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積算の基礎知識

2024.08.07

建設業の賃上げ要求とは?背景や課題、施策について解説

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

2024年3月、建設業界に対し、政府が賃上げ要求を行いました。

建設各社は、今後この要求に対応していく必要があります。

 

では、政府による賃上げ要求とはどのようなものでしょうか。

また、なぜ建設業界に対し要求が行われたのでしょうか。

 

今回は、賃上げ要求の概要と理由を、課題や具体的な施策を交えてご紹介します。

建設業の賃上げ

建設業の賃上げ要求とは?

2024年3月に、政府は建設業界に対し、労働者の賃金に関する要求を行いました。

 

その内容は、「5%以上の賃上げを行うこと」。

労働者の賃金をベースアップすることで、建設業界の抱える問題解決を目指すことを提言したのです。

建設業界の抱える問題については、次の章で詳しくご説明しますね。

 

政府によるこの要求は、あくまで協力要請であり、絶対に守らなければならない命令ではありません。

 

しかし、この要求を受け、大手を中心に建設業界の賃上げが進んでいます。

公共工事の労務単価についても、前年比約6%プラスで設定されることになりました。

 

このような建設業界における賃上げの流れは、今後も加速していくと予想されます。

 

政府は「新3K」への変革も指示

従来の建設業界は、多くの人に「3K」の仕事というイメージを持たれていました。

「3K」とは、「きつい・汚い・危険」を表す言葉です。

このイメージは、建設業従事者が増えない原因にもなったと考えられます。

 

そこで政府は、賃上げ要求にあわせ、「新3K」への変革も建設業界に要請しました。

「新3K」とは、「給与が良い・休暇を取れる・希望がある」というプラスのイメージを表す言葉。

建設業界の働き方改革を進め、その労働環境とイメージを刷新し、建設業従事者を増やすことがその目的です。

 

現在の建設業の賃上げの状況

政府による賃上げ要求を受け、大手ゼネコンは実際に賃上げを実施しています。

例として、建設大手5社の賃上げ率を一覧でみてみましょう。

  • 清水建設:約6%
  • 大成建設:約6%(手当含む)
  • 竹中工務店:約7%
  • 大林組:約7%
  • 鹿島建設:約9%

 

大手5社は、平均7%の賃上げを発表しています。

また、上記5社は初任給の引き上げも実施し、その初任給は5社とも28万円となりました。

 

このように、大手建設会社では積極的な賃上げが実施されています。

そしてこれには、ただ「建設業従事者を増やす」という目的だけでなく、「優秀な若者を確保する」という目的があると考えられます。

 

優れた人材確保による自社の競争力向上のためにも、賃上げの必要性は高まっていくでしょう。

 

政府が建設業の賃上げを要求する理由とは?

建築

では、なぜ政府は建設業界に対し、賃上げを要求したのでしょうか。

それには、次の理由があると考えられます。

 

慢性的な人手不足・高齢化の解消

建設業界は、人手不足と高齢化が深刻です。

1980年には93万人いた従事者は、現在では29.8万人となり、3割近くに減少しました。

特に若者の従事者が少なく、大工に至っては10代の従事者の数はたった2,100人ほどだといわれています。

 

このような従事者の減少の原因は、「3K」と賃金の低さにあると考えられます。

 

そこで行われたのが、今回の賃上げ要求。

人手不足と高齢化を解消し、建設業を持続可能なものにするためにも、賃上げと「新3K」への変革は、非常に重要なのです。

 

建設業の人手不足については、「建設業の倒産が急増!その理由や回避するための対策をチェック」でも解説しています。

 

物価上昇への対応

近年、物価の上昇は激しくなってきています。

日々の暮らしの中で、物価高を感じている方も多いでしょう。

 

2023年の消費者物価指数は前年比プラス3.1%でした。

そして、2023年の実質賃金はマイナス2.5%

物価高に対し賃金が十分に上がっておらず、家計の負担が大きくなっていることがわかります。

 

建設業界への賃上げ要求は、この物価高への対応策でもあります。

物価高に追いつく賃上げを行うことで、家計の負担が軽減されれば、経済も活性化されるでしょう。

 

時間外労働規制による賃金減への対応

日本では、近年、働き方改革が進められています。

その一環として、2024年からは、これまで適用外とされてきた建設業にも、時間外労働の上限規制が適用されることになりました。

 

時間外労働を減らし、ワークライフバランスを重視できるという意味で、この規制には大きな意味があります。

しかし、それと同時に時間外労働手当が減り、結果として賃金が大きく減って、生活が苦しくなってしまう建設業従事者がいる点は問題です。

 

この問題を解決するためにも、賃上げは有効です。

賃金が上がれば、時間外労働手当に頼らない生活ができるようになります。

 

建設業の賃上げの課題

大手建設会社は賃上げを実現していますが、実は建設業の賃上げは簡単なものではありません。

建設業界全体で賃上げを目指すには、次の課題を解決する必要があるためです。

 

公共工事だけでなく民間工事の賃上げも必要

すでにご紹介したとおり、国による公共工事の労務費については、単価引き上げが実施されています。

これは建設業の賃上げを先導する取り組みだといえます。

 

しかし、実際に建設業界全体の賃上げを実現するためには、公共工事だけでなく、民間工事における賃上げも必要になります。

これについては、国が標準労務費を示すことになっていますが、賃上げによる企業や消費者の負担増加は避けて通れません。

 

中小企業における賃上げ実現性の低さ

建設業界は、元請会社が一次・二次と下請けに業務を流す多重下請け構造になっています。

この構造は、下請けとなる中小企業の負担が大きくなることから、長年問題視されてきました。

 

今回の賃上げのように、大企業が賃上げを実現したとしても、その下請け会社でも賃上げが行われるとは限りません。

多重下請けにより十分な利益を得られていない下請けの中小企業では、賃上げを実現できない可能性があります。

 

労働時間の削減も同時進行しなければならない

前述のとおり、2024年から建設業にも残業の上限規制が適用されることになりました。

これにより、各企業は従業員の労働時間をしっかり管理し、残業を削減していかなければなりません。

つまり、各企業は賃上げとともに、労働時間の削減も実現しなければならないのです。

 

労働時間を減らしながら賃金を上げるというのは、簡単にできることではありません。

その点でも、建設業界における賃上げには課題があると考えられます。

 

賃上げと労働時間の削減を同時に実現するためには、業務効率化が必要です。

建設業における業務効率化については、「建設業で業務効率化を進めよう。効率化が必要な理由や方法を詳しく!」をご一読ください。

 

建設業の賃上げを叶えるための施策

建設業の賃上げを叶えるための具体的な施策についてみていきましょう。

 

政府による施策

建設業の賃上げにあたって、政府は次の施策の実施を提言しています。

  • 中央建設業審議会による労務費基準の作成・勧告
  • 著しく低い労務費の見積や注文者による見積変更依頼の禁止
  • 総価での原価割れ契約の禁止
  • 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止(ルール整備)

 

政府では、建設業法の改正により上記の施策を実行し、賃上げを実現することを目指しています。

 

CCUSの導入

賃上げに向けた取り組みとしては、CCUSの導入も効果的です。

 

CCUSとは、建設キャリアアップシステムのこと。

これは、建設業従事者が資格や経歴を登録していくことで、技能や経験に応じた適切な評価・処遇を受けることのできるシステムです。

 

このシステムを活用することで、キャリアに応じた適切な賃上げが実施しやすくなります。

また、キャリアによる処遇向上を希望に、若者の従事者が増えることも期待できるでしょう。

 

CCUSは、現在国土交通省と建設業団体が普及促進に努めています。

 

CCUSについては、「建設キャリアアップシステムとは?制度の目的や利用の流れを解説!」で詳しくご紹介しています。

 

建設業の賃上げ待ったなし!業務効率化も検討を

政府からも要求を受けたように、賃上げは、建設業界における大きな課題です。

賃上げを行うことで、建設業従事者の暮らしの安定を実現できれば、人手不足や高齢化の問題は解決へ進むでしょう。

 

しかし、特に下請けの中小企業にとっては、賃上げは簡単なことではありません。

賃上げと労働時間の削減をあわせて実現するためには、業務効率化に力を入れる必要があります。

 

また、政府でも賃上げに向けてさまざまな施策の実施を提言しています。

CCUS(建設キャリアアップシステム)の登録も検討してみましょう。

 

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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