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積算の基礎知識

2023.02.15

新型コロナウイルスの建設業への影響は?今後の動きについても解説

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こんにちは!ITの力で建設業界に貢献する「アークシステム」です。

 

2020年から世界的に蔓延し、問題となった新型コロナウイルス感染症。

このウイルスは私たちの日常生活のあり方を大きく変え、多くの業種や会社がその影響を受けました。

 

建設業もそのひとつです。

 

新型コロナウイルス感染症の拡大は、それまで好調だった建設業の事業継続を困難にするとともに、建設業の課題を浮き彫りにしました。

では、具体的にはどのような影響があったのでしょうか。

 

今回は、新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらした建設業への影響と課題、その解決方法について解説します。

 

コロナ以前の建設業はどうだった?

コロナ以前の建設業界は、需要が右肩上がりで、特に民間企業による建設投資が増加傾向にありました。

この背景には、次のような工事が関係していたと考えられます。

  • 東日本大震災の復興
  • 東京オリンピック・パラリンピック
  • リニア建設
  • 首都圏を中心とした再開発 など

 

2011年に起こった東日本大震災は、東北を中心に各地で大きな被害を引き起こしました。

この復旧・復興のための建設需要は、それまで低迷していた建設投資の額を引き上げる要因のひとつになったと考えられます。

 

また、2013年に決定した東京オリンピック・パラリンピックも大きな建設需要を生みました。

例えば、スタジアムや選手村の建設、開催地周辺のインフラ整備など。

その額は、一都三県だけで4,000億円にも上ったといわれています。

 

さらに、品川から名古屋、最終的に大阪を結ぶ予定のリニア新幹線関連の工事や、首都圏を中心に各地で行われている大規模な再開発工事も、建設需要を後押ししてきました。

 

このように、コロナ前の建設業は需要が多く、政府投資・民間投資の両面でその投資額は増加傾向にありました。

しかし、好調であったはずのこの業界に大きな打撃を与えたのが、2020年の新型コロナウイルスの蔓延です。

 

新型コロナウイルスによる建設業への影響や課題

世界的に感染が広がり、多くの死者も出した新型コロナウイルスは、それまで好調であった建設業にも多大なる影響を及ぼしました。

それと同時に、このウイルスは建設業界の抱える課題も顕在化させました。

 

ここからは、その影響と課題についてご説明します。

 

コロナ禍がもたらした建設業への影響

まずは、コロナ禍がもたらした建設業への影響を「破綻業者の増加」「資材の高騰・納期遅れ」「人材不足のさらなる深刻化」「居住環境に対するニーズ変化」という4点から見ていきます。

 

破綻業者の増加

飲食や宿泊を中心に、コロナ禍での企業の破綻は数千件に上っています。

 

その中で、建設業の破綻業者は当初少なく、それほど大きな影響は見られませんでした。

しかし、海外からの建設関連のサプライチェーンが寸断されるようになると、徐々に影響は大きくなり、2022年3月までに300件以上の業者が破綻したとされています。

 

このように、建設業者の経営を苦しくし、破綻業者を増加させているのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による「工事受注の減少」や「工事予算の削減」です。

 

破綻者増加の理由① 工事受注の減少

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて売上が低迷した企業は多く、これにより新たに工事を発注しようとする企業は減少しました。

また、慣れないテレワークの普及により、建設業者がスムーズに営業活動を行うことも難しくなりました。

 

これにより、建設業者の工事受注数は減り、その売上は減少。

体力のない業者は破綻することとなってしまいました。

 

破綻者増加の理由② 工事予算の削減

工事を受注できた場合でも、新型コロナウイルス感染症拡大による資産状況の悪化や見通しの不確かさにより、工事予算を削る企業は増えました

 

公共の工事でも工事予算の削減は見られ、中には工事自体が中止になったケースも。

このことも、建設業者の売上減少・資金繰り悪化に繋がっています。

 

資材の高騰・納期遅れ

新型コロナウイルス感染症の流行は、建設に必要な資材の高騰、また納期の遅れも発生させました。

 

例えば、木や鋼材など。

この現象は、「ウッドショック」「アイアンショック」などと呼ばれています。

 

日本では、建築資材の多くを輸入に頼っています。

しかし、新型コロナウイルスの蔓延を原因とする海外の労働者不足やコンテナ不足、また現地での住宅建設需要拡大などにより、日本に入ってくる資材は減少しました。

その結果、資材価格の高騰や納期遅れが発生したのです。

 

これにより金銭的負担が増え、建設期間も長期化したことで、資金繰りが悪くなる業者が多発しました。

 

資材価格の高騰については、こちらのコラムでも詳しくお話ししておりますので、あわせてご参考ください。

建設工事費の推移を詳しく解説!建設資材価格の上昇理由、今後の予測も

 

人材不足のさらなる深刻化

もともと人材不足が問題になっていた建設業界。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響でこの問題はさらに深刻化しました。

コロナ禍における資金繰りの悪化から、それまで雇っていた人数の作業員を雇用することができず、雇い止めを行う業者が増えたためです。

 

人材不足の中でやむを得ずさらに作業員を減らすことになった建設会社では、雇用されている作業員の負担が大きくなっています。

 

居住環境に対するニーズ変化

新型コロナウイルス感染症は、人々の居住環境に対するニーズにも変化をもたらしました。

仕事でも休日でも自宅で過ごす時間が増えたことで、駅や会社からの近さよりも、より広くより心地よい住まいを求める人が増加したのです。

 

その結果、郊外の一戸建て需要は拡大。

この流れは、一般住宅の建設を手掛ける業者にとって良い流れとなると予想されます。

 

コロナ禍で顕在化した建設業の課題

コロナ禍では、建設業における複数の課題が顕在化されました。

その主要な課題が、次の5つです。

  • 人材不足
  • 低賃金
  • 労働環境の悪さ
  • デジタル化の遅れ
  • 作業の属人化

 

建設業界は慢性的に人材が不足しています。

 

特に深刻なのが、若手の作業員の不足

若手が育たない状況が続くと、今後の建設業界の未来も危ぶまれます。

 

その大きな原因となっているのが、低賃金や労働環境

建設業は他の職業に比べ賃金水準が低く、またきつくて危険だというマイナスイメージを持たれることが多いことから、就こうとする若者が少ないのです。

 

建設業の若者離れについては、以下で詳しくご紹介しています。

建設業で若者離れが進んでいる理由は?具体的な解決策についても解説!

 

また、デジタル化が進んでおらず、業務が属人化している現場も多数。

この状況は作業を非効率にし、生産性を下げる要因となっています。

 

このように、建設業には複数の課題があり、コロナ禍においてそれはさらに顕著なものになりました。

建設業の課題については、以下でも詳しくご説明しています。

建設業の課題とは?現状や今後の動向、課題への対策を解説!

 

アフターコロナ(ウィズコロナ)で建設業界はどう動けば良い?

アフターコロナ・ウィズコロナの時代に企業が建設業界で生き抜いていくためには、次のような対策が必要です。

  • 労働環境の見直し
  • システム・ソフト活用による効率化

 

これらの対策に着手することで、賃金や労働環境の課題、デジタル化の遅れ、作業の属人化などを解消できれば、自然と人材不足という大きな課題も改善されていくでしょう。

 

また、業務効率・生産性が向上し、それが結果として利益アップにつながることも考えられます。

 

労働環境の見直し

労働環境の見直しは、建設業界で早急に改善に取り組まなければならない課題です。

安全管理を徹底することはもちろん、業務を効率化し作業員の負担軽減に努めましょう。

 

定時退勤や完全週休2日制の徹底などは、労働環境の改善方法として有効です。

建設業界は休みが定まっていなかったり長時間労働が慢性化していたりすることも多いですが、作業員の負担や人材不足改善のためには、この点を見直す必要があります。

 

建設業界の労働時間の規制について「建設業で労働時間の上限規制が2024年に施行!詳細や対策をチェック」でもご紹介しておりますので、あわせてご参考ください。

 

また、賃金水準の低さも問題視されているため、賃上げの検討もすべきでしょう。

 

システム・ソフト活用による効率化

建設業界ではデジタル化が遅れており、まだアナログな方法で作業を行なっている業者が少なくありません。

デジタル化の遅れは、生産性を低下させ、人材不足で属人化している現場の負担をさらに大きくしてしまいます。

 

建設業のデジタル化の遅れについては、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。

建設業界でペーパーレス化が必要な理由は?メリットや具体策も紹介!

 

そこで活用したいのが、専用システムやソフト、AI、ロボットなどのデジタル技術

勤怠管理や資材管理、工程管理などを専用システム・ソフトを用いて行えば、労力を削減しながら効率的に管理作業を行うことができます。

AIやロボットに代替させられる作業もあるでしょう。

 

デジタル技術を活用すれば、業務の属人化は改善され、従業員の負担も軽減されます。

そしてこれは、労働環境の改善にもつながります。

 

また、建設業では、積算見積業務も、デジタル技術で効率化させたい作業のひとつ。

複雑で手間のかかる積算見積は、積算見積ソフトの活用で効率化することができます。

 

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コロナ拡大は建設業への影響大!アフターコロナに向け動き出そう

新型コロナウイルス感染症の拡大は、それまで好調だった建設業界に「破綻業者の増加」「資材の高騰・納期遅れ」「人材不足のさらなる深刻化」などの影響を及ぼしました。

これにより資金繰りが悪化した業者は多く、現在もその影響は続いています。

 

ただし、新型コロナウイルスにより一戸建てのニーズは増加。

一般住宅の建設需要は、今後も増えると考えられています。

 

またコロナ禍においては、人材不足や低賃金、デジタル化の遅れなどといった建設業の課題も浮き彫りにされました。

建設業者がアフターコロナにおいて経営を続けていくには、デジタル化推進や労働環境の見直しを早急に進め、これらの課題を解決することが重要です。

 

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この記事を書いた人

建設ICT事業 企画/プロモーション佐藤 一也

第二種電気工事士、基本情報技術者試験の資格を保持する。
10年以上のシステム開発経験を活かして、建設業向けの製品企画とプロモーションを行う。

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