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積算の基礎知識

2023.01.18

建設業の「外注費」とは?給与との違い、外注のメリット・デメリットも

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

建設業には、独自の会計科目が存在します。

これは建設業会計という建設業に向けた会計処理に基づくもので、その方法や分類は一般的な処理とは異なります。

建設業では、この会計方法に沿った正確な会計処理が求められます。

 

建設業会計における科目のひとつに、「外注費」というものがあります。

外注が多い建設業にとって、外注費は主要な科目のひとつ。

では、この科目にはどのようなものが分類されるのでしょうか。

 

今回は、建設業の外注費について詳しく解説します。

現場で図面を広げる作業員

 

建設業での「外注費」は何を指す?

建設業における工事原価は、次の4つの費用に分類されます。

  • 材料費:工事に必要な材料の仕入れにかかる費用
  • 労務費:現場の作業員への給与や手当等
  • 外注費:外注にかかった費用
  • 経費:上記3種に分類されない原価(光熱費や警備費等)

 

このうちの外注費とは、外注、つまり他の会社や個人事業主に工事を依頼した場合に発生する費用のこと。

建設業では、人手不足や専門性の点から外注を行うことが多いため、この項目は工事費用を算出する際にはよく用いられます。

 

ただし、気をつけておきたいのが「材料や道具を自社で用意して他社が工事のみを行う場合」や「他社に人員不足を補うための応援を依頼した場合」です。

このような場合には、その費用は外注費ではなく、労務費の中の労務外注費に分類されます。

 

とはいえ、外注費と労務外注費は明確な区別がなく、場合によっては本来労務外注費にあたる費用を外注費に含めることもあります。

 

基本のポイントとしては、次の点を押さえておきましょう。

  • 自社の従業員が工事を行う→労務費
  • 他社の従業員が工事を行う→外注費
  • 上記以外→労務外注費

 

工事原価を含む工事価格の構成や労務費については、下記のコラムで詳しく解説しているので、こちらもご一読ください。

工事価格の構成とは?内訳や積算に関わる直接工事費や間接工事費も

建設業の積算における労務費とは?人件費との違いや計算法もチェック

 

建設業の外注費と給与の違いは?判定基準をチェック

建設業では、自社の従業員が工事を行った際の費用は給与(労務費)、他社の従業員が工事を行なった際の費用は外注費に分類されるのが基本です。

 

外注費と給与(労務費)では、税金の取り扱いが大きく異なります。

そのため、これらを分類する判断は非常に重要です。

 

外注費と給与(労務費)の判断基準

他社の従業員、または個人事業主が工事を行なった場合、その費用は外注費となります。

この時、外注先は事業者でなければなりません。

相手が事業者ではない場合、その費用は給与として労務費に分類されます

 

外注費か給与(労務費)か、つまり相手が事業者にあたるかどうかの判断基準としては、次のようなポイントが挙げられます。

  • 代替が可能か
  • 事業者による指揮監督下での仕事か
  • 材料や道具を提供されているか
  • 報酬に時間的拘束があるか
  • 不可抗力により完成品の引き渡しが不可でも報酬を請求できるか

 

各ポイントを詳しく見ていきましょう。

 

代行が可能か

依頼した作業員が事情により作業できなくなった場合に、他の人にその作業を代行してもらえる場合には、その費用は外注費と判断されます。

依頼した作業員しかその作業をできない場合、その費用は給与と判断される確率が高いです。

 

事業者による指揮監督下での仕事か

工事にあたって、依頼を受けた作業員が独立して作業を進められる場合には、その費用は外注費と判断されます。

 

一方、工事の依頼を行った会社による指揮監督を受けて作業を行う場合には、給与と判断されやすくなります。

 

材料や道具を提供されているか

工事に必要な材料や道具を作業員自らが用意する場合には、外注費と判断されます。

材料や道具は発注元の会社が用意し、作業員は工事だけを担う場合には、給与(労務費)としての性質が強くなります。

 

報酬に時間的拘束があるか

外注の場合、その報酬は勤務時間に影響を受けません

この場合の費用は外注費に分類されます。

 

反対に、勤務時間に基づいて作業員の報酬が支払われる場合、その費用は給与(労務費)として扱われます。

 

不可抗力により完成品の引き渡しが不可でも報酬を請求できるか

発注元の会社から工事の依頼を受けた作業員が作業を進め建築物を完成させたものの、地震や火事等の不可抗力によってそれが引き渡し不可の状態になった場合、依頼を受けた作業員が事業者であれば、発注元の会社に報酬を請求することはできません。

 

しかし、労働者性の強い契約下で作業をしている場合であれば、完成物を引き渡せなくても、

実働分の報酬を発注元の会社に請求することができます。

 

つまり、前者は独立した事業者であるためその費用は外注費、後者は労働関係が強いため給与(労務費)と判断されます。

 

外注費が税務署に給与と判断された場合の対応

外注費と給与の判断には、複雑な部分があります。

外注費として積算したものが、税務署に給与と判断されてしまうケースも

 

このような場合、消費税と所得税の源泉徴収の扱いにおいて、次の対応が求められます。

 

消費税の取り扱い

給与と違い、外注費には消費税が発生します。

そのため、外注費は仕入税額控除の対象となり、最終的な消費税納税額を抑え、節税効果を得ることが可能です。

 

仕入税額控除の対象となる外注費が税務署に給与だと判断されてしまった場合、この節税効果はなくなり、消費税の追徴課税が発生します。

会社はこれを支払わなくてはなりません。

 

所得税の源泉徴収の取り扱い

外注費には、所得税の源泉徴収が必要ありません。

しかし、給与の場合には源泉徴収を行い、会社はこれを国に納付しなければなりません。

 

そのため、外注費として積算したものが給与と判断されてしまえば、所得税の源泉徴収分に納付漏れが発生することになります。

この場合、当該作業員から源泉徴収分を改めて徴収することは難しく、会社が納付漏れ分を負担するケースが一般的です。

 

外注費や労務費の分類は積算見積ソフトで一括管理を

このように、外注費や労務費は正確に管理・積算することが重要です。

この判断が曖昧だと、上記のような追徴課税が発生する可能性があるためです。

外注費や労務費を含む、工事原価の正確な積算には、積算見積ソフトの活用もぜひご検討ください。

 

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建設業での外注のメリット・デメリットは?

現場作業員

建設業における外注には、メリットとデメリットがあります。

外注するかどうかは、これらを踏まえて判断する必要があります。

 

外注のメリット

外注のメリットとしては、次の6つの点が挙げられます。

  • 人手不足を解消できる
  • 自社の従業員をコア業務に集中させられる
  • 工期を短縮できる
  • 所得税の源泉徴収が不要
  • 消費税の仕入税額控除を受けられる
  • 社会保険契約が不要

 

建設業は人手不足が深刻な業界です。

 

しかし、工事にあたって人手が足りなくても、他社へ外注を行えば、それを補うことができます。

付随工事を外注先に任して、自社の作業員をコア業務に集中させ、効率的な作業を目指すことも可能でしょう。

 

また、所得税の源泉徴収や消費税の取り扱いにおいても、外注は有利です。

外注費は源泉徴収不要で、仕入税額控除も受けられるためです。

 

さらに、外注先の従業員は自社で雇用しているわけではないため、社会保険契約が不要な点もメリットと言えるでしょう。

 

外注のデメリット

外注には、次の4つのデメリットも存在します。

  • いつでも必ず外注できるわけではない
  • 自社の人材が成長しにくい
  • 情報共有が難しくなる
  • 情報漏洩のリスクが高まる

 

外注は、いつでも片方の都合だけで行えるものではありません

外注先が他の工事等で忙しく発注ができない状況であれば、当然新たな外注は行えません。

 

また、工事を正確に進めるには従業員間の情報共有が必要ですが、外注ではその範囲が広くなり、柔軟で迅速な情報共有が難しくなります。

この範囲が広がることで、機密情報の漏洩リスクも高くなる点はデメリットと言えるでしょう。

 

建設業における外注費の積算は給与との違いに注意!

建設業の会計処理のおける工事原価は、「材料費」「労務費」「外注費」「経費」という4つの項目に分類されます。

外注先の従業員が工事を行なった場合の費用は外注費に、自社の従業員が工事を行なった場合の人件費は給与として労務費に分類されます。

 

外注費と労務費(給与)の判断は、契約関係や作業実態によって異なります。

これらは消費税や所得税源泉徴収の扱いが異なるので、追徴課税が発生しないよう、正確に分類することが大切です。

 

独自の分類が行われる建設業会計の積算には、積算見積ソフトの利用が便利です。

アークシステムが提供する拾い出し・積算見積ソフト「楽王シリーズ」は、ニーズに合わせて、柔軟な活用が可能です。

積算見積業務の効率化に、ソフト導入をぜひご検討ください。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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