こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
2022年(令和4年)より、建築物の解体・改修にあたって、アスベストの事前調査が義務付けられることになりました。
施工業者は、工事の前に必ずこの調査を行い、報告を行わなければなりません。
では、アスベストの事前調査とはどのようなものなのでしょうか。
また、どのような工事が対象となるのでしょうか。
今回は、アスベストの事前調査の概要や報告方法、対象工事についてわかりやすく解説します。
目次
アスベストの事前調査とは?報告方法も確認!
そもそもアスベスト(石綿)とは、天然の鉱物繊維のこと。
熱や摩擦に強く、丈夫であることから、断熱材や吹き付け材などの建材向け素材として、従来用いられてきました。
しかし、やがてアスベストの発がん性が問題視されるようになり、健康被害を訴える声も増加。
これにより、2006年9月に労働安全衛生法施工令が改正され、現在はアスベストの製造・輸入・譲渡・使用などは禁じられています。
とはいえ、法改正以前に建てられた建設物にアスベストが使われている可能性は低くありません。
アスベスト自体は、そこにあったからといって、体に害を及ぼすものではありません。
飛散し、吸い込むことで人体に影響を与えます。
そのため、建設物の解体や改修時に行うのが、「アスベストの事前調査」です。
アスベストの事前調査とは
アスベストの事前調査とは、建築物や工作物の解体および改修工事を行うにあたって、工事の元請業者や自主施工者が事前に行わなければならない調査のこと。
この調査では、対象の建築物・工作物のアスベスト使用の有無を調べます。
アスベストの事前調査は、大気汚染防止法の改正によって、2022年4月1日以降に着工する工事に対し、義務付けられました。
同時に、条件を満たす工事については、労働基準監督署と自治体に対する報告も義務付けられています。
前述のとおり、アスベストは人体に有害な物質です。
事前調査は、建築物の解体・改修にあたってのアスベスト被害を避けるために必要なもので、もし対象の建築物にアスベストが認められた場合には、法令に基づいた措置が必要になります。
調査に必要な資格
アスベストの事前調査を行えるのは、次の資格を持つ者です。
- 建築物石綿含有建材調査者
- 日本アスベスト調査診断協会の登録者
上記以外の人による事前調査は認められていません。
誰でも調査に入れるわけではない点に注意しましょう。
また、事前調査にかかる費用は共通仮設費に分類されます。
共通仮設費については「積算における共通仮設費とは?内訳や計算方法など詳しく確認!」でわかりやすく解説しています。
事前調査の報告方法
アスベストの事前調査による、アスベスト使用の有無の結果については、一定の条件を満たす工事に限り、労基署(労働基準監督署)と自治体に報告を行わなければなりません。
この報告については、原則Web上の「石綿事前調査結果報告システム」を用いて行うことになります。
パソコン・スマートフォンから24時間手続きができ、また労基署と自治体それぞれに報告を行う手間も省けます。
なおまた、Webシステムの利用が難しい場合には、紙の報告書を提出することも可能です。
報告が義務付けられる一定の条件については、次章で詳しくご紹介します。
アスベストの事前調査結果の報告の対象工事・規模基準とは?
アスベストの事前調査は、原則すべての工事が対象となりますが、すべての工事で労基署や自治体への報告が必要なわけではありません。
また、中には事前調査自体が不要なものもあります。
ここでは、事前調査の結果報告が必要なケースと事前調査自体が不要となるケースをみていきましょう。
事前調査の報告が必要なケース
アスベストの事前調査の結果報告は、次の条件に該当する工事で必要になります。
- 解体部分の床面積の合計が80㎡以上の解体工事
- 請負金額が税込100万円以上の改修工事
- 請負金額が税込100万円以上の、特定の工作物※の解体・改修工事
- 総トン数20トン以上の鋼製の船舶の解体・改修工事
※煙突、ボイラー、配管設備、発電設備、焼却設備など(詳しい情報は厚生労働省のパンフレットにて)
上記の工事については、調査の結果たとえアスベストがなかった場合でも、労基署や自治体に対する報告が必要です。
一方で、床面積が80㎡以下、請負金額が100万円以下などの工事については、報告は必要ありません。
ただしそのような場合でも、調査自体は必ず行ってください。
事前調査自体が不要なケース
次の工事については、アスベストの事前調査を行う必要はありません。
- 木材や金属、石、ガラス等のみで構成されている材料を除去する場合、または畳や電球等アスベストが含まれていないことが明らかなものを除去する場合で、除去や取り外し作業にあたって、周囲の材料を損傷させる恐れがない工事
- 材料に極めて軽微な損傷しか及ぼさない工事
- 既存の材料は除去せず、新たな材料を追加するだけの工事
- 国交省がアスベストが使用されていないことを確認している工作物の解体・改修工事
これらの工事は調査が不要であるため、報告も必要ありません。
後に事例をご紹介しますが、軽微な工事であっても、アスベストが含まれる可能性がある壁などに穴を開けるような場合には、必ず事前調査を行う必要があります。
書面調査だけで良い場合も
アスベストの事前調査には、設計図書などでアスベストの有無を確認する書面調査と実際に現地で確認作業を行う目視調査に分かれます。
「2006年9月1日以降に着工・建設された建築物の解体・改修工事」においては、書面調査だけで事前調査を完了させることが可能です。
前述のとおり、アスベストの使用は2006年9月1日以降禁じられました。
そのため、それ以降に建てられた建設物については、設計図書などでアスベストがないことを確認するだけで良いとされています。
アスベストの事前調査の対象工事事例
例えば、次のような工事ではアスベストの事前調査が必要です。
実際に調査が行われた事例をご紹介します。
リフォームにあたっての事前調査
2000年頃に建築された事務所の一部リフォームの事例です。
リフォームの内容は、ロッカーの入れ替えに伴う壁へのボルト固定、フロアの巾木撤去、スロープ設置のためのアンカー固定など。
リフォームの実施に伴い、内壁と巾木、床について、アスベストの事前調査が行われました。
巾木やクロスに用いられていた接着剤にはアスベストが含まれている可能性があったため、特に接着剤使用部分において、慎重な調査が必要とされました。
石綿含有建材調査者による現地調査・分析の結果、アスベストは不検出となりました。
施設の解体にあたっての事前調査
自治体が保有する施設の解体にあたって、アスベストの事前調査が行われた事例です。
仕様書の確認により、窓周りの部分に複数の建材を使用していることがわかり、各建材に対し調査・分析を実施。
結果、一部のリシン吹付けにおいてアスベストの含有が確認されました。
上記の通り、建物の解体はもちろんのこと、比較的軽微なリフォームの場合でもアスベストが含まれる可能性がある場合は調査が必要です。
小さな工事だから不要と考えず、状況に応じて対応しましょう。
アスベスト事前調査はすべての解体・改修が対象工事!報告要件も確認を
建築物や工作物の解体・改修工事においては、アスベストの事前調査が必要です。
これは体に害のあるアスベストの有無を確認する調査で、原則すべての解体・改修工事に義務付けられています。
また、解体床面積が80㎡以上、請負金額が税込100万円以上などの条件を満たす工事については、労基署や自治体への調査結果の報告も義務付けられているため、必ず対応するようにしましょう。
ただし、アスベストが含まれていないことが明らかな建築物の工事については、この事前調査は不要です。
さらに、2006年9月1日以降に着工・建設された建築物の解体・改修工事については、書面調査だけで、目視調査は必要ありません。
事前調査は原則実施すべきですが、建築物・工作物によっては例外もあるので、よく確認するようにしましょう。
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