、工事現場の周囲に地盤面から1.8m以上の板塀、または同等の仮囲いを設置することが義務づけられています。
ただし、すでに同等以上の効力を発揮する囲いがある場合や、工事現場の周辺と工事の状況において、危害防止上、問題ないと判断される場合は設置しなくても問題ありません。
工事現場の仮囲いの種類を紹介
工事現場の仮囲いには、施工方法や設置するパネルによって複数の組み合わせがあります。
工事現場の状況によって使用できる組み合わせが異なりますが、コストや手間の削減のため、さまざまな現場で使い回せる汎用性のある製品を使用することが一般的です。
ここからは、工事現場で一般的に採用される仮囲いの種類についてご紹介します。
設置方法
仮囲いを設置する際は、仮囲いとして使える場所の広さや地面の状態によって、次のような種類を使い分けます。
- パイプ・クランプ式
- H形鋼2列据置式
- H形鋼支柱杭式(コンクリート基礎式)
それぞれ、もう少し詳しく触れていきます。
パイプ・クランプ式
パイプ・クランプ式では、杭を地中に打ち込み、支柱となるパイプを立てて設置します。
その支柱を軸にパイプを組み立てて土台を作り、囲いのパネルを設置する方法です。
他の方法と比較してコストが安いため、最も使われることの多い設置方法といえるでしょう。
ですが、仮囲いの板を支えるのにパイプを斜めに設置するため、広いスペースが必要となります。
H形鋼2列据置式
地面に杭が打ち込めない工事現場の場合、H形鋼2列据置式が用いられます。
杭を打ち込む代わりにH鋼を2本寝かして、その代わりとします。
H鋼にパイプを固定して土台を作り、仮囲いのパネルを設置する方法です。
パイプ・クランプ式と同様に、パイプを斜めに設置するため、広いスペースが必要となります。
H形鋼支柱杭式(コンクリート基礎式)
H形鋼支柱杭式(コンクリート基礎式)では、H鋼を支柱として地面に打ち込んで設置します。
支柱にしたH鋼を中心にパイプを組み合わせて土台を作り、パネルを設置する方法です。
地面に打ち込んだH鋼の強度が高いためパイプを斜めに設置する必要がなく、仮囲い用のスペースが限られた現場でも設置可能です。
ただし、他の方法と比較してコストが高くなる傾向にあります。
工事現場における仮設物のコストについては「積算における共通仮設費とは?内訳や計算方法など詳しく確認!」のコラムでも詳しく解説しています。
ぜひ、参考にしてください。
パネル
仮囲いに使われるパネルにも、複数の種類があります。
ここでは、一般的に使われることの多いパネルをご紹介します。
- フラットパネル
- 安全鋼板
- キャスターゲート
フラットパネル
フラットパネルは、鋼板を折り曲げて接続できるような構造になったパネルです。
外側になる面がフラットになっている特徴があり、工事現場の外観を向上させる効果や、通行人の衣服や身体をひっかけることを防止する効果があります。
外側から金具を外せない構造になっているため、防犯面でも効果の高いパネルです。
また、設置が比較的容易なため、建築現場での効率アップという意味でも効果が高いパネルといえるでしょう。
近年は、高さ方向に伸縮可能なスライドパネルも登場しており、さまざまな現場に対応可能となっています。
安全鋼板
安全鋼板は、パイプに固定して設置します。
パネル同士を接続する必要がないため、設置が比較的容易で、設置時間を短縮できるのが特徴です。
フラットパネルと比較すると設置後の外観が劣るため、人通りの多い建築現場や景観に配慮が必要な場所では使用されません。
キャスターゲート
キャスターゲートはその名の通り、キャスターが付いた出入り口です。
工事現場に設置する仮設の出入り口で、関係者や関係車両の出入りに使用するとともに、関係者以外の立ち入りを防ぐことで安全を確保します。
中が見えにくいようにパネル付きの仕様になっているもののほか、ジャバラ式になったパネルなし仕様のものもあります。
仮囲いは工事現場の安心と周辺の安全を守るもの
仮囲いは、工事現場と外部を遮断する仮設の囲いのことです。
建築基準法で設置基準が定められており、多くの工事現場で設置されています。
仮囲いを設置することにより、工事関係者以外の人の侵入を防止して事故を防ぐだけでなく、粉じんや騒音、落下物などによる周辺環境への影響を最小限に抑えることができます。
また、工事が滞りなく進められるよう、資材の盗難や損傷を防ぐのも重要な役割といえるでしょう。
最近では、仮囲い自体にデザインを施して、周辺環境との調和を図ったり、近隣住民に親しみを感じてもらうなどの配慮をしたりする例も増えています。
仮囲いにはさまざまな種類があります。
どの仮囲いを選択するかについては、仮囲いとして使えるスペースの広さ、そしてコストが重要な要素となるでしょう。
資材の組み合わせによって変動するコストを計算するには、専用ツールを使うのが便利です。
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