こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
暑くなる季節が来るたびに懸念される「熱中症」。
建設業界では、さまざまな要因が重なるため、熱中症のリスクが高いのが現状です。
熱中症は、最悪の場合、命の危険もある重大な災害です。
そこで、今回は建設業界が取り組むべき熱中症対策について解説します。
原因や症状、対策とともに、熱中症対策費用の積算についての情報もご案内しますので、ぜひ現場での積極的な取り組みに向けての参考にしてください。
目次
熱中症とは?症状や発生状況を解説
まずは、熱中症の原因や症状、発生しやすい状況について確認しておきましょう。
近年は地球温暖化の影響もあり、猛暑日も増え、熱中症にかかりやすい気象条件が続くことも多くなっています。
熱中症は、原因を知った上であらかじめ対策を取ることと、症状を知り早めに治療を開始することが最も重要なポイントです。
熱中症の原因と症状
熱中症とは、高温多湿な環境下で体内の水分や塩分バランスが崩れたり、体温調整機能が働かなかったりすることで発症する障害の総称です。
主な症状はめまい・筋肉痛・大量発汗・頭痛・吐き気・意識障害・発熱などがあげられます。
一般的には夏場に多く発生し、建設業界でも死亡災害の割合が多いのが現状です。
体の熱を外へ逃がす方法の一つとして、人の体には外気に触れる皮膚の温度を上昇させ、熱を放射させる機能があります。
ですが、この方法では、外気温が高いときには体から熱が逃げにくくなります。
そのため、もう一つの機能である「汗の蒸発による体温調節」に頼ることになりますが、夏の暑さには湿気も加わるため、それも十分に機能しません。
つまり、高温多湿で風もなく熱源がある環境で、熱放散と汗の蒸発が阻害されることが、熱中症に至るまでの主なプロセスです。
このような熱中症を引き起こす具体的な原因は、次の3つです。
- 高温多湿などの環境面
- 持病や睡眠不足などの体調面
- 激しい運動や屋外作業といった行動面
環境・体調・行動の3つのポイントに注意を払い、適切な対策を講じることが、熱中症の予防につながります。
熱中症は建設現場で起こりやすい
建設現場での作業は屋外で行われるため、夏場の気温が高く湿度も高い環境にさらされやすいことが、熱中症になりやすい要因といえるでしょう。
強い日差しの下での業務となるため、多量の発汗と水分・塩分の喪失が避けられません。
暑さ対策が不十分だと脱水症状に陥りがちです。
また、工事現場で着用する作業服は、安全面などから厚く丈夫な生地を使用していることも多く、汗の蒸散が妨げられ体温が上昇しやすい傾向にあります。
日陰となる場所が見つけにくかったり、重機による熱負荷が高まったりすると、作業環境自体が熱中症発症の要因となります。
加えて、人手不足や納期の関係から労働時間が長くなると、体力の消耗が激しくなり熱中症発症のリスクが高まります。
このように「環境」「行動」「体調」の3点で、発症のリスク要因が重なり合うため、建設現場での熱中症のリスクが高まるといえます。
工事現場の熱中症対策をご紹介
では、建設の工事現場で熱中症のリスクを軽減するために、従業員それぞれが取るべき対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、従業員個人でできる対策を4点、ご紹介します。
- 水分補給を心がける
- 塩分補給を意識する
- 体の熱を冷ます服装を取り入れる
- 熱中症対策グッズを使う
水分補給を心がける
適切な水分補給は熱中症予防の基本です。
暑い環境下では、特に、発汗により失われる水分を補給する必要があります。
一般的には「のどが渇く前から適度な水分を摂る」ことが推奨されています。
水分補給の時間を設け、のどが渇いていなくても水分を摂る時間を作るようにしてください。
食事の面でも、果物や野菜など、水分の多い食材を選ぶよう心がけましょう。
塩分補給を意識する
発汗によって水分だけでなく、塩分(ナトリウム)も失われます。
塩分不足は筋肉のけいれんや全身のけん怠感につながる恐れがあります。
作業時は塩分を含んだ軽食やスポーツドリンク、塩飴などすぐに食べられるものを持参し、適度に塩分補給すると良いでしょう。
体の熱を冷ます服装を取り入れる
熱中症を予防するには、体温の上昇を抑えることが重要です。
その中でも有効な作業服として最近、導入例が増えているのがファン付き作業服です。
作業服の腰のあたりにファンが取り付けられていて、作業服の中に空気の流れを作り出すことで、気化熱を利用して体温を下げる効果があります。
また、冷感機能、吸汗・速乾の機能がついたインナーなども、体の熱を上昇させにくくする効果が期待できるでしょう。
熱中症対策グッズを使う
近年では、熱中症対策に役立つさまざまなグッズが開発されています。
保冷剤入りのネックリング、冷却スプレー、涼感タオルなどを活用することで、効果的に体を冷やせます。
また、ヘルメットの内側に貼ることで太陽の熱を遮る「遮熱シート」やハンズフリーで顔周りを冷やせる「首掛けファン」なども熱中症対策グッズとして活用できるでしょう。
工事現場の熱中症対策で見直すべきポイント
熱中症は、個人の心がけだけで防げるものではありません。
建設の工事現場で熱中症対策をするのであれば、作業環境や業務状況なども含めて見直す必要があるでしょう。
ここでは、工事現場で見直すべきポイントについて、次の3点を解説します。
- 作業環境を改善する
- 作業そのものを管理する
- 従業員の健康管理を組織的に行う
作業環境を改善する
建設現場では、日差しや反射熱、重機による熱などにより、極端に高温になりがちです。
そのため、日陰を設けたり遮熱シートを使用したりするなど、作業場所の環境改善が重要となります。
大型扇風機や冷房設備を導入して、適切な温湿度管理を行うことも有効でしょう。
冷房のある休憩スペースを準備したり、シャワー室を設けたりするなど、従業員が十分に休息できる環境の整備も進める必要があります。
作業そのものを管理する
猛暑日には、作業時間を短縮したり、早朝や夕方など比較的涼しい時間帯に作業をシフトするなど、作業そのものの調整が求められるでしょう。
また、高温環境下での重労働は避け、ローテーション勤務を取り入れるなどして、従業員一人ひとりの負担を軽減する対策も必要です。
従業員の健康管理を組織的に行う
熱中症は、個人の体調だけでなく、環境や作業内容によっても発症リスクが変わります。
そのため、気象庁の予測や暑さ指数(WBGT)などに基づいて、組織として熱中症リスクを的確に把握し、健康管理体制を構築する必要があります。
また、熱中症予防教育を行い、従業員の意識向上を図ることも重要なポイントです。
熱中症対策の費用は現場管理費として対応できることも
国土交通省の資料によると、工事現場における熱中症対策費用は、現場管理費として以下の2つの形で計上できるようになっています。
<熱中症対策に資する現場管理費の補正>
2019年(令和2年)に国土交通省が発表したもので、作業員個人に対する熱中症対策費用(塩飴、経口補水液、空調服、熱中症対策キットなど)を現場管理費として計上できるようになりました。
<現場環境改善費における避暑対策>
2017年(平成29年)に「土木工事積算基準書」に現場環境改善費の計上項目として「熱中症予防」が明記されました。
これにより、現場の施設や設備に対する熱中症対策費用(遮光ネット、大型扇風機、製氷機、日除けテント、ミストファン、休息車の配置など)を現場環境改善費の一部として計上できるようになっています。
現場管理費の補正や現場環境改善費として適切に計上することが可能となったことで、組織単位での工事現場における熱中症対策の促進に期待が高まっています。
なお、現場管理費については「現場管理費とは?その重要性や一般管理費との違いもチェック!」のコラムでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。
また、現場管理費は、積算上「間接工事費」にあたります。
間接工事費については「積算における間接工事費とは?直接工事費との違いや内訳を解説!」で詳しく解説していますので、こちらも合わせて参考にしてください。
工事現場では会社単位での熱中症対策が重要
夏の猛暑日が増加している今、企業にとっても熱中症へのリスクに備えることは重要な責務です。
特に建設業界では、工事現場となる場所の環境や業務内容の関係上、熱中症の発症リスクが高いため早急な対策が必要となるでしょう。
熱中症は「環境」「行動」「体調」の3つの要因が重なることで、発症のリスクが高まります。
「行動」や「体調」の要因については水分や塩分の補給を心がけ、体の熱を冷ます衣服や熱中症対策グッズを取り入れるなど、従業員個人でもしっかり予防しましょう。
一方で「環境」の要因については会社として対策を打つことが重要です。
休憩場所の設置や大型扇風機、ミストなどの導入を始め、作業時間の短縮や時間帯の見直しなどで、熱中症にかかりにくい環境を整備する必要があります。
なお、熱中症対策のための費用は、現場管理費として対応も可能です。
現場管理費の積算に手間がかかると感じる場合は、専門ツールを使うことで負担を減らすこともできます。
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