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積算の基礎知識

2024.07.12

諸経費の相場は何%?書き方や施主様への説明のコツも

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

建設工事の実施にあたっては、さまざまな費用が発生します。

その一つが「諸経費」です。

工事見積書の作成時には、この諸経費を必ず記載しなければなりません。

 

では、建設工事ではどのような費用が諸経費にあたるのでしょうか。

また、諸経費は全体の何%程度が相場なのでしょうか。

 

今回は工事の諸経費について、その概要や割合、見積書への書き方など詳しく解説します。

住宅の見積書

工事見積書の「諸経費」とは?

建設工事の実施前には、必ず施主様に対し工事見積書を提示します。

この工事見積書は複数の項目から成りますが、その一つが諸経費です。

 

諸経費とは、建材費のように工事に直接的に関係する費用ではないものの、工事を進行・完了させるためには欠かせない費用のこと。

工事に要した費用総額のうちの、工事費以外の費用とも考えられます。

 

諸経費は、大きく「現場経費(現場管理費)」と「一般管理費」の2種類に分類されます。

 

現場経費(現場管理費)

諸経費の中の現場経費(現場管理費)とは、工事の現場を運営するために必要な費用のことです。

具体的には、次のような費用項目が現場経費に含まれます。

  • 現場従業員の労務管理費
  • 現場従業員の人件費
  • 法定福利費(雇用保険・労災保険など各種保険の会社負担分)
  • 事務用品費
  • 通信交通費(通信費・ガソリン代・駐車場代など)
  • 施工図作成費
  • 機材損料(建設機材の管理・修理費)
  • 現場事務所の地代家賃
  • 租税公課(印紙代・公的手続きに関する手数料など) など

 

その呼び名のとおり、現場で発生する各種費用が諸経費の中の現場経費に該当します。

 

現場経費については、こちらのコラムもあわせてご参考ください。

現場管理費とは?その重要性や一般管理費との違いもチェック!

 

一般管理費

諸経費のうちの一般管理費とは、会社を運営するために必要な費用の中で、現場で負担する項目を指します。

具体的には、次のような項目が一般管理費にあたります。

  • 労務費(本店や支店従業員の人件費)
  • 法定福利費(本店や支店従業員分の各種保険の会社負担分)
  • 退職金
  • 福利厚生費
  • 広告宣伝費
  • 会社事務所の家賃
  • 会社事務所の水道光熱費
  • 調査研究費
  • 減価償却費
  • 租税公課(印紙代・公的手続きに関する手数料など)
  • 雑費 など

 

一般管理費については「積算における一般管理費とは?内訳や一般管理費等率の改定も確認!」で詳しく解説しています。

 

これらの諸経費は、積算においては「間接工事費」に該当します。

間接工事費の項目の管理については、以下もご一読ください。

積算における間接工事費とは?直接工事費との違いや内訳を解説!

積算における共通仮設費とは?内訳や計算方法など詳しく確認!

 

「諸費用」との違い

「諸経費」と似た言葉に、「諸費用」という言葉があります。

これらはどちらも建設工事で用いられる言葉ですが、その意味は次のように異なります。

  • 諸経費:工事を進行・完了させるために欠かせない費用
  • 諸費用:土地や建物の購入以外にかかる費用

 

具体例としては、住宅ローン手数料や登記費用、新たに加入する火災・地震保険料などが、諸費用にあたります

諸経費と諸費用は言葉が似ている分、混同されやすいですが、意味には違いがあるので注意しましょう。

 

工事見積書の諸経費は何%が相場?

ヘルメットと計算機

工事見積書には、内訳から諸経費を算出し、記載します。

 

工事全体の費用に対する諸経費の割合は、5〜10%が相場です。

例えば、3,000万円の建設工事を行うのであれば、諸経費の相場は150〜300万円ということになります。

 

とはいえ、この割合はあくまで目安です。

ケースによっては、より高い割合の諸経費が発生することもあるでしょう。

 

その理由については、以下でご説明します。

 

諸経費に幅がある理由

工事にかかる全体の費用に対する諸経費の割合には、ケースごとに幅があります。

その理由として考えられるのが、次のような違いです。

  • 見積方法の違い
  • 現場・会社の運営方法の違い
  • 現場の規模の違い
  • 地域による地代家賃の違い

 

建設業では、会社によって上記のような違いがあります。

 

例えば、建設会社の中には、建材の運搬費を本体工事費として積算する会社もあれば、諸経費として積算する会社もあります。

この場合、どちらの積算見積方法でも、工事にかかる総額は同じ。

しかし、諸経費に分類される費用項目が異なることで、諸経費の割合には違いが生まれます。

 

また、現場や会社をどう運営するか、現場の規模はどれくらいかによっても、かかる諸経費は変わるでしょう。

現場に出る社員が少なく、下請け業者に委託することが多い会社であれば、諸経費の割合は大きくなります。

 

さらに、地域による地代家賃の差も、諸経費に影響する要因の一つです。

 

工事見積書の諸経費の書き方

工事見積書における諸経費の書き方を確認していきましょう。

工事見積書では、諸経費の内訳を記載する場合と、内訳を記載しない場合に分かれます。

 

内訳を記載する場合

諸経費の内訳を記載する場合には、諸経費の項目における摘要として、細かな内訳を一覧で記すと良いでしょう。

具体例を挙げてみます。

名称 摘要 金額
諸経費
労務管理費 〇〇円
近隣対策費 〇〇円
地代家賃 〇〇円
保険料 〇〇円
施工図作成費 〇〇円
その他 〇〇円
小計 〇〇円

※項目は一例です

 

このように内訳を記すことで、「何に対してかかる費用か」という情報が明確になり、施主様も安心して工事を依頼することができるでしょう。

 

内訳を記載しない場合

内訳を記載せず、諸経費という項目のみを見積書に記す場合には、「諸経費 一式 〇〇円」というような書き方をします。

実際に、建設工事の見積書では諸経費の内訳を記載しないことが多く、このような書き方が一般的になっています。

 

しかし、この書き方の場合、諸経費の内容が不透明で、大きな費用を支払う施主様が不安を感じる可能性もあります。

そのため、見積書に諸経費の内訳を記載しない場合でも、施主様に質問された場合には、その内訳をはっきり答えられるようにしておくことが大切です。

 

工事見積書の諸経費を施主様へ説明するときのポイント

工事見積書の諸経費については、施主様に納得してもらうことが大切です。

そのためには、次の2つのポイントを意識しながら、施主様への費用説明を行うようにしましょう。

 

諸経費の内訳・割合を丁寧に説明する

諸経費の内訳を見積書に記載しない場合でも、その内訳と割合については丁寧に説明するようにしましょう。

 

諸経費の割合は全体の5〜10%程度ですが、建設工事には多くの費用がかかるため、諸経費の金額も決して小さなものではありません。

「何に費用が使われているのか」が把握できないことは、施主様の建設会社に対する不信感にもつながります。

双方の信頼の上、スムーズに工事を進めるためにも、丁寧な説明は非常に重要です。

 

必要かつ重要な費用であることを伝える

諸経費は工事に直接的に関わる費用ではありませんが、工事を進めるには欠かせない費用です。

施主様に諸経費について理解・納得してもらうためには、この必要性について説明することも大切です。

 

費用説明にあたっては、「諸経費は工事を安全・健全に進めるために欠かせない項目である」ことを明確に伝えるようにしましょう。

 

諸経費の相場は5〜10%が相場!内訳の説明は丁寧に

工事見積書における諸経費とは、工事に直接は関係ないものの、工事を進めるために必要になる費用のことです。

 

諸経費は、現場を運営するための現場経費と会社を運営するための一般管理費に分けられ、これらは労務管理費や法定福利費などといった複数の項目から成っています。

 

工事には多額の費用がかかりますが、諸経費の割合は5〜10%が相場です。

ただし、見積方法や現場の運営方法などによって諸経費の割合には違いが生まれることもあります。

 

また、諸経費の見積書に記載する際は、内訳を書く方法と書かない方法に分かれます。

建設業界では内訳を書かない方法が一般的ですが、施主様に安心してもらうためにも、その内訳はしっかり説明できるようにしておきましょう。

 

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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