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2024.08.02

BIMとは?特徴や導入のメリット・デメリットをわかりやすく解説!

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

建設業に携わる方の中には「BIM」の導入に興味がある方もいるでしょう。

BIMは建築する際に活用できる新しい情報管理の手法です。

 

今回は、BIMの定義からその特徴や活用方法について詳しく解説します。

導入を検討している方に向けて、建築業界の効率化や品質向上に貢献するBIMの可能性と導入時の注意点を理解できるよう解説していますので、ぜひ参考にしてください。

模型

BIMとは?

BIMは単なる3Dの設計図ではありません。

活用することで、さまざまな事業体が複雑に関わるプロジェクトの最適化や効率化を促進できる可能性があります。

 

まず、BIMとは何か、その歴史や背景、活用事例やそこから得られるBIMの意義について触れていきます。

 

BIMとは建築物の情報管理手法

BIM(Building Information Modeling)は、建築物をコンピューター上の3D空間で構築し、企画・設計・施工・維持管理に関する情報を一元化して活用する手法を指します。

 

国土交通省「BIM標準ガイドライン」による定義の概要は次の通りです。

 

■コンピューター上に次の情報を併せ持つ、建築物情報モデルを構築するもの

  • 3次元の形状情報(3次元モデル)
  • 構造物及び構造物を構成する部材等の名称、形状、寸法、物性及び物性値(強度等)、数量、そのほか付与が可能な情報(属性情報)
  • それらを補足する資料(参照資料)

 

BIMの3Dモデルには、図面の情報だけでなく、建具などの品番やメーカー、価格といった情報も全て含まれています。

これにより、建築物のライフサイクル全体を通じての情報共有・管理が可能となります。

 

BIMの歴史と背景

BIMは、1990年代後半〜2000年代にかけて業界で使用され始めました。

 

その背景には、建設産業の労働生産性の低迷があります。

建築プロジェクトの複雑化に伴い、情報の一元管理や関係者間での共有が困難になったことが要因です。

 

従来使われている3D CADはデザインや設計の情報を表すためのツールです。

しかし、多くの場合、2次元の図面で設計した後に3Dモデルを作成するという流れになっています。

 

一方、BIMは最初から3D空間で設計し、作成された3Dモデルには2次元の図面の情報も含まれています。

また、1つの情報を修正すると、全ての関連情報が連動して修正される仕組みのため、作業工程を減らすことができます。

 

BIMの活用事例と意義

BIMを活用した事例をご紹介しましょう。

 

ある民間の設計事務所と建設会社による公共事業での活用事例では、公共事業におけるBIM活用の可能性を模索するため、立場の違いを超えて協働。

BIMモデルを使用することで、プロジェクト関係者全員の状況理解、共通認識、課題抽出が促進されました。

 

3Dプレゼンテーションは2Dよりも理解しやすいため、次の行動への瞬発力につながりやすいことがメリットとして挙げられました。

 

また、空調・電気の協力業者もBIMデータに自社の3Dデータを統合することで、干渉チェックを含めた事前検討が効率的になっています。

 

この事例では、BIMを活用することで干渉の早期発見や解決、施工精度向上、コミュニケーション改善、スケジュールの最適化など、多くの利点が生まれました

特に複雑な現場状況下でも、BIMの活用で作業がよりスピーディーに、そして予算をかけずに進められることがわかった点が、大きな成果といえるでしょう。

 

BIMのメリット・デメリットをわかりやすく解説!

リモートワーク

BIMの導入にはメリットが多い一方でデメリットもあります。

ここからは、BIM導入に関するメリットとデメリットについて解説します。

 

BIM導入のメリット

BIM導入のメリットは、主に次の6点です。

  • 設計・管理の効率化
  • コストとスケジュールの効率化
  • 施主とのイメージ共有が容易
  • 設計エラーの早期発見と改善
  • テレワークの推進
  • 災害時の事業継続が可能

 

それぞれを詳しく解説します。

 

設計・管理の効率化

BIMの最大の利点は、3D情報を含む全ての建物情報を一元管理できることです。

これにより、設計変更や施工の進行状況などをリアルタイムで共有でき、情報の行き違いを極力減らして業務を効率化できます。

 

従来の方法では、設計完了後に施工段階で部材同士の干渉が見つかると、設計の見直しをはじめ、建築部材、予算、工程の変更が必要になることがありました。

この「手戻り」と呼ばれる修正作業が、BIM導入によって大幅に削減されるのが大きなメリットです。

 

コストとスケジュールの効率化

BIMでは、建物のモデル化と同時に、工期やコストに関する情報も紐付けられるため、事前に精密な工期計画やコスト予測が可能です。

作業工数の把握もできるため、おおよその作業時間を予測することも可能。

作業員の労働時間管理にも役立つでしょう。

 

これにより、プロジェクト全体の効率的な管理が実現します。

 

施主や協業者とのイメージ共有が容易

施主や協業者にとって、3Dモデルの活用はイメージの共有を容易にします。

従来の2次元図面から3Dモデルや模型を作成する方法と比べ、BIMでは早い段階でイメージを共有できます

 

これにより、施主の要望や協業者の提案をより正確に、迅速に反映させられるようになります。

 

設計エラーの早期発見と改善

BIMソフトは各種シミュレーション機能に優れており、照明配置の検討、空調や風の解析、構造解析などが可能です。

 

施工時の問題点や設計ミスがないか、あらかじめシミュレートすることで、プロジェクトの早い段階での設計変更を削減できます。

 

テレワークの推進

BIMはテレワーク推進のための手段としても活用されています。

クラウド上にBIM環境を構築したり、リモートデスクトップでBIM環境にアクセスすることで、テレワーク環境でも設計等の業務が可能であることはメリットとなるでしょう。

 

BIMモデル自体に必要な情報がそろっているため、最小限のやりとりで情報を共有できます。

 

テレワークが可能となることは、女性をはじめとした幅広い人材確保にも効果が期待できます。

女性の活用については「建設業で女性が働くメリットとは?課題や取り組みなどをご紹介!」でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

災害時の事業継続が可能

BIMによりテレワークが可能になれば、災害時など会社に出勤できなくなるような不測の事態が起こったときにも事業継続が可能になります。

 

日本政府は首都直下型地震への防災戦略として、企業によるBCP策定を目標に掲げています。

BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字をとったもので、巨大地震や豪雨災害、感染症の流行拡大などの緊急事態に見舞われた際、企業が被害をなるべく抑えて事業を継続する計画のことです。

 

BIMによりテレワークが可能になればオフィス機能を分散させることができます

 

BIM導入のデメリット

BIM導入に関するデメリットは、次の3点があげられます。

  • 導入コストと人材教育が必要
  • 情報セキュリティの問題
  • 既存建築への適用が困難

 

それぞれ詳しく解説します。

 

導入コストと人材教育が必要

BIM導入の最大のデメリットは、初期コストと人材教育が必要である点です。

BIMを効果的に活用するためには、対応ソフトウェアの導入や操作方法の習得が必要であり、時間と費用がかかります。

 

特に中小企業にとっては、この初期投資が大きな障壁となる可能性があります。

 

情報セキュリティの問題

全ての情報が一元化されることによる情報管理やセキュリティの問題も課題です。

プロジェクトに関わる全ての情報が1つのモデルに集約されるため、その情報の取扱いやセキュリティには十分な配慮が必要になります。

 

情報漏洩のリスクを最小限に抑えるための対策が求められます。

 

既存建築への適用が困難

新築の場合は設計段階からBIMの使用が可能ですが、既存の建物に対するBIMの適用は難しい場合があります。

詳細な情報を取得してBIMモデルを作成するのは、さらに時間とコストがかかる可能性があります。

 

BIMの現状と導入への課題

現在、大手ゼネコンではBIMの導入が進み、設計情報の効率的な利用や工程の大幅短縮を実現しています。

しかし、業界全体で見るとBIM導入企業はまだ限られており、特に中小企業での導入率が低いのが現状です。

 

主な原因は、高額なソフトウェア導入コストとスキル育成の課題です。

BIMの普及には、これらの問題解決が不可欠となるでしょう。

 

解決策の一つとしては、国土交通省による建築BIM加速化事業を利用して、ライセンス費用や人件費の負担軽減を図る方法もあります。

 

BIMは建設業界だけでなく、社会全体の効率性と持続可能性向上の手法です。

産学官連携を強化し、BIMの利点や可能性について啓発活動を行うことで、より多くの企業や組織のBIM導入が期待されます。

 

建設業における業務効率化については「建設業で業務効率化を進めよう。効率化が必要な理由や方法を詳しく!」でも詳しく解説しています。

あわせて参考にしてください。

 

BIMとCADの違い

図面作成

BIMを利用しない場合、現在でもCADを利用して設計するのが一般的です。

そこで、BIMとCADの違いについて簡単に触れておきます。

 

CAD(Computer-Aided Design)は、建築設計や製品設計などの分野で使用される設計用のソフトウェアです。

主に2D図面の作成や3Dモデルの構築に使われますが、基本的には図面の設計や作図のためのツールです。

 

一方、BIMは文字通り、情報をモデリングするための手法です。

3Dのビジュアルだけでなく、スケジュール的な部分やコストなどのデータも含む複雑な情報を扱うことが特徴です。

BIMでは最初から3Dモデルを作成し、そこから2次元の図面を切り出します。

 

CADと比較して、BIMはより包括的な情報を提供するため、実装や運用に関わる詳細な情報を含み、より現実的なシミュレーションと予測が可能です。

このように、BIMはCADよりも広範囲な情報管理と活用を可能にする統合的なアプローチを提供します。

 

BIMとは建築のプロジェクトを効率化する手法

BIMは、建築業界に革新をもたらす統合的な情報管理手法です。

 

設計・施工の効率化、コスト削減、施主とのコミュニケーション向上など、多くのメリットがあります。

一方で、導入コストや人材教育などの面では課題も存在します。

 

BIMは、その特性を生かすことで、建築プロジェクトの質と効率を大幅に向上させる手法となるでしょう。

今後、業界全体でBIMの普及が進むことで、建設プロセス全体の最適化、効率化が期待されます。

 

 

アークシステムは、ITツールを通して、建設業に携わる方の業務をサポート。

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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