こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。
建設工事を行うと、土砂やコンクリートなどさまざまな副産物が発生します。
これらは「建設副産物」と呼ばれ、適切に処理・再利用することが求められてきました。
近年では、環境保全や資源の有効活用の観点から、建設副産物の再利用が特に重要視されています。
今回は、建設副産物の基本的な概念から種類、再利用が重要視される理由までを詳しく解説します。
目次
建設副産物とは?基本をわかりやすく解説
建設副産物とは、「建設工事に伴い副次的に得られた物品」を指します。
つまり、建設工事の主目的ではなく、工事を進める過程で副次的に発生するすべての物品が建設副産物です。
具体的には、建築物を建てるために運び出された土砂や建築物を取り壊す際に発生したコンクリートの塊、ガラスや木材のくずなどが、これに該当します。
建設副産物について、環境省は以下のような特徴を挙げています。
⚫︎廃棄物の発生場所が一定しない
⚫︎発生量が膨大である
⚫︎廃棄物の種類が多様であり、混合状態で排出される場合が多いが、的確に分別すれば再生利用が可能なものも多い
⚫︎廃棄物を取り扱う者が多数存在する。(重層下請構造が存在する。)
建設副産物は、廃棄物処理法や建設リサイクル法、資源有効利用促進法などの法律により処理方法が定められており、リサイクルが促進されています。
国土交通省が開発した「建設副産物情報交換システム(コブリス・プラス)」からは、建設副産物のリサイクルに関するリアルタイムの情報交換や施設情報の検索が可能です。
こちらもぜひご活用ください。
建設副産物の種類を紹介!産業廃棄物や再生資源との違いは?
建設副産物にはさまざまな種類があります。
主な建設副産物の種類と、産業廃棄物や再生資源との違いについて解説します。
建設副産物の代表例
建設副産物の主な種類には、以下のようなものがあります。
建設発生土
建設工事に伴って工事現場の外に運び出された土砂です。
廃棄物処理法に規定する廃棄物には該当せず、指定副産物として再利用すべきものとして位置づけられます。
建設発生土には、一般的な土砂のほか、港湾や河川などの浚渫(しゅんせつ)に伴って生じる浚渫土なども含まれます。
コンクリート塊
主に工作物の除去によって生じるコンクリートの破片です。
産業廃棄物に該当しますが、適切に処理することで再生クラッシャラン(再生砕石)や再生砂などの再生資材として利用できるため、再生資源としても位置づけられます。
アスファルト・コンクリート塊
主に舗装の剥ぎ取りや削り取りによって生じるアスファルトがらです。
コンクリート塊と同様に産業廃棄物ですが、再生アスファルト合材などとして再利用が可能です。
建設発生木材
木造建築物の解体などによって生じる廃木材です。
パーティクルボードや製紙原料、バイオマス発電の燃料などとして再利用されます。
建設汚泥
掘削工事などによって生じる泥土のうち、産業廃棄物に該当するものです。
処理することで盛土用土や流動化処理土などとして再利用可能です。
その他の建設副産物
紙くず、木くず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず、建設混合廃棄物などがあります。
多くは産業廃棄物に該当しますが、金属くずなどは有価物として取引されることもあります。
産業廃棄物や再生資源との違い
建設副産物の扱いについて正しく理解するためには、建設副産物と産業廃棄物、再生資源の関係について理解することが重要です。
建設副産物と産業廃棄物の関係
建設副産物のうち、廃棄物処理法に規定する廃棄物に該当するものを「建設廃棄物」と呼びます。
建設廃棄物は「一般廃棄物」と「産業廃棄物」を含む概念であり、その多くは産業廃棄物に分類されます。
例えば、生ゴミや草木・枝などは一般廃棄物に該当しますが、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材、建設汚泥などは産業廃棄物に該当します。
ちなみに、石綿(アスベスト)やPCB(ポリ塩化ビフェニル)を含む一部の建設廃棄物は「特別管理産業廃棄物」として、より厳格な管理が求められます。
つまり、建設副産物における建設廃棄物のうちの一部が産業廃棄物となります。
産業廃棄物の処理委託には、産業廃棄物マニフェストが必要です。
詳しくは、「産業廃棄物マニフェストとは?制度の概要やしくみ・書き方を解説」をお読みください。
建設副産物と再生資源の関係
再生資源とは、建設副産物のうち有用なものであって原材料として利用できるもの、またはその可能性があるものを指します。
例えば、建設発生土は再生資源であり、コンクリート塊やアスファルト・コンクリート塊も適切に処理することで再生資源となります。
重要なのは、同じ建設副産物でも状態によって再生資源になるかどうかが変わる点です。
コンクリート塊も、再資源化が困難な状態であれば単なる廃棄物となります。
逆に、廃棄物処理法上は産業廃棄物であっても、リサイクルできるものは再生資源としての側面も持ちます。
建設副産物の再利用が重要視される理由は?
建設副産物の再利用は、近年特に重要視されています。
その理由と適正処理のポイントを解説します。
建設副産物の再利用が重要視されている理由
建設副産物の取り扱いは、循環型社会の実現のために重要視されています。
その理由を確認していきましょう。
理由1:循環型社会の実現に貢献するため
循環型社会とは、資源を効率的に循環させ、環境負荷を最小限に抑えた社会を指します。
循環型社会の実現には3つの柱があります。
- 廃棄物の発生を抑制する
- 資源を循環的に利用する
- 廃棄物を適正に処分する
建設副産物のリサイクルを推進することは、新たな資源の採掘を減らしながら廃棄物の排出量削減につながるため、循環型社会の実現に直結します。
理由2: 建設副産物は今後も増加する傾向にあるため
高度経済成長期以降に整備された道路橋やインフラ、河川、下水道、港湾などの老朽化が進んでおり、今後、建設後50年以上経過する社会資本の割合がますます高くなるといわれています。
国土交通省の調査によると、2040年には道路橋の約75%、トンネルの約52%、河川管理施設の約65%、水道管路の約41%、下水道管渠の約34%、港湾施設の約68%が建設50年以上を経過すると予測されています。
※参考:国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」
これらの補修工事や維持管理に必要な工事が増えると建設副産物の排出量も増大することが懸念されます。
そのため、建設副産物の再利用の重要度が高まっているのです。
理由3: 法的にも再資源化が義務付けられている
日本では2002年に「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)」が施行され、一定規模以上の工事において、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材などの特定建設資材廃棄物の再資源化が義務化されました。
建設リサイクル法については、「建設リサイクル法とは?簡単にわかりやすく解説!」で詳しくご紹介しています。
また、建設副産物のリサイクル率の向上や有効利用率の向上を目指し、国土交通省により「建設リサイクル推進計画2020」も策定されています。
建設副産物の適正な処理のポイント
建設副産物を適正に処理するためのポイントは以下の通りです。
分別の徹底
建設副産物は種類ごとに適切に分別することが重要です。
混合状態で排出されると再資源化が困難になるため、工事現場での分別を徹底しましょう。
特に、特定建設資材廃棄物(コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材)は分別が義務付けられています。
適切な処理業者への委託
建設廃棄物を処理する場合は、都道府県知事から処理業許可を得ている業者に委託する必要があります。
無許可業者への委託は法律違反となり、排出事業者にも罰則が科される可能性があります。
委託する際は、許可の有無だけでなく、マニフェスト制度への対応、行政処分歴の有無、処理実績、費用の明確さなども確認すると良いでしょう。
建設発生土の有効利用
建設発生土は廃棄物ではありませんが、資源有効利用促進法により指定副産物に定められており、再利用する必要があります。
他の工事現場での盛土材など、できるだけ有効活用することが求められます。
再生資材の積極的な利用
建設副産物から製造された再生資材(再生クラッシャラン、再生アスファルト合材など)を積極的に利用することも、循環型社会の実現に貢献します。
建設工事を発注する際や資材を選定する際には、再生資材の使用を検討しましょう。
建設副産物を減らすには、建築資材のロスを減らすことも大切です。
建築資材のロスについては、「建築資材のロスが発生するのはなぜ?理由やロス減少の事例を紹介」で解説しています。
建設副産物とは循環型社会実現のためのカギ
建設副産物とは、建設工事に伴い副次的に得られるすべての物品であり、再生資源と廃棄物の両方を含む概念です。
主な建設副産物には、建設発生土、コンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材、建設汚泥などがあります。
これらの中には産業廃棄物に該当するものとそうでないものがあり、また再生資源として再利用できるものも多く存在します。
建設副産物の再利用は循環型社会の実現に貢献するとともに、今後増大する建設副産物の排出量を抑制する上で非常に重要です。
そのため、法的にも再資源化が義務付けられ、リサイクル率の向上が求められています。
建設副産物の分別の徹底、適切な処理業者への委託、建設発生土の有効利用、再生資材の積極的な利用などを通じて、環境に配慮した建設リサイクルに取り組んでいきましょう。
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