こんにちは!ITの力で建設業界に貢献するアークシステムです。
建設業法は建設業に関わる人なら必ず知っておくべき法律。
1949年に制定されてから建設業界の隆盛や時代背景などに合わせて改正されています。
2020年には約25年ぶりとなる大きな改正があり、さらに2022年にも建設業法の一部改正が行われました。
今回のコラムでは、建設業法2020年と2022年の改正のポイントを解説します。
改正の背景ともなった業界の課題や改正内容などを分かりやすくお伝えしますね。
目次
建設業法とは?まずは基本から解説
建設業法とは、建設業に関する多くのルールを定めている法律です。
建設業は日本の経済成長や社会の発展に欠かせない業種。
戦後の復興で建設業者が急増した1949年に制定され、その後は時代背景などに合わせてたびたび改正されています。
建設工事における不正や現場でのトラブルは、経済的な損害だけでなく、事故や災害のリスクも高まります。
そこで、建設業法によって建設業者の資質向上と請負契約の適正化について規定することで、工事の適正な施工、発注者の保護、建設業の健全な発達の促進を図り、社会全体の利益増進を目指しています。
例えば、建設業法ではこんな規定が定められています。
- 建設業を営むためには、業種ごとに許可を受けなくてはいけない
- 建設工事の請負契約は対等で公正な契約とし、契約書に内容を記す
- 経費の内訳を明確にした見積書を作成する
- 工事現場には定められた技術者を配置する
建設業法に違反すると、罰金や許可取り消しなど厳しい処分が課せられるものもあります。
建設業法の目的や内容についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
2020年に建設業法が改正!改正のポイントを詳しくご紹介
建設業法の2020年改正では、約25年ぶりとなる大幅な改正が行われました。
改正の背景となったのは、建設業界の人手不足問題です。
厚生労働省の資料(※)によると、現在、建設業に従事する労働者の中で55歳以上は36%を占め、29歳以下の若年層は11.8%。
全産業(55歳以上:31.1%、29歳以下16.6%)と比較してもとくに高齢化が進んでいて、将来の担い手不足が懸念されています。
※参照:厚生労働省「第10次 建設雇用改善計画(令和3年〜令和7年)の概要」
長時間労働や給与水準が低いなどのイメージもあり若者の参入が少なく、慢性的な人手不足の状態が問題となっています。
そこで、昨今の「働き方改革」の流れを建設業界にも取り入れ、労働環境を改善して人材を確保すること、仕事の効率をアップして生産性を上げることで、若者が展望をもって働ける魅力ある職場つくりの推進を目的に、建設業法が改正されました。
新たに盛り込まれた規定には、主に次のようなものがあります。
- 働き方や環境の整備
- 現場の生産性向上
- 事業継承等を円滑にする
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
働き方や環境の整備
次のように、下請け業者を守るための緩和や規制が盛り込まれました。
著しく短い工期での契約締結を禁止
無理な工期による長時間労働などを防ぎ、工事の適正化を図ります。
中央審議会建設業において作成された工期に関する基準(※)で示す事項や、過去工事の実績などが基準となります。
※参照:中央建設業審議会 工期に関する基準:令和2年7月20日
工期に影響を及ぼす事項についての情報提供義務
発注者は請負業者に対して、工期などに影響をおよぼすとみられる情報を事前に提供する義務があります。
また、請負業者は発注者へ見積を提出する際、工程の細目や工程ごとの作業日数を明確にして見積もりをする努力義務を負います。
下請代金のうち「労務費相当分」を現金払いとする義務
元請業者が下請業者へ支払う下請代金のうち、労務費相当分は現金払い(銀行振り込みや銀行振出小切手払い含む)とする義務があります。
下請業者が労働者へ賃金を滞りなく支払う環境を整えるためです。
「工事を施工しない日・時間帯」を定める場合は契約書に明記
労働環境を改善し、明確化する目的で盛り込まれました。
請負契約の契約書に曜日や時間を具体的に記載するか、契約書には原則のみを記載して、詳細は特記仕様書等に別途記載します。
現場の生産性向上
建設現場の生産性を向上させることを目的として、次のような見直しがありました。
工事現場の技術者配置のルールを合理化
元請の監理技術者、下請の主任技術者の現場配置について、一定の条件を満たせば監理技術者が2つの現場を兼務でき、下位業者は主任技術者の配置が不要となりました。
認可行政庁が建設資材製造業者に対して改善勧告・命令が可能
施工不良の原因が施工に使用された資材にあった場合でも、行政は施工業者のみならず建設資材製造業者に直接勧告・命令できるように。
それにより、建設業者が資材に対して担う責任負担が軽くなりました。
事業継承等の円滑化
事業環境の持続が課題になっている中、その解決手段として次の内容が加わりました。
許可要件の合理化
建設業の許可要件から「役員に5年以上の経験者がいること」を排除し、「事業者全体で適切な経営管理責任体制になっていること」を要件としました。
合併、事業譲渡における事前許可手続き、相続における認可手続きを新設
合併や事業譲渡、相続の場合での建設業の許可取得をスムーズにし、「許可を取得するまで業務ができない」という事態を回避できるようになりました。
建設業法2022年改正のポイントを解説!
2022年の改正では、特定建設業の許可および監理技術者の配置が必要となる下請代金額や、監理技術者等の専任を要する請負代金額等の金額要件の見直しが行われました。
また、技術検定制度の見直しも行われました。
どのように変わったのか、詳しく解説していきましょう。
金額要件の見直し
近年の工事費の上昇を踏まえ、次のように金額要件が見直されました。
(施行日:令和5年1月1日)
特定建設業の許可、監理技術者の配置及び施工体制台帳の作成を要する下請代金額の下限
改正前:4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)
改正後:4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)
主任技術者又は監理技術者の専任を要する請負代金額の下限
改正前:3,500万円 (建築一式工事の場合は7,000万円)
改正後:4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)
下請負人の主任技術者の配置を不要とすることができる特定専門工事の下請代金
額の上限
改正前:3,500万円
改正後:4,000万円
※参照:建設業法施行令一部を改正する政令について(令和4年政令第353号)
技術検定制度の見直し
2022年の改正では、技術検定の受験資格を国土交通省令で定めることとし、今後、施行技術検定規則等の改正を行い受験資格の見直しを行う予定であるというものでした。
そして、2023年5月に「施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令」が交付され、技術者制度の見直しの内容が明確化されました。
主な改正の内容は以下の通りです。
受験資格の見直し(施行日:令和6年4月1日)
学歴・実務経験による制限は撤廃され、次のように改正されました。
- 技術検定1級の第1次検定は、19歳以上であれば受験可能とする
- 1級及び2級の第2次検定は、第1次検定合格後、条件によって求められる実務経験は異なるが、一定の実務を経験することで受験可能とする
実務経験による技術者資格要件の緩和(施行日:令和5年7月1日)
改正前は指定学科以外の卒業者は10年以上の実務経験が求められていましたが、今回の改正で、事業環境の持続事業環境の持続され、次のように改正されました。
- 1級の第一次検定合格者を大学指定学科卒業者と同等とみなし、合格後3年の実務経験を有することで、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たすこととする
- 2級の第一次検定合格者を高校指定学科卒業者と同等とみなし、合格後5年の実務経験を有することで、一般建設業許可の営業所専任技術者要件を満たすこととする
※参照:施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する政令等について
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建設業法2020年・2022年改正のポイントを押さえて環境改善を
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