こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建物の建設に関する請負契約を締結する際には、建設業者は依頼先から見積依頼書を受け取り、それをもとに見積を作成する必要があります。
この見積依頼書については、記載事項が法律によって定められています。
そのため、見積依頼書を受け取る側は、依頼書の内容が法律に則った適正なものか確認した上で、見積を出さなくてはなりません。
では、法律で定められている見積依頼書の内容とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、見積依頼書とその扱いについて詳しくご紹介します。
目次
建設業での見積依頼書とは?
建設業でやり取りされる見積依頼書とは、工事にかかる見積の提出を依頼するための書類です。
この書類は、工事の依頼者から工事の委託検討先の業者に対し発行されます。
見積依頼書を受け取った業者は、依頼書の内容にもとづいて見積を発行し、依頼者に提出することになります。
工事契約にあたって、依頼者は工事にどれくらいの費用がかかるのかを確認した上で、正式に委託先を決めます。
そのため、委託先を決める判断材料として見積の確認は欠かせません。
そこで、相手の業者から正式な見積を出してもらうために発行するのが、見積依頼書です。
ただし、中には発注を前提として見積依頼書と見積のやり取りを行うケースも見られます。
見積依頼は書面を推奨!
見積依頼書は書面で行われるのが望ましいです。
というのも、見積依頼書の作成は、建設工事の契約におけるトラブル防止に効果的だからです。
見積依頼書によって見積の条件を明確に提示し、書面として残しておくことで、後から内容を確認することができます。
口頭のみで見積依頼を受けた場合には、見積依頼書や見積書の内容について、後から先方との間で「言った・言わない」のトラブルが生じる恐れがあります。
国土交通省の建設業法令遵守ガイドラインでも、「元請負人が見積りを依頼する際は、下請負人に対し工事の具体的な内容について、口頭ではなく、書面によりその内容を示すべき」といった記載があります。
※参考:国土交通省「建設業法令遵守ガイドライン(第8版)」
つまり、義務ではないものの、国からも見積依頼書の書面によるやり取りが推奨されているのです。
トラブルを避けるためにも、先方から見積依頼を受ける場合には、必ず依頼書を書面で発行してもらうようにしましょう。
建設業法では見積について、次のように言及されています。
「建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業およびその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積もりを行うよう努めなければならない。」
※出典:e-Gov法令検索「建設業法第20条 建設工事の見積り等」
お互いにとって不当な契約とならないよう、見積を出す際も、分かりやすく具体的な見積の作成を意識しましょう。
見積依頼書の内容とは?内容のここをチェック
ここからは、見積依頼書に記載すべき内容について確認していきましょう。
見積依頼書に記載すべき内容は、建設業法によって定められています。
それが、次の13の項目です。
【見積依頼書に記載すべき13項目】
- 工事内容
- 工事着手の時期および工事完成の時期
- 請負代金の全部または一部の前払金または出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法
- 当事者の一方から設計変更または工事着手の延期もしくは工事の全部もしくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更または損害の負担およびそれらの額の算定方法に関する定め
- 天災その他不可抗力による工期の変更または損害の負担およびその額の算定方法に関する定め
- 価格等の変動もしくは変更にもとづく請負代金の額または工事内容の変更
- 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め
- 注文者が工事に使用する資材を提供し、または建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容および方法に関する定め
- 注文者が工事の全部または一部の完成を確認するための検査の時期および方法ならびに引渡しの時期
- 工事完成後における請負代金の支払の時期および方法
- 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任または当該責任者の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容
- 各当事者の履行の遅延その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金
- 契約に関する紛争の解決方法
このように、見積依頼書には「何を」「いつまでに」行うのか、しっかり記載されていなくてはいけません。
なお、このうちの「1.工事内容」については、次の事項を明示する必要があります。
【1.工事内容で明示すべき事項】
- 工事名称
- 施工場所
- 設計図書(数量等含む)
- 下請工事の責任施工範囲
- 下請工事の工程および下請工事を含む工事の全体工程
- 見積条件および他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
- 施工環境、施工制約に関する事項
- 材料費、産業廃棄物処理等に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項
- 地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象(※発生の可能性を知っている場合)
- 騒音、振動その他の周辺の環境に配慮が必要な事象(※発生の可能性を知っている場合)
これらの項目および事項が、見積依頼書に記載する基本的な内容です。
見積依頼にあたって、正当な理由なくこれらの内容を相手に提示しない場合は、建設業法違反にあたります。
よって、依頼書を受け取る側でも内容はよく確認し、法令遵守に努めましょう。
見積依頼書の内容については、国土交通省のガイドラインも参考にしてください。
なお、図面や仕様書などの関連資料も添付されているかも確認を。
工事の詳細が記載された資料があれば、より正確な見積作成につながります。
見積依頼書はどうやって作成される?
見積依頼書の作成は、パソコンの表計算ソフトや文書作成ソフトなどを用いて行われるのが一般的です。
書式については国土交通省が公表しているので、そちらを利用する依頼者が多いでしょう。
記載すべき内容が記載できれば、書式に制限はありません。
そのため、無料で配布されているテンプレートを利用する事業者もいます。
依頼者によって書式はバラバラなので、記載項目に抜けがないか注意してチェックしてみてください。
見積依頼書を受け取ってからの流れ
最後に、見積依頼書を受け取ってから契約に至るまでの流れについてご説明します。
見積依頼書の受け取りから契約までは、次のような流れで進行します。
- 見積依頼書の発行・受け取り
- 現場説明・図面提示
- 打合せ
- 見積書の提出
- 合意形成
- 書面契約
見積依頼書を受け取った業者は、現場説明や打合せを経て、明確な見積書を作成し、相手方に提出します。
その後、対等な立場で合意に至った場合には、書面での契約を交わすことになります。
建設業法における見積期間とは
見積依頼書の受け取り、見積の作成においてもうひとつ知っておきたいのが、見積の提出期間についても建設業法による規定があるということ。
建設業法では、請負業者が見積を出すために一定の期間を設けることが定められています。
それが「見積期間」というもの。
具体的には、見積の依頼を受けてから、建設業者が見積を作成し交付するまでに設けなければならない期間を指します。
見積期間は、次のように定められています。
- 工事予定金額 500万円未満:中1日以上
- 工事予定金額 500万円以上5,000万円未満:中10日以上
- 工事予定金額 5,000万円以上:中15日以上
※予定金額500万円以上の工事については、やむを得ない事情がある場合に限り、5日以内の短縮が可能
ただし、上記は設けるべき最低限の期間として定められているものです。
工事によっては見積作成までにさらに時間が必要な場合もあるため、実際の見積期間は工事の規模や業者の状況に応じて決める必要があります。
建設業法の見積期間や見積の内容については、下記コラムでも詳しく解説しています。
条件に沿った適切な見積を出すには、見積依頼書の内容を踏まえた正確な積算が必要になります。
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