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積算の基礎知識

2022.12.26

塗料の値上げの理由は?最新の現状・値上げ幅などもチェック

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

近年、塗装工事等に利用される塗料の価格が高騰しています。

これに伴い、工事にかかる費用も上昇傾向にあります。

 

では、塗料の価格はなぜ高騰しているのでしょうか?

また、実際の値上げ幅はどれくらいなのでしょうか?

 

今回は、近年の塗料の値上げについて、その理由と状況を詳しく解説します。

※2022年12月現在

塗料の値上げの現状・理由を解説!

塗料の価格は、ここ数年で値上がりを続けています。

まずは、政府統計の総合窓口であるe-Statの小売物価統計調査データから、近年の外壁塗装費用の変化を一覧で見てみましょう。

  • 2016年:5,555円/㎡
  • 2017年:5,555円/㎡
  • 2018年:5,555円/㎡
  • 2019年:5,636円/㎡
  • 2020年:5,825円/㎡
  • 2021年:5,713円/㎡
  • 2022年:5,913円/㎡

(参照:小売物価統計調査「主要品目の東京都区部小売価格 3178外壁塗装費」2016年〜2022年 ※各年1月の数値)

 

この数字を見ると、外壁塗装費の価格は2018年までは横ばいだったものの、2019年以降値上がりが発生していることがわかります。

ここでご紹介している数字は1㎡あたりの価格なので値上がり幅は数百円ですが、実際の塗装工事では何十㎡もの壁を塗るため、その価格は大幅に上がると予想されます。

 

ただし、この数字には足場設置費用や高圧洗浄費用等も含まれるため、一概に塗料の値上げだけによる変化だとは言えません。

 

とはいえ、各塗料メーカーが塗料価格を大幅に値上げしていることを考えると、この統計による値上がりは、塗料価格の高騰に大きな影響を受けていると考えられます。

 

塗料の値上げの理由

塗料の値上げに大きく関係しているのは、次の3つの社会背景です。

  1. 原材料の価格高騰
  2. 原油価格の高騰
  3. 大幅な円安

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1.原材料の価格高騰

外壁塗装材の原材料となる顔料や樹脂を、日本は輸入に頼っています。

 

しかし、近年の新型コロナウイルスの流行や環境問題、ウクライナ危機の影響を受け、塗料の原材料の原産地では減産や貨物便の減少が発生。

塗料の原材料が十分に供給されない状態が続いています。

需要が供給を上回る状態では、当然その価格は上昇します。

 

つまり、需要過多・供給減少による原料価格の高騰が、その原料から生成された塗料価格の上昇につながっていると考えられます。

 

2.原油価格の高騰

原油価格の高騰は、日本でも大きな問題になっています。

 

塗料も、その影響を受ける物のひとつ。

塗料には石油由来のものが多いため、原油価格の高騰の影響を受けやすいのです。

 

また、塗料の原料の多くを輸入に頼っている日本では、その運搬にかかるガソリン代の値上がりの影響も小さくはありません。

塗料価格の高騰は、そのような諸費用の値上がりが、商品価格に転加された結果でもあるでしょう。

 

3.大幅な円安

2022年に入り、急激に円安が進みました。

 

1月に1ドル113円程度だった為替は、日に日に円安ドル高へ。

10月には1ドル150円超にまで達し、円の価値は大幅に下落しました。

その結果、あらゆる輸入品が実質値上げとなったことは、記憶に新しいでしょう。

 

円安の影響は、当然、海外の原材料に頼っている塗料にもおよびます。

円安で原材料に支払うコストが増えたことで、メーカーは、日本国内で販売する塗料を大幅に値上げせざるを得なくなったのです。

 

大手メーカーの塗料の値上げの状況も確認

2022年以降、複数の大手メーカーが塗料の値上げを発表しています。

塗料の種類によって値上げ幅は異なりますが、その平均は次のとおりです。

  • 水性塗料:15%前後
  • 溶剤系塗料:15〜20%前後
  • シンナー類:25〜30%前後

 

他の種類の溶剤はもちろん、塗装に使う機器や運賃も値上げされ、それらは外壁塗装費用に上乗せされています。

 

ただし、メーカーによって値上げ状況は異なります。

ここからは、大手メーカーの塗料の値上げ状況を確認していきましょう。

 

日本ペイント株式会社

日本ペイントでは、2021年9月に価格改定を実施していましたが、2022年5月に再度値上げを実施しています。

その理由として、次の6つの背景を挙げています。

  • 需要拡大
  • 寒波による主要プラントの操業停止
  • 原料サプライヤーの工場火災
  • 原材料価格の高騰
  • コンテナ不足による輸送賃の値上げ
  • 国内配送量急増による運送費高騰

 

塗料の値上げ幅は、次のとおりです。

  • 水性塗料:10~15%
  • 溶剤系塗料:15~25%
  • シンナー類:30~35%
  • 粉体塗料:5~10%
  • 機器類等:15~25%

(参照:日本ペイント「製品および運賃の価格改定について」)

 

同時に運賃も10~30%の値上げが発表されています。

 

関西ペイント

関西ペイントは、2021年6月および2022年4月に既に取扱塗料の価格改定を行なっていましたが、2022年10月に再度値上げを実施しました。

その理由として、同社は次のような社会背景を挙げています。

  • コロナ禍からの経済回復による需要増大
  • ウクライナ侵攻によるエネルギー事情の悪化
  • EV化等の産業構造の変化による需給バランス崩れ
  • 原油・ナフサの高騰
  • 急激な円安の進行
  • 上記影響による原料高騰

 

塗料の値上げ幅は、次のとおりです。

  • 塗料類:15〜30%
  • 硬化剤:15〜40%
  • シンナー類:20〜40%

(参照:関西ペイント販売株式会社 プレスリリース「製品の価格改定について」)

 

エスケー化研株式会社

エスケー化研では、2022年5月に価格改定を実施しました。

その理由として、次のような背景を挙げています。

  • 原油価格の高騰
  • 原料・資材の値上がり
  • 物流費の上昇

 

塗料の値上げ幅は、次のとおりです。

  • 塗料全般:5〜15%
  • シンナー類:15〜25%

(参照:エスケー化研株式会社「製品の価格改定について」)

 

値上げは塗料だけではない!他の資材は?

近年の大幅な値上げは、塗料に限りません。

中でも建築工事や塗装工事に深く関わるのは、運賃と木材でしょう。

 

原油高や配達需要の増加によって、物の運賃は上昇しています。

運賃が高くなると、海外からの輸入はもちろん、国内で塗料や資材を配送してもらう費用もかさみ、結果としてそれが工事にかかる費用に上乗せされていくことになります。

 

また、ここ数年で欧米での木材の需要が高まったことから起きたウッドショックにより、建材の価格も値上がりしました。

一般住宅は木造であることが多いため、建材として用いる木材の値上げを反映して、住宅価格も高くなってきています。

 

さらに、半導体不足も深刻化し、これも建設工事の高騰や遅延を生んでいます。

 

建材の価格動向や半導体不足については、こちらのコラムもご参考ください。

建材とは?種類や重要性について詳しくご紹介!

なぜ半導体不足が起きた?原因や今後、建設業界への影響をわかりやすく!

 

このような塗料以外の資材価格高騰の影響もあり、建設工事費の総額は値上がり傾向にあります。

建設工事費全体の価格上昇については、「建設工事費の推移を詳しく解説!建設資材価格の上昇理由、今後の予測も」でご紹介しています。

 

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塗料の値上げの理由は世界的な原材料高騰・原油高・円安

ここ数年、塗料の価格は急上昇しています。

 

その主な原因が、「原材料の価格高騰」「原油価格の高騰」「大幅な円安」です。

コロナ禍や需要の偏り、ウクライナ危機等さまざまな情勢が影響し合い、それがこのような原因を生み出したと考えられます。

 

塗料価格の値上がりは数十%にも上り、これは他の資材高騰と合わさって、建設費を高騰させています。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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